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6月1日
今月の話題は、何と言ってもWinnyの開発者逮捕でしょう。 表面上は著作権侵害の問題と言うことになっていますが、これだと問題は大きくかつ複雑です。 しかし、どうも現実は2年前の京都府警と北海道警の情報流出が直接の原因みたいです。 確かにそういうニュースはありましたが、これがWinnyと絡んでいるとは思いませんでしたが、先日フラッと街中の初めて行った本屋で何気なく見ていると、WinnyやWinMXの使い方を書いた本が書棚に何冊も並んでいました。 我々が思う以上に、これらのソフトは行き渡っていると思います。 また技術的にも面白く、インターネットが商用化されて、その本質であるどこでも誰でも繋がるという所から逸脱してきていますが、これはしょうがないのですが、やはり原点に戻って、セキュリティの何のと言わないシステムを、もう一度見直してみるのは、技術的に高い意義があると思います。
Winnyのようなファイル交換のソフトは、元々CDの音楽を交換するために必要となりました。 東南アジアのどこかの国のように著作権を全く無視して、コピーをして売るのは論外ですが、個人同士の無償の交換は灰色の領域です。 個人が自分のためにコピーを作るのは問題ないようですが、これも数が多くなってくると、何のためなのか、と言う問題が起きて来ます。
これが現在なぜこんなに問題になっているのかと言うと、このシステムはデータ(音楽や映像)の配信を行うのですが、これが個人と個人の直接の交換になるため、著作権上の問題が微妙になってくるからです。 基本的に機密情報の漏洩と言うことになれば、漏洩させた人間とWinnyの開発者が何らかの関係が無いと駄目ですから、表面上は著作権問題という事になっているのでしょう。 もし漏洩が関係なく行われたのであれば、よく言われているように、包丁で人を刺したら、その包丁を作った人の責任を問うことになってしまいます。
大体4年前には、ネット上の音楽配信と絡んでこの問題が出てきまして、ナプスターが注目を浴び、最終的にはドイツの音楽 会社が出資をすると言うところまで行ったのですが、最後はポシャってしまって、これでネット上の音楽配信に絡む著作権問題が前進するかに見えたのですが、結局は元の木阿弥。 当時は私も関心が高くて本欄でも紹介をしましたが、4年経った今でも前進はありません。 今回のWinny騒ぎも著作権が前面に出ていますが、本質は警察からの情報漏洩問題であって、著作権の問題に一石は投じましたが、根本的な議論は出来ないのではないかと思います。
同様のシステムは以前にも紹介したようにグヌーテラと言うものがあり、これはサーバーを必要としない、今回のWinnyと基本的には同じ概念のものです。 似たような機能を果たすシステムは星の数ほどあるそうです。 ナプスターやWinMXはサーバーを必要とするために、そのサーバーの持ち主が責任を問われますが、今回のWinnyのような個人と個人が直接やり取りをするようなシステムですと、責任の追求のしようがない、と言うことでますます灰色のものとなっています。
海外では昨年末、Winnyと類似のオーストラリアのシステム KaZaA が合法と言う判決がオランダ最高裁からありました。 違法な交換を行ったのはKaZaAの使用者であって、そのソフトの製作者や販売者ではないと言うもっともな理由によるものです。しかしながら、専ら著作権を侵害するためのソフトや侵害を目的として製作したソフトを野放しにしては、法の秩序が保たれません。平成11年の日本の著作権法改正で追加された技術的保護手段回避装置(プログラムを含む)の譲渡目的の製造、輸入、所持などが1年以下の懲役または100万円以下の罰金(120条の2)となっており、今回の件もこれへの違反になるかもしれません。
さらに海外では、米国と独仏など11カ国の警察当局は4月22日、インターネット上での映画・音楽、パソコンソフトの違法流通を取り締まるため、異例の一斉家宅捜索に乗り出したとの事。これまでに延べ120カ所を捜索、200台のコンピューターを押収し、このうち30台は違法流通に使われた可能性があるということです。 米司法省が指揮を執り、スウェーデンやシンガポールなど各国の警察が参加したとの事。日本は不参加と言うことですが、今回のWinny事件もこれと何らかの関連があるのかも知れません。
また国内では、陸上自衛隊の隊員名簿など、本来は外部に非公開の資料の一部が2002年11月に陸自幹部の個人のパソコンを通じてインターネット上に流出していたことが4月30日に判明しました。これも京都府警と同じように Winnyが関与しているようです。 防衛庁はすでに昨年2月、職務上の注意義務違反でこの幹部を減給15分の1(1カ月)の処分にし、再発防止のため私有のパソコンの管理を徹底するよう通達を出したとの事。 防衛庁によると、流出したのは第一普通科連隊重迫撃砲中隊(現在の第五中隊)の隊員名簿や、教育訓練実施計画など約10種類の内部資料。隊員の住所や性格などを含むデータもあるということです。
今回の京都府警のWinny騒ぎの顛末は以下のようです。 私物のPCにコピーした捜査関係書類がインターネットに漏洩し、漏洩 していた捜査情報は、捜査報告書、鑑定嘱託書、指名手配書の3種類19件。20名分の名前が記載されており、そのうち11名については実在の人物だったとの事。 府警の内規によると、私物のPCを公務で使用する場合、所属長に申請して登録する必要がある。個人情報は、ハードディスクへの記録が禁じられており、署外への持ち出しも許可が必要だ。「巡査は、個人情報をハードディスクに記録した時点で、内規に違反している」(京都府警総務課)とし、内規を徹底するよう全署に向けて再度通達したという。
全体の流れは以下のようで、やはり著作権の問題が長年あり、それに今回の内部情報の漏洩が有った事がキッカケではないでしょうか。 2002年12月30日Winny正式版リリース。 2003年8月8日Winnyネットワークを介して感染するウイルス(キンタマウイルス)が登場。 2003年11月28日Winnyで違法行為を行ったとしてユーザー2人が逮捕。同時に金子氏も家宅捜索を受ける。 2004年3月29日Winnyのウィルスに感染した京都府警のパソコンから個人情報や捜査情報が流出する。 3月〜4月Winnyを通じて北海道警、郵便局、陸自などから次々と内部情報が流出判明。 5月10日京都府警が金子氏を任意同行後逮捕。
今月の読み物は良いのが無いので、映画にしましょう。 今月予約してやっと入ってきた「ラストサムライ」のDVD版。 劇場でご覧になった方も多いでしょう。 私は行く暇が無くて、やっとDVDで見ることが出来ました。 やはりハリウッドが作るとこうなる、という見本みたいなもので、日本人なら決して思いつかないようなシーンが多くあります。 天皇が直接ゴチャゴチャ言うのも変と言えば変。 勝又の屋敷が寺みたいだったので、良く調べたら姫路の円教寺だそうです。 桜も作り物。 勝又の村がどうもベトナムものの村みたいだと思ったら、これはニュージーランドだそうです。 この場面は少々違和感が強かったですね。 まあ向こうの(ハリウッドの)感覚ではインディアンもベトナムも中国も同じように見えるのでしょう。 当然頭では分かっているでしょうが、気持ちで分からない。 また観客の捉え方もあるので、その辺の微調整というか、マーケティングというか、その言うものを感じました。 また江戸の風景がどこかで見たような、と思ったら昔の写真をそのまま再現したそうです。 どおりで何かセピア色の昔の写真のイメージが強かったです。 江戸時代の最後期なので、電話線があちこち張り巡らされていたそうで、それはあんまり目に入りませんでした。 今度見たときにじっくり見てみようと思います。 これも日本人の感覚では思いつかない事です。
5月4日
デフレが進行して、物価も安くなったものです。 一昔前はアメリカの大きな安売り店で買出しの人に混じって色々見て回りました。 現地で生活している分には欲しい物がたくさんあったのですが、、いかんせん出張の身ではせいぜいビールを安く買うことぐらいでした。 24本入りが20ドルぐらいで、最近の日本での酒屋さんでの値段がこれに近くなっています。 ビックリしたのがハイネケンの小ビンビールが輸入品にもかかわらず、1本当たり100円程度で売っていたことです。 淡白なアメリカビールに飽き足らない人はハイネケンを良く飲みます。 この店では週末になると、冷凍のタラバガニの大きな足を売っていまして、これを2-3本買って帰って焼カニにして食べると、これで立派な夕食になってしまいます。
最近はカロリーの多いハンバーガーを売るのはけしからんと、訴訟問題にもなっていまして、しかしこれは別に強制されたの では無くて、それこそ自己責任だと言うことですが、これが立派に訴訟になるというのは流石にアメリカと言うか、何と言うかです。 かく言う私もハンバーガーに慣れてしまって、時々は昼食にはハンバーガーを食べたくなります。 日本ではあんまりお目にかかりませんが、WHOPPERと言うBig Macより大きなものがあって、最初は全部はなかなか食べれなかったのですが、その内にぺロッと食べるようになって、ついでにサイドのフレンチフライまで食べるようになりました。 これではカロリー過多になるのは目に見えてますね。 この後遺症で未だに、たまの夕食はBig Macとビールと言う事が良くあります。 ちなみにこれだけだとお腹がいっぱいにならないので、チキンナゲットも頼んで、これがビールに良く合うのです。
いろんなハンバーガーの店がありますが、マクドナルドとバーガーキングでは客層がまったく異なるので見ていて面白いですね。 マクドナルドは味付けがやさしいのと少しサイズが小さいので、老人と子供ばっかり。 一方のバーガーキングは玉葱が沢山入っていて大人の味付けでサイズも大きいので、ビジネスマンが多いのです。 日本は結局大きさと味でマクドナルドが全盛になったのではないでしょうか、最近は苦戦が伝えられていますが。
ビールと言えばワイン。 最近は赤ワインが盛んですが、白ワインは冷やすこと、赤ワインは値段相応、と昔から決まっていたのですが、最近の赤ワインは味のブレンドと言うか、元の葡萄はともかく、味の調え方がうまくなって、飲み放題のワインでもそこそこの味になっています。 少し前のTVで、10万円のワインと2000円のワインのブラインドでの試飲がありましたが、これくらいの差なら分かると思いきや、正反対の答えが続出しました。 高いものが良いと言う訳ではないようです。 しかし1000円以下のワインと1万円以上する赤ワインは差が出ると思っていたのですが、これがなかなかそうではないようです。 この間たまたまスーパーでチリのワインを700円ほどで売っていたので買って来ましたが、そんなに変な味ではないようでした。
また赤ワインは常温というのが常識でしたが、最近では冷やして飲むのも大有りだそうです。 個人的には冷やすのは邪道と言う気がしますが。 また、赤は肉t料理に、白は魚と言うのが常識ですが、これも特にそうではなくて、例えば軽いカルベネやメルローなら魚介類でも十分楽しめます。 お酒で思い出しましたが、日本のブラッディマリーは何であんなに小さくてトマト臭いんでしょう。 先日会社の近くで外国人が多くいて、バーテンもみんな外国人のバーに行きますと、これがアメリカ風の大きなグラスにたっぷりと入ったものが出てきまして、大感激しました。 個人的には例えば飛行機に乗ったときの最初はブラッディマリーを頼みます。 2杯目になると、これが何故か上澄みがほとんどウオッカで、ウオッカを飲んでいるような気がするのですが、これが また良いのですね。 単にスチュワーデスがサボって良くかき混ぜないせいなんですが。
ブラッディマリーはトマトジュースと塩胡椒、タバスコを混ぜてウオッカを入れたカクテルですが、造るのが面倒なので、ウオッカ以外を混ぜたものがブラッディマリーミックスとして缶入りでスーパーなどで売っています。 本来はこれとウオッカを混ぜるのですが、このミックスだけも結構いけます。 単なるトマトジュースでは頼りないですが、このミックスはしっかりと味がついていて、なかなか行けます。 長距離のフライトなどでよく寝た後の朝食代わりのスナックの時に、Just Bloody Mary Mix と言うと出てきます。ビジネスマンは良く飲んでいるようです。
お酒の話をもうひとつ。 日本人特に私みたいなおじさんはポートワインと言うと拒否反応があります。 原因は粗雑な赤玉ポートワインの記憶がしっかりと頭に植え付けられているせいでしょう。 私も最初は絶対に飲まなかったのですが、飛行機の中の隣のアメリカ人から薦められてシブシブ飲んだのがはじめです。 赤玉とはまったく異なるその味にすっかりファンになって、それ以降 は隣が日本人であれば必ず薦めて飲んでもらいます。 まあ例外なく最初は拒否反応があります。 一度JALに乗って、こちらからリクエストしたら、日本人では初めてです、とスチュワーデスから感心されてしまいました。 まあそれから時間が経っていますからそれほどではないでしょうが。
今月の読み物は、既に古典の部類になっているのではないかいな、と思われる「戦艦武蔵」戦艦武蔵 新潮文庫 吉村 昭著 ¥460。CADなどまったく無い時代に、全部手書き、手作りでこれほどのものを作り上げたと言うのは、すごいの一言。 しかもドッグではなくて船台で6万トンの船を作ったと言う日本人ならではの偉業と言うか狂気というかです。 基本的には山本五十六 に代表される航空戦力思想と日露戦争以来の巨艦思想が相反して、統一した方向性を見出せなかったと言うことでしょう。 さらには陸軍はこれとは別の思想を持っており、わずかな国力を結局は3分されてしまったという事でしょう。 沈没シーンはタイタニックの沈没を思わせます。 ハリウッドならうまく娯楽映画にするのではないかいな、と思った次第です。 まあパールハーバーの出来はあんまり良くなかったですが。 また、わが民族はどうも伝統的に論理でキチンと考える事が苦手なようです。 最近のイラク問題でもこの辺りの問題が大きいようです。 こういう背景を考えながら読んでみるのも一興です。
4月4日
今月のテーマは桜です。 今年は3月中頃に暖かくなって、桜が一気に開花しそうになったのですが、その後また冬に逆戻りみたいな気候になって、例年通り4月初旬にやっと見頃になりました。 近くの桜の名所も最近たまたまタクシーで通りかかったら、物凄く綺麗でした。 交通渋滞も半端ではなかったですが、この時ばかりは、それも気にならずにゆっくり楽しめました。 4月4日はあいにくの雨でしたがこれから少し寒いところの桜が一気に開花するのではないでしょうか。
このサイトでは動画で見ることが出来ますが、RealPlayerが必要です。「RealPlayer(無料版)でご覧下さい」となっているところをクリックしてもなかなか無料のところへは行き着けません。 すぐにクレジットカード番号を入れないといけない所へ行ってしまいますので、しつこく探してください。 探せない人のために ここから行ける様にしました。 また全国の桜百景はここからどうぞ。
気温とともに株価もアップしています。 このまましばらくは強気の相場が続くのではないでしょうか。 特に海外の買いが入ってい ることが大きいと思います。 要するに円がだぶついているのでこれが回ってきたということでしょう。 今年はじめの3ヶ月で30兆円もの円が通貨対策で出て行きました。 代わりに入ってきたドルはアメリカの国債を買ったので、ドルもそれだけ増えたということです。 アメリカは何もせずにデフレ対策が出来たということです。 日本もデフレがもっと深刻なころに円安政策を取れという主張があったのですが、アジア諸国に遠慮して何もしませんでしたが、アメリカは堂々とドル安政策を採ったわけです。 ユーロは高止まりで円高では無くてまったくのドル安と言えます。
DVDプレーヤーが安いですね。 以前アメリカで99ドルで売っていてビックリしたのですが、日本でも同様の値段で売られていました。 ビデオテーププレーヤーより安いです。 もっともビデオデッキは録画が出来ますが、DVDレコーダーはもっと高くなります。 しかし、 そのうちにDVDレコーダーも同じような値段になってくるのでしょう。 最近の物価はデフレのせいか何でも大分安くなってきました。 一頃前のアメリカの状況に似てきました。 その頃日本製品が日本で買うより安いので嫌になったことがありますが、最近電気販売店に行ってテレビとかビデオとかの値段を見ていると、その頃の感覚が思い出されて、不思議な感じがするとともに、少しでもモノを買おうかという気になります。 日本の消費が低調だと言うのは、ひとつに物価が高すぎると言うのもあるのかもしれません。
今月の読み物はミトコンドリア。 ミトコンドリア・ミステリー―驚くべき細胞小器官の働き ブルーバックス 林 純一 (著) ¥1,092 (税込) 高校時代に習ったはずですが私も忘れていました。 生物の細胞の中に存在して細胞にエネルギーを供給しています。 もっと面白いのは、元々ミトコンドリアと細胞は関係なくて、ウイルスみたいに細胞に入り込んで共生をしていると言うことです。 植物の葉緑素も同じで、元々は別物だったそうです。 生物の歴史は40億年。 その内でミトコンドリ アみたいなものと共生を始めて、細胞核がしっかりした真核細胞が出来上がったのが10億年前。 真核細胞から人間まではたったというか、それほどというかは見方が分かれますが、10億年と言う短期間でここまで進化するんです。
このミトコンドリアは必ず母親から遺伝するそうで、これを遡って追いかけていくと、最後はアフリカの1人の女性に行き着くということで、これをイブと名づけて人類の発祥とした話題は耳新しいところです。 さらには老化の原因とか癌発生にも絡んでいるとかで、注目を浴びています。
それにしても人間までの進化は驚異的というか、人間を超えた神の存在を想定したくなるほどです。 従って、宇宙に人間のような高等生物がそう簡単に見つかるとは思えません。 進化の過程で袋小路に入り込んで絶滅もしくは、高等生物に成り損ねたものも多くあるはずで、しかし我々がこの様に進化の過程を振り返れるのは、進化した結果だったからです。 進化に失敗していればそんなことを考える高等生物は存在しないでしょう。
物凄い幸運の果てに我々が存在しているのだと思います。 火星の生物探索が話題になっていますが、例えウイルスみたいなものが見つかっても、それと人間のような高等生物を一緒にするのは間違っていると思います。 少し複雑なタンパク質であるウイルスみたいなものは、この宇宙では結構簡単に発生するようです。 それが人間みたいな高等生物と結びつけるのは少々無理があって、ここに至るのは極めて稀と言う事でしょう。
こう言う時私はいつも宝くじを思い浮かべます。 宝くじは誰かに必ず当たります。 当選確率は極めて低いもののゼロではありません。 当たった人はいろいろ理由を考えます。 曰くあの店で買ったから、曰くどこかにお参りしたから、曰く誰かに買ってもらったから。 どの理由も本当ではありません。 しかし当選したことは確実です。 当たらなかった人は運はともかく当たらなかったのです。 これと同じことが進化で言えるので、たまたまきわめて低い確率で当たったのが我々で、その他の当たらなかった生物に関しては、その生物はそれを認識すら出来ませんし、我々にも認識できません。
いずれにしても、この地球と大きな海と大きな月と適度の空気が微妙に時間的にも作用して、我々が存在すると言うのは確かなようです。 またこれらは微妙にバランスしていて、少しでも崩れていたら我々は存在しなかったのではないでしょうか。 ひょっとして火星で進化が始まって火星から地球を眺めているのかもしれませんが、これは誰にも分からない事です。
3月1日
先日このサイトのサーバーをアメリカから日本に切り替えました。 少し速くなったのではないでしょうか? またその違いが分かりましたか? アメリカでのサーバー(ホスティング)は1997年以来で、1990年にはアメリカではISP(インターネットサービスプロバイダ)が出現していたことを思い出しました。 当時は同じインターネットでも、ISPによっては、いろいろな方式が入り乱れており、例えばメールアドレスに@マークを使うのは、たくさんあった方式の1つだったと記憶しています。 しかし何となくこの@マークを使った方が良いように思えたので、結局は正しかったのでしょう。 最初のドメインは1989年の11月に登録していました。 当時はこんなものが重要になるとは思えず、単なるエンジニアのツール程度に思っていました。 しかし、その後1993年にはブラウザの元祖であるモザイクが出現して今日のインターネットがあるわけです。 初期の頃、新聞でインターネットがマルチメディアのインフラになる、と言う記事を見て何と大風呂敷を広げるのか、と思った事がありますが、今日では音楽配信をはじめ、マルチメディアのインフラであることを疑う人は居なくなりました。 これがたった10年ぐらいの間に起こったことですから、世の中は分からんものです。
サーバーの話に戻りますが、日本でもやっと海外並みに安くて使い勝手の良いホスティングサービスがあったのだ、とうれしくな りました。 それまでは海外のサーバーを使っていましたので、電話するにも時差を考えないといけなくて、少し面倒なことをしようと思うと大変でした。 しかし、今回何箇所かのサーバーを海外から日本に切り替えたのですが、その時の話を少しします。 結論を言うと、結局は海外の方が対応は良かったと言う事です。 まずアメリカに電話しましたが、電話がいっぱいで例のごとく待たされます。 これで諦めて敗退するのでは? と思って時間を見て何度か電話すると、一発で出てきたことがありました。 これは逃すと駄目と思っていましたがアチコチたらい回しにされた結果最終的には結構事務的にやってくれて、もう一度電話したら手続きは終わりました。 もう一つは担当者に繋がったのですが、解約したいと言った途 端、有無を言わせずにマネージャーに切り替えらてしまいました。 ここでまた待たされるのかと思っていましたが、すぐに出てきて、理由は聞かれましたが、結構アッサリと受け付けてくれて、電話を切ったぐらいのタイミングでキャンセルされていました。
これに比べて日本は甘く見ていました。 一つのISPは電話を3-4回たらい回しにされた挙句、元の連絡先に戻ってキャンセルの理由をしつこく聞かれて、別のサービスを勧められ、それでもなおキャンセルと言うと、ペーパーベースで、それもファックスでは駄目で郵便と言うことでした。 おまけに住所が最初の登録と異なっていたので、その変更もペーパーが必要との事で、いったいどれくらい時間がかかるのか分からない状態で、まだ完了していません。 別の大手のプロバイダも同様で、郵便でしか受け付けないと言うことです。 これからはキャンセルの手続きの簡単なところを選ぶのがプロバイダ契約のポイントと思いました。
日本でいまサポートを受けているプロバイダは、キャンセルの手順もハッキリしていますし、何より安い! 複数のサイトを契約していると、大体月当たり750円ぐらいでホスティングが可能です。 これは海外の格安ホスティングとほぼ同レベルです。 1つのドメインだけなら月額1500円程度で速度も速いし、CGIなどのサポートもほとんどついています。 メールボックスやメールの転送も事実上無制限です。 Yahooなどの接続サービスに付録で付いているメールやホスティングより遥かに高水準のサービスを受けることが出来ます。 ドメインの取得もほとんどリアルタイムで1日で終わります。 やっと日本のサービスも国際並み になったと言うことでしょう。
個人的に契約したアメリカのサービスは、最初は Inerramp.com で、日本でもサービスをしているので契約しました。 その後、mindspring と言う所に買収されまして、それでもアメリカでのアクセスに便利なので契約を続けていました。 それも何年か前に earthlink と言う所に買収されてしまって、今までそこを使っていましたが、やっと解約したと言うところです。 変遷の激しいアメリカのインターネットビジネスを目の当たりにすることが出来ました。
今月の読み物は、例によってマイケルクライトンの「タイムライン〈上下〉」 ハヤカワ文庫NV マイクル クライトン (著) 酒井 昭伸 (翻訳) 価格上下合計¥1,680 です。 映画にもなったのでご存知の方は多いと思います。 ジュラシックパークでは遺伝子操作がテーマでしたが、今回は本欄でも何回か取り上げた量子力学や宇宙論がテーマです。 残念ながらジュラシックパークほど現実感が無いのが問題ですが、平行(多元)宇宙や量子コンピュータ、ワームホールなど話題のテーマをうまく使って現実と虚構の間をうまく繋いで、クライトン流に仕上がっています。 ジュラシックパークのように時間旅行をビジネスにするのではなくて、探検的な 要素が多くあります。 ビジネスの可能性も最後にチラッと触れられていますが、ジュラシックパークの焼き直しと見られることを嫌ったのでしょう。
ただテーマが全く現実には実現していないものばかりですので、矛盾も多く見られます。 恐竜を再現するのは、DNAの入手を除けば大体見当の付いている技術ですが、タイムラインのテーマである時間旅行はまだまだ理論的にも解決していないポイントが多く存在します。 時間パラドックスを避けるために多元宇宙を採用しているのですが、過去から手紙が届くことがおかしいでしょう。 また、現象の自己復帰性を強調して、パラドックスが起きないように配慮されていますが、因果関係に影響が出ることは間違いなく、中途半端な感じです。 また、現在に戻る時のパラドックスも、過去の滞在時間と同じ時間が現在でも経過すると言うことを何の説明も無しに使っています。 ワームホールを通して情報を送って、それで人間を含むマクロな物体を再現する、これには大量の計算が必要なのでそれに量子コンピュータを使うと言うもので、情報が伝わるにも関わらず、光子である電波を使った通信が出来ないとか、理屈に合わないことが沢山あり、ジュラシックパークのような現実感あふれる物語にはできなかったようです。 結局は中世を舞台にしたアクション物になってしまったようです。
2月1日
一時は寒くなりましたが、つい最近は少し暖かくなってきました。 これからまた寒くなってやがては暖かくなるのでしょう。 「暑さ寒さも彼岸まで」とは、良く言ったもので、お彼岸からは1日1日と暖かくなってきます。
経済の世界は、まず円高で、これから100円を切るか切らないかと言う所まで行っています。 2月6日のG7でどのようなことになるのか、以前のG7のように再び極端な円高になるのか、予断は許しませんが、大方の見方はあんまり円高には振れないであろうということです。 日銀は10兆円単位での介入を行っていますし、機関投資家も円をパンパンに保有しており、これ以上買いを進めるのは困難ということです。
同じ投資をするにしても、この辺りがプロとアマの差です。 プロは一定の期間に一定の利益を得なければいけないので、平気で損切りをしたりします。 アマはそう言うしがらみが無いので、何をどれだけいつまで持っていようと、自分の好みだけで判断できます。 従って、投資でプロにアマは勝てない、と言うのは間違っていて、どっちもどっちと言う感じです。 プロの情報のすごさや損切りの判断は、アマには真似が出来ませんのでこの辺ではハンディがあると思います。
経験上、短期勝負(売買)が求められる株式ではあんまりうまく行きませんが、為替はそんなに急激には動きませんので、うまくすると収益が上がります。 現状は円高というよりドルの一方的安ですから、ドルを買うことになります。 その中で外貨預金は長期的にも利子がつくのでお勧めです。 ドルが100円を切ったらとにかくドルで外貨預金をしておくことです。 最悪でも海外旅行したときに使えます。 他の外貨は預金利率は高いのですが、円が相対に安いので得策ではありません。 ドルを過去の例で言うと、2年周期で上がったり下がったりします。 上がった時は、140円、130円と落ちてきています(円が安くならない)ので、今年がその周期とすると、最大で120円程度ではないでしょうか。 100円で買って2年のうちに 115円ぐらいで売れれば、手数料を引いても2年で10%、1年で5%は悪い投資ではないと思います。
海外の話になったついでに、最近買ったものを紹介します。 最近は何でもかんでも日本で入手できるのであまり不便は感じないのですが、1つだけどうしても何故か入手できないものがあって、これはいつもアメリカに行ったときに買いだめしてくるのですが、最近は行かないので困っていました。 それは髭剃りの泡(シェービングフォーム)なんです。 缶からシューと出てくるあれですが、普通の泡のものは売っていますが、泡にボリューム感が無くて付けた気がしません。 アメリカで売っているものは缶から噴出したときはゲル状ですが顔に塗ると泡になります。 ボリューム感があって、剃刀負けしにくい感じがします。
アメリカでは大きな徳用缶が300円ほどで入手できるので、この前の同時テロのときに10缶ほど荷物に入れてもって帰ろうとしましたが、飛行機の荷物検査で怒られてしまいました。 数が多いので通常は2-3本らしいのです。 最近はもっと厳しくて日本の飛行機だと1本しか認めてくれないようです。 その時も手荷物にも入れていたので、検査でこれは何だと言うので説明していたら、横で見ていた軍服の兵隊が顔を剃るまねをして、OKと言ってくれました。 ジュラシックパークの映画でネドリーが胚を持ち出すのにシェービングフォームの缶を細工したものに入れて運ぶのを覚えておられる方もいると思いますが、逆にこの缶に爆弾を仕掛けていたらどうするんだ、という気にもなりました。
最近は行かなくなったので、ストックが切れてしまったので、どうしようか、それだけ買いにアメリカに行くのも面倒だし、誰かに頼むのも面倒だし、と思って例のごとく困ったときのインターネットで検索してみると、ちゃんと売っていました。それも日本までキチンと送ってくれました。 大量に買ったのでそれ自体は全体で5000円にもなりましたが、送料が4-5000円かかるので、結局1万円ほどかかる羽目になりました。 大体1週間以内に予定の日にキチンと届きました。 支払いはカードでした。 いろいろサイトがありますが日本まで送ってくれるところは少ないようです。 最近はこれに着目して、日本への送付を代行するビジネスが現れたと言うことです。
このシェービングフォームは、アメリカに滞在している人のサイトで必需品に入っていましたので、同じように考えている人は多いんだ、と納得しております。 なぜこれを日本で売らないのか、大きな疑問のひとつです。 何か規制か何かが原因でしょう。 メーカーは大手なので同じメーカーの他の製品は日本で売っていますから、何か規制か何かが原因としてあると思います。
もうひとつ欲しいのは整髪料で、バイタリスのトニックです。 V7が入っているとか何とか何十年も前に流行ったもので、おじさんの代名詞みたいになっているようで、ご存知の方も多いと思います。 バイタリスのリキッドはあるのですが、何故かトニックが無いのでこれも不思議。 最近の整髪料はほとんど水みたいなもの、もしくは本当の水で、わざわざお金を出して買うようなものではなくなってきました。 リキッドもベタベタして良くありません。 バイタリスのトニックは少し油が入っていて、匂いもほとんど無いので気に入っているのですが、これが無い。 インターネットでも小さい壜が6ドルとか法外なので今探してる最中です。
このコラムを書くついでに探してみたら、何となく生産中止みたいなので、1ダース買い込みました。 何とこれで送料込みで 2万円ほどになりましたが、円高なのでまあまあでしょう。 日本ではバイタリスはライオンが扱っていますが、やはりベタベタのリキッドしかないようです。
今月の読み物は、 トラヴェルズ―旅、心の軌跡〈上下〉 ハヤカワ文庫NV マイクル クライトン著, 田中 昌太郎 (翻訳) 各¥780 です。 だんだんと時間が無くなって本当はもっと沢山読んで、その中からこれは、と言う物を紹介したいのですが、だんだんとそのレベルが低くなってきました。
この本は、あのジュラシックパークで有名なマイケル・クライトンの自伝的旅行記です。 最初はあんまり期待していなかったのでのですが、読んでいくうちに、このような旅行記も書けるんだと再評価しました。 キリマンジャロ登頂の話など、ものすごく現実感があって面白い。 この本は上下2冊に分かれているんですが、下巻はのっけっから霊能者の話で、この人はこう言う事にも興味があるのか、と逆に興味深く読みました。 最初は押さえ気味に医者らしく客観的な記述で面白かったのですが、最後の方からだんだんと怪しくなって来て、スプーン曲げの章では、その章が終わるまで何らかのどんでん返し、つまり手品の種明かしみたいなものが出てくるのか、と読んでいましたが、最後まで現実に起こった、と言うトンデモな結論で終わって、失望しました。
この本そのものが小説なのか、それともタイトルであるように自伝的なのか、だんだんと分からなくなってしまいました。 そう言う欠点はあるものの、流石はクライトンで、ちょっとした経験をキチンと読ませてくれます。 最近はタイムラインも映画になっていますし、興味が大変深い作家の一人ですので、そう言う意味で読むと興味が沸くと思います。
「BOOK」データベースよりのレビュー
名門ハーヴァード大学を首席で卒業後、医学博士となり、結婚し離婚し、ベストセラー小説を立て続けに発表、映画を監督し、30歳で成功の絶頂にいた―だが、次は何をしたらいい?突然目標を失った著者が選んだのは、自己探求の旅だった。『ジュラシック・パーク』『タイムライン』などの多彩な大ヒット作品を次々と生み出す鬼才の自伝的旅行記。上巻末に村上龍との対談収録。
水深60メートル余に及ぶダイヴィングで、キリマンジャロ登頂途上で、クライトンは世界各地へ冒険の旅に訪れては思わぬ危機に陥った。しかし、その代償に得られたものは素晴らしい自己発見と、自由な世界観への目覚めだった。サボテンと対話をし、チャネリング体験を重ねた著者が辿り着いた心の境地とは…既成の枠に縛られない、じかの体験の重要性を語る奇想天外な旅行記。
1月1日
明けまして、おめでとうざいます。
毎年のお正月には、その年の予言を行うのですが、2004年はどうなるのでしょう? インターネットは完全に定着して、インターネットIP電話も極めて一般的になりました。 何年か前にマイラインが華やかなりし頃、固定電話のほとんどがIP電話になると予言したことがありますが、大体その方向で動きつつあります。 尤も通常の電話の料金の下落もあるので、それに比べてあんまり差が無いのが面白くないところですが、方向は決まったと言うことでしょう。
電話線とテレビ(地上波アナログまたはデジタル)の2つが家庭の情報通信ラインの2大インフラですが、電話線もしくは光ファイバーに寄るインターネット接続がメインとなって電話は付録と言うか、基本的にはインターネットサービスの付録的な存在となるでしょう。 基本料金はインターネット接続料金に含まれて、通話料も定額になってしまうでしょう。 近い将来はTV映像も光ファーバーで放送されるときが来ると思いますが、CPUの性能向上が少し遅れているので、もう少し時間がかかるでしょう。 そう言う意味では地上波デジタルは中途半端なものと言わざるを得ません。
長らく続いたパソコン(PC)の時代もやっと全盛期を過ぎたようです。 CPUチップの性能は、高速チップは動画と結びついて次世代のTVや映像と絡んだ性能が必要となり、もうひとつの山となるでしょう。 現在はサウンドの処理には十分な性能を持ちますが、映像の処理にはさらに100-1000倍ほど高速の性能が必要となり、ちょうど現時点では、中途半端な性能になっています。 。 これからの情報機器のメインはケータイやPDAに代表される個人用の携帯情報端末となるでしょう。 これに従って従来のPCに相当する(つまり映像を扱わない、データのみを扱う)機器は今後小型安価の方向に動くでしょう。 CPUチップも高速化に動くのではなくて小型安価低消費電力の方向に動くでしょう。
OSはその意味を失い、ますますユーザの視覚からは、その存在を消す方向となり、基本的なファイル管理の機能だけが残り、ユーザインタフェース(GUI)が意味をなさないのであれば、マイクロソフト方式のOS(Windows)はその存在意義をなくしてしまうでしょう。 マイクロソフトはインターネットの発展を完全に見誤りましたが、その後の持ち前の馬力で何とか追いつきましたが、今回のケータイやPDA化の方向には全く歯が立たないようです。 iTronと連携したり、以前はソニーとアライアンスを組んだりしましたが、今回は全く次元の異なる事態となっているようです。 次世代のOSのLong Hornも注目されるところですが、現在のWindoesの改良版(整理版)になってしまうのか、と思います。
この中で新たな「デジタル三種の神器」が出現しました。 定義によりますが、ケータイ、DVD/TV、デジカメの3種類でPCに代わる、日本が得意な分野での製品がブームとなりつつあります。 これが単なるハードウエアだけでなく、ソフトウエア、サービスを結びついた広がりを持つものであって欲しいと思います。 長らく家庭の情報端末であったTVはさらに発展して、本格的にデジタル化されるでしょう。 それに先立ってパネル(画像が表示されるところ)はプラズマなり、液晶なりで技術的なインフラは整いつつありますが、大きな意味のソフトウエアはまだまだ未知の状態にあります。
ちなみに、元祖の家電の三種の神器は昭和30年代の、白黒テレビ、電気洗濯機、電気冷蔵庫を言います。 主に家事を担当していた主婦の負担が大幅に下がったのが特徴です。 また良き高度成長の時代であったとも言えます。 皇太子御成婚、所得倍増計画、東京オリンピックと続き、景気も神武景気、岩戸景気と今では想像も出来なほどの、めざましい発展を遂げました。 国民総生産でみると(昭和45年価格に換算)昭和30年に17兆円だったものが、昭和40年には41兆円に達し、10年間で2.4倍、年率9.2%という奇蹟の成長を成し遂げました。 この他には、フラフープ、ダッコちゃん、アメリカのホームドラマが、「家電のある生活」を伝え、「夢であいましょう」や「シャボン玉ホリディ」などが放映され、植木等の「スーダラ節」が歌われ、レコード大賞が創設され、歌謡曲が広まっていくのもこの時代でした。
話のついでに、本来の「三種の神器」とは、日本書紀(720年成立)に「三種宝物(みくさのたから)」とあり、「八咫鏡(ヤタノカガミ)、草薙の剣(クサナギノツルギ)、八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)」を言います。 古語拾遺(807年成立)は天孫降臨の際、ニニギに授けたのは鏡と剣の二種であるとし、「二種神宝」とよぶそうです。 宮中に置かれた模造の二種神宝のうち、鏡は幾度か被災したが、賢所に(内侍所)祀られており、剣は源平の戦いにの折、安徳天皇とともに海中に没したため、一時昼御座(ひのおまし)の御剣をもって代え、のち伊勢より奉られた宝剣をもって神剣とし、天授のままの璽(勾玉のこと)とともに常に天皇の側に奉安されている、(『神道事典』國學院大学編)とのことです。 璽は天皇の御璽であると言う説もあります。
八咫鏡は天照大神の岩戸隠れの際用いられたとされる鏡で、伊勢神宮の神器であるが現存のものは、元来のものでは無いようです。草薙の剣は、素盞嗚尊が八俣の大蛇退治の際に得た刀で、日本武尊が愛知県の熱田神社に残したとされています。 八尺瓊勾玉は由来不明ですが、瓊は赤色を意味しますから、瑪瑙で作られた赤色の勾玉と云うことでしょう。
どうもこれらの神器は別々に成立して伝えられたようです。 あれだけ沢山発掘される銅鐸が全くこの三種の神器には含まれないのも興味のあるところです。 銅鐸は実用品では全く無くて、祭祀用のものであることはハッキリしており、大和政権による征服説がとなえられる要因となっています。
また三種の神器は日本民族を形成した3つの大きな民族的な要素の統合を意味すると考える説もあります。すなわち、鏡=天津神系→大和 玉=国津神系→出雲 剣=新羅系帰化人系とみなすのです。 鏡が日神の神霊の依代であり、勾玉が月神の依代であり、そして剣が神霊の来臨をシンボライズした像であるとするなら、3つの聖器を合わせて天皇の位を象徴させることは、天皇の大八洲のシラス権が幽・明両界におよび、そのうえまた剣に代表されるように、帰順しない者をも統合して全日本の国土とその住民を差別なく明かに統治するという意味を表すものとして理解するものです。
今月の読み物は、最近は忙しいのと良い本がなかなか見つからないので、お休みにしようかとも思いましたが、やはり無いと寂しいので、またもや数学モノを取り上げてみました。 昨年末の素数の話の続きみたいなものです。 「数学とはヒラメキだ」と言うことで、単なる計算と思っている人には良いかも知れません。 だけど1,2,3,4・・・と言う整数(自然数)からこれだけ複雑な体系が出来て、まだ分からないことが沢山あると言うのは驚異です。 「数学・まだこんなことがわからない―素数の謎から森理論まで」 ブルーバックス、吉永 良正 (著) 、 ¥980。
数学には、どんな未解決問題があるか知ってますか?話題の「森理論」を知りたいと思いませんか?定規とコンパスで角の三等分はできますか?数学のノーベル賞=フィールズ賞には、なぜ40歳未満の制限があるのでしょう?本書には、こんな話がイッパイ。
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