シリコンバレーだより(8)
100MlPSマシンの実カ、認められる
このシリコンバレーだよりも8回目になりました。連載が始まったのが1989年の2月ですから、もうずぐ1年半になるのですね。
今回の原稿は、本当にシリコンバレーで書いています。 実は今までの原稿は、日本で書いたり飛待機の中で書いたりしていましたけど、今回は遠くサンノゼのダウンタウンとそのむこうの山を見ながら書いています。
ビジネスショーのオムロンの目玉は100MlPSマシン!
今年は残念なことに、ビジネスショウ(5月16日〜19日東宦/晴海)には行けずに、くやしい思いをしています。電話で聞くことによると大成功とか!!
ビジネスショウでのOmronの目玉は何といってもデスクトップの100MlPSマシンです。
100MlPSマシンは、世界に先がけて、Omronが発表したものです。やはり世界で「これだけ」というのは強いもので、価格競争をしなくてよいのは精神衛生上仲々よいものです。 こちらアメリカでもこのマシンは仲々の人気で、1990年1月にワシントンで開催された前回のUniForumにも出したのですが、チャント、データクエストのレポートにも出てました。
念願の X−hibitionに出展!
昨年のX−hibitionからの今願になっていた、今年のX−hibition(サンノゼ、コンベンションセンタ)に出展することができました。どうせマイナーな小さなショーと思って手をぬいていたら、他のメーカはCOMDEXやUnifForumと同じレベルで出展していてピックリ。 急遽、パネルやパンフレットを揃えましたが、結果的には効率のよいショーになりました。
コンピューターのショーとしてプロの間で最初有名だったのがCOMDEX。 しかし最近ではパソコンショーと化し、とてもプロ用のショーではなくなってきました。
その次に有名になったのがUniForum。 しかしこれも最近ではワークステーション関係以外の人がたくさん訪れるようになつて、面白味が半減しています。 この点、X‐hibitionはもともとX‐Windowのショーでしたけど、最近は(今回は)はとんどのワークステーションメーカーとXウィンドウ・ターミナルのメーカが顔をそろえていて、小さい(80社出展)が中味のつまったショーになってきています。
日本メーカはオムロンとソニーとJCCというベンチャピジネスが出しているのみでした。 アメリカ勢はSUNを始め、HP、DEC、IBMなどが顔をそろえていました。
ユーザ(というよりほとんど同業者〉の興味は、Xウィンドウのショーにもかかわらずやはり、100MlPSマシンでした。 「これ本当?」とか 「一桁問違っているのでは?」という問合わせが殺到していました。 私がちょっと顔を出したときも、SUNのエンジニアが2人で離れてながめていました。
本来の目的であるXウィンドウやMotifの国際化に関しても、テーマが少し難しいのでそんなに多くはありませんでしたが、真面目な真剣なディスカッションが行われていました。いずれにしても中味の濃い、従って大いに疲れたショーでした。
ちなみに、来年のX‐hibition 91は、いよいよボストンのケンブリッジで、しかも 「Distributed Computing Comes Of Age」 というテーマで開かれるそうです。
100Mlpsマシンの実力、認められる!
知っている人は知っていると思いますが、この100MlPSマシンは、MlTとCMUにドネーション(寄贈)することが決まってます(まだ新間発表してないので、社外秘にしてほしいのですが・・・)。 とにかく、Omronのワークステーションも世界的になったものです。 とこう言っても、「何や“寄贈”か!」と感じる入も多いと思いますが、アメリカのというより世界のコンピュータサイエンスの最高レベルは、MlT、CMU、スタンフォード、バークレーです。 当然、こういう大学にはほとんどのメーカーから寄贈の申し込みが殺到していて、あたり前のマシンでは受け付けてもらえません。 無理に持って行って、ホコリをかぶっているマシンは数えきれません。 しかしこのようなOmronのマシンは2つ返事でOKをもらったもので、しかも日本からというのはこれが初めてのケースということです。
さらに、CMUへのドネーションはモトローラとの共同ドネーションで、モトローラは88Kのチップを40セット分で4CPU構成つまり160セット分をポンと出してくれたのです。 ここでもOmronの実力が評価されたということができます。
これに付随して、CMUのあるピッツバーグとMlTのあるポストンに拠点をつくることにしました。ピッツバーグはすでに契約をすませてますので、これからは行きやすくなると思いますョ! これでアメリカの拠点はシリコンパレー、ピッツバーグ、ボストンとほぼ全域カバーを達成できそうです。
憧れのトム・ウエストに会いました!
ところで、この間ボストンヘ行ったときに、あの!データゼネラルのトム・ウエストに会うことができました。 こう言ってもピンとこない人がほとんどでしょうが、例のスーパーメイトを始めたときに、たしか「超マシン誕生」という本があって、DEC対抗のMV/8000を彼が苦労して作ったことがドキュメンタリになってました。 会社のTOPからもあてにされず、1人でお金や人を集めてMV/8000を成功させたという話です。
当時、この本は私のチーム(当時はハードをやっていた)の入門書というか教科書で、新人は必ずこの本を読んで感想文を書くことになってました。 今ではデータゼネラルはかなり落ち目ですが、当時はDECとまっこうから張り合っていました。 いつかはトム・ウエストみたいになりたいな、と思っていました。 まあ今で言う、サンマイクロのビル・ジョイみたいな存在でした。 会ってみると、さすがというか何というか、必要以外のことはしゃべらず自分がしてほしいことをバンバンと言って、あっと言う間に出て行きました。 会う前に、「ヘタに会うとイメージこわれるョ!」と言った人がいましたが、私にとってはイメージ通りの人でした。
クパティーノにはよいレストランがあります!
話はかわりますが、アメリカにおける「自炊生活」について書けというリクエストが読者からあったそうですが、残念ながらそんなことはやってません。 何しろ時差の関係で、日本との連絡をしていると夜はどうしても遅くなるので、ほとんどというより100%外食になります。 このクパティーノという所は、日本人が多いせいかどうか知りませんが、仲々よいレストランが多いと思います。 特に小さな、日本で言うと大衆食堂的な所に大変おいしいものがあります。
私が今煩雑に行っているのは、イタリア・レストランで、ここのスチームクラム(要するにアサリのバター蒸し)は天下一品です。 いつもあるわけではないんですが、アサリの中身の大きいこと!ガーリックのきいたソースのおいしいこと! こちらへこられたときは、一度ぜひ行ってください。
ウエートレスもイタリア人、またはイタリア系、店の奥さんはスペイン人ということで、南欧ムードにあふれています。 イタリアン・レストランですから、当然、スパゲッティ、パスタは何でもあります。 パスタ好きの方には好適。
この他によく行くのは、チャイニーズ・レストラン。わかりにくい所にあるので私も最初は知らなかったのですが、安いくせに仲々の味。 中でもシズラースープという具の入ったスープに、自の前でフライしたライスを、ジューと入れて食べるのはこれまた天下一品です。 日本食では、Omronの某氏が開発したウニドンブリが仲々ですョ。 8ドルで小バチいっぱいのウニを注文して、あとはごはんを注文して、その上にウニをのせて食ぺるのですがこれも仲々のもの、何しろ安い!もっとも、なぜかアメリカ人は、ウニが食べられないので何という食べ物を食べるのか? と顔をしかめてますけど。いずれにしても、日本食はブームで、車で5分以内に7軒あってさらに開店準備しているのが2、3軒あるとのこと。但し、少しでもまずければ、すぐつぶれてしまうという厳しい所です。
この他に最近開店した中での変りダネと言えば、「リンガハット」があります。 長崎チャンポンと皿うどんしか売ってないのですが、味がまったく日本のものと同じです。 名前からすると「ピザハット」みたいで、仲々皿うどんなどとはしっくりこないのですが、これが何と日本のチェーン店とのこと。 私はよく知りませんが、九州地方に多いチェーン店だそうです。 日本人や中国の人まで家族ずれや独身の夕食によく来ています。 この間も、そこへ行ってチャンポンを食ぺました。
びっくりしたのは、OAS近くのレストランへ久しぶりに行ったとき、このレストランのオーナーが日本人と聞いていたのでよく聞いたら同じリンガハットのオーナーでした!世の中は狭いというか、日本人が金持ちというか・・・・・。
本当に自炊したければ、近くに「ヤオハン」があるので、何でも入手できます。少々高いですが、日本で手に入るものは何でもあります。この「ヤオハン」は日本では静岡以外ではなじみのないスーパーですけど、海外進出戦略が大当りして海外では超有名です。たしかシンガポールにもありました。この問は、I 君がこの「ヤオハン」で買い出しをしてつくってくれた「おでん」をごちそうになりました。
まあどっちにしても土地は高いし、せまいし、日本人だらけだし、ほとんど日本ですネここは! その気になったら日本食で、英語をしゃべらずに完全に日本と同じ生活をしようと思ったらできます。外国アレルギーの人はぜひ来て下さい。
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