シリコンバレーだより(4)
全米を飛び回るのに必要なr三種の神器」どは?
巻頭の Mach の記事はいかがでしたか? たしか、昨年の3月頃に CMU(カーネギーメロン大学)ヘ行ったとき初めて見たのが始まりで、それまでは、雑誌やウワサで知っていただけでしたけど、現実に動いていて、しかも実用で使われているのにショックを受けました。その後、スタンフォード大学へ行って、まだまだ論文レベルだと思っていた、Vカーネル(OSの一種)が動いていたときも、驚きました。アメリカのソフトウェアの底力を見たような気がしました。
スーパーマンを「核」とした会社がいっぱい!
底力と言えば、アメリカにはこの手のスーパーマンを核とした会社がたくさんあって、特にコンパイラの会社が目立ちます。たいがいが、1〜3人、大手と見られている所でも5人程度で、コンパイラを開発しています。きっと全てが1人の頭の中で組み立てられているので、チームによる仕事ができないのではないかと、思われます。日本の某大手のソフトウェア工場ヘ、駅から直接人の群れが入って行く光景とは、まったく異質の世界です。
ちなみに、この間つぶれた(というより、ケンカしてつぶした)SVSという会社は、エンジニア1人、営業マン1入、その奥さん兼任のセクレタリの、計3人でやってました(もっとも、営業マンは、スタンフォードのドクター(博士号)を持ってますが)。 日本でも結構有名で、性能の高い「Fortran コンパイラ」は、知る人ぞ知る名コンパイラです。 結局、エンジニアと営業マンがケンカして、その会社はつぶれてしまいました。
サンフランシスコ空港や、サンノゼ空港から1時間くらい飛ぷと、ロサンゼルスの北のバーバンクという空港に着きます。この近くに、グリーンヒルズソフトウェア(GHS)という、コンパイラ屋さんがあります。現在、全米一!〈ということは、世界一)のコンパイラ会社ですが、総勢15人で、そのうち本当のソフト屋さんは、5人だそうです。超有名な会社で、インテル、モトローラを始め、ほとんどのチップメーカがコンパイラを作ってもらっているそうです(いくらチップ作っても、コンパイラがなけれぱただの石ころ)。 値段も安く、技術的な内容もドンドン教えてくれて、”自分で作れるもんなら、作ってみな!”という自信がヒシヒシと伝わってきます。
移動に必要なノウハウを公開しましょう!
さて、アメリカではこんな風にあちこち、CMUのあるピッツバーグとか、MIT(マサチューセッツ工科大学〉のあるボストン、はたまたGHSのバーバンクと、うろうろしなければ仕事ができないわけですが、これだけ移動しようとするといろいろ小道具やノウハウが必要になります。
まず、アメリカでの移動のための『三種類のノウハウ』は、ホテル、飛行機、レンタカーです。このうち、ホテル、レンタカーは、あんまり問題ないのですが、飛行機だけはいつも泣かされます。私の場合、特に多いのが、荷物の紛矢です。完全になくなってしまうのではないのですが、とにかく自分の乗った飛行機に自分の荷物が乗ってこないのです。 初めて荷物がなくなった時には、ものすごくびっくりしましたが、何回かやっているうちに、段々予測がつくようにまでなりました。 要するに、コネクションをしていない飛行機に乗り換えるとき、2時間以内だと100%積み残しになってしまって、次の日にしか荷物は着かないのです。
この間は、これを逆手にとって、自分の座席は取れなかったのですが、とにかく荷物だけチェックインして、自分は次の飛行機で行きました(もちろん荷物の行き先はしっかり確認しましたけど)。 自分の飛行機が後で着けば、荷物の方は先に着いているわけですから、待たずに受け取ることも可能です。
一度、中国から香港の間で荷物がなくなってしまい、「もし中国でなくなったら2度とでてこんなー」と覚悟したのですが、香港での乗継ぎ時間が短かったために、香港で積み残していたみたいでした。 結局、荷物は次の日に出てきて、しかも空港まで取りに行ったので、交通費までチャントもらえました(ヤレヤレ)。
荷物紛矢防止対策ですが、一番よいのは荷物は機内持込みの手荷物だけにして、チェックインしないことです。次の対策は、日常品(ハミガキとかヒゲソリなど)は、手荷物にして機内に持ち込んでおくことです。アメリカ国内では、荷物は必ず「次の日」にでてきますので、一晩の辛抱です。
運搬用「三種の神器』はこれだ:
次の『三種の神器』は、アタッシュ、スーツカバー、キャリアーです。 アタッシュは、上びらきの幅の広いやつ。書類、着替えなどスッポリ入ります。上びらきなので、狭い飛行機の中でも簡単に出し入れできます(なんか、カタログ風になってきた)。 また、狭い飛行機に乗っているとアッという間にスーツがクシャクシャになるので、必ず着替えてスーツはスーツカバーに入れて持ち連ぷのがよいでしょう。
この辺が、平均的アメリカのビジネスマンの出張姿ですが、ここにキャリアーを加えると完璧になりまず。キャリアーというのは、スチュワーデスなどがズルズルと引っ張ってる、アレです。カッコよくサッサと行動するには、キャリアーの柄がガシャンとワンタッチで引っ込むものがベストです。手で持つ所にトリガがあって、引くと一瞬で折りたためます。私は、このタイプを苦労してアメリカ中探して入手したのですが、一番良いものはなんと成田空港で売っていると聞いてアゼン!! (何でもかんでも Made in Japan がいいんですネ)
ハィテク『三種の神器』の、電子手帳、ぺ一ジャー、セルラホーンの3つを紹介しましょう
電子手帳は、言うまでもなくS社とC社から出ているものですが、アメリカでも最近アメリカ仕様のものが目につくようになってきました。アメリカ人のあの太い指で、キーが押せるのかしらんと心配しています(あんまり使っているところは見たことがありませんが.・・)。 電子手帳は、特に海外では必要不可欠です。なにせ、まったく知らない所ヘー人で行くわけで、たのみの綱は電話だけ。幸い、どこの空港でも電話だけは必ずありますし、電話用のクレジットカードを持っていれぱ(ナンバーを覚えていれば)、どこへでもカードで電話できます(日本へでも)。
最近では、飛行機の中にも、VlSAカード等のクレジットカードでかけられる電話が多くなりました。また、アメリカ人の名前やタイトルはなかなか覚えられないものですが、電子手帳の中に入れておけば、覚えやすくなります。また、電子手帳は、台湾へ行ったときなどにタクシーの運ちゃんに行き先を言う(見せる)ときにも便利です。
ついでですが、S社の電子手帳に付いている「世界時計」は、まったくナンセンスで、日本にいることが前提になっていますので、海外に出ると、不便でしょうがなくなります。時計はやっぱり「時計屋さん」が本職で、私はC社の「World Time」というのを愛用しています。なかなか便利な時計ですよ。
ぺージャーはいわゆるポケベルです。 日本では、大阪とか東京とかの地区ごとにしか呼び出せませんが、ページャーは全米(150都市)をカバーしているので、大変便利です(が、反面どこまでもおいかけてきます)。 呼び出しをかけると、一度サテライトヘ行き、そこから地上局へ送信し、さらにその地上局からそのあたりへ電波を出すというやり方で、全米をカバーしています。メッセージの入るもの、音声そのものが入るもの、などいろいろ出回ってます。
一番ポピュラーでカバーの広いのは、数字表示タイプです。もし、ぺージングしたときにカバー外にいたときは、基地局へ電話すると、届いた(数字の)メッセージをコンピュータ・コントロールの合成音で教えてくれます。
セルラホーンは、最近日本でも貿易摩擦の間題で取り上げられているので、知っている人も多いと思います。 日本では、自動車電話の一変形として取り扱われているようです。 もともとアメリカの、特に西部では、ほとんど公衆電話はないので、連絡しようとすると一苦労です。 また、車に乗っている時間も長いので、アポイントメントを取ったり、キャンセルしたり、簡単な打ち合せなら、車の中で移動中にできます。 私の場合、セルラホーンがない時に比ぺて3倍くらい能率が上がりました。
パワーは小さいですが、ハンディ型もあり、例えば他社を訪問する時に道がわからなければ、歩きながら「その道を曲がって.・・」などと、リアルタイムで道案内してもらえます。 車で探すときも、一人で乗っていると地図を見ながら運転できませんが、だれかに細かい地図を見てもらいながら、電話で道案内してもらうこともできて便利です。 セルラホーンがない時には、相手の会社を探しているのか、公衆電話を探しているのかわからない時もありました。
こんな便利なセルラホーンにも欠点があって、一つの地方局がカバーしているセルをはずれてしまうと極端に使いにくくなることです(目本は旧電々公社のおかげで、全国一本でいけるようです)。 特に受信するのが大変で、受信(着信)はぺージャーで、発信はセルラホーンで、というのがベストの組合せです。
この3つをガチャガチャやってると、見ている人は必ずこう言います。「何で、この3つが一緒にならんのや。 日本メーカー(Omron)やったらすぐできるやろ!」(たしかに、ぺ一ジャーはN社、電子手帳はC社、セルラホーンはH社。すべて日本のメーカでした!)
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