「今月のひとこと」の目次 毎月一回はその時々のトピックスをお送りしています。 2013年 12月 6日 11月 3日 10月 3日 9月 2日 8月 3日 7月 2日
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2013年12月6日
日経平均も16000円超を目前にして、行ったり来たりです。 来年から売却益に対する課税が強化されるので、それを見込んだ売りと買いが交錯しています。 海外勢もそろそろクリスマス休暇に入るので、動きが鈍くなってきたと思います。
NISAも早々と口座開設合戦が華々しかったですが、予想されたとおり、重複開設があって、これの取り扱いが問題となってきています。 基本的には早いもの勝ちで、開設日付の早いものが有効となりますが、同じ日だとどうするのか、問題ですね。
為替は円安に振れたのですが、意外にその効果は無くて、むしろ円高のメリットが失われて、貿易赤字は膨らんでいます。 もっとも、円安は国内物価の引き上げ要因になりますので、デフレ脱却には有効だと思います。 しかし短期的には痛みが伴います。
少しマシになってきたヨーロッパが怪しくなってきました。 要するにデフレです。 デフレはじわじわと効いてくるので、EU危機みたいなことはないですが、少しずつ体力が低下してくる感じです。 あれだけ大騒ぎしたギリシャの財政は、あっと言う間に持ち直して、財政赤字は激減したそうです。 ギリシャの場合では無いですが、単純に財政赤字が減ったから良いというものではないのが難しいところです。
通貨発行権を持つ政府は、ある程度の赤字は持っていないといけないようです。 しかし日本の財政赤字(誤解をするので敢えて借金とは言いません)は、巨額すぎます。 少なくとも半分にはしないといけないと思います。 現在の赤字を完全に黒字にするには消費税を20%以上にすべきと言う議論もありますが、赤字をゼロもしくは黒字にしないといけないと言う理由はありません。 通貨発行件を持つ国家の財政赤字を家計に例える財務省の説明はおかしいので、ここは少し頭を切り替える必要があります。
消費税の低減税率の話で、先日のBS放送の番組を見ました。 これを推進する公明党が説明していましたが、その論拠に唖然としました。 これを見て、公明党嫌いになった人は多いと思います。 低減税率推進の2つの根拠の1つが、国民が望んでいるから、と言うのがあって、これの更に根拠は、アンケートだそうです。 アンケートで低減税率が望ましいですか? と言う問いに、60%以上がYESと答えたと言うのが理由です。
誰でも税金が安くなることに異論はないでしょう。 むしろ40%もの人が、NOもしくは分からないと答えたほうがビックリします。 同席していた元主税局官僚が、「10%均一」 と 「11%+食料品の低減税率5%」の比較ならフェアーだと言ってました。 食料品の税率5%は全体の税率の1%に相当するそうです。 該当品目の線引きも難しいし、低所得者対策にもならないので、この番組を見たあとの私の感想は元々慎重であった低減税率は反対になりました。
その後が、もっとひどかったです。 元銀行員の公明党の副委員長かなにかの説明。インボイス方式でなくて、現状の請求書保存方式でと言う方法が、物凄く簡単で、みんな誤解していると人をアホ呼ばわりして、結局2つの税率を掛けた消費税を2段書きにしろと言うことでした。 コンピュータならちょいちょいで出来ると大見得を切っていましたが、摘要欄に★印を書いただけではPCでは計算できません。 あくまで手書きの伝票の話とPC処理の話の良いとこ取りで、話が一貫していませんでした。 早速、視聴者からは、「あなたは実務を少しでもやったことあるんですか?」 と言う質問(クレーム)が来ていました。 全く同感。 ごまかし説明の最たるものだと感じました。 リンクのビデオの後半をご覧ください。

こんなに中途半端に低減税率を導入したら、手間はかかるし、仕入れを低減税率で、売りを普通税率でやる、益税と言うより脱税を推奨するようなものです。 現在でも消費税の脱税が一番多くて、わずかの益税も問題になっているところに、こう言うのを持ち込むと、まともに消費税を払うのが馬鹿らしくなってくるのではないでしょうか。
経済の話はさておいて、最近は究極のエコカーとして、水素燃料電池が話題になっています。 元々水素は作るのが大変で、それにエネルギーを費やし、CO2も増えるのではないか、と思っていましたが、どうもそうでは無くて、現在でもプラントの副製品として、どんどん出来てしまうそうです。 また、原子力を使ったガス炉でも作れるそうです。
今まで私を含めて水素に否定的だったのは、その製造コストと運搬の問題でした。 コストに関しては、思ったほどはかからずに、意外に安価に出来ることが分かって来ました。 残る運搬の問題は、高圧にするとか、液化するとか、触媒を使うとか、いずれにしてもエネルギーのかかる方法しかなかったですが、先日の新聞では、通常の液体に水素を混ぜるというか吸収させる方法が実用化されるようです。 これだと従来のガソリンのように扱えるので、運搬には問題がなさそうです。 体積密度で500倍と言うことなので、これをもう少し上げないといけないのかもしれません。
また問題になっている遠隔地での再生可能エネルギー、例えば風力発電で生じた電力を使って水を電気分解して、水素を取り出し、それを液化しておけば、電力の蓄電にもなるし、タンクローリーで運べば、高容量の送電線の敷設も減らすことが出来ると言う事で、再生可能エネルギーの最大の弱点だった不安定さがカバー出来ると思います。

今月の読み物は、彗星がやってきたりするので、宇宙モノですが、内容は人間原理。 宇宙はなぜこのような宇宙なのか――人間原理と宇宙論 (講談社現代新書) 青木 薫 著 ¥798。
本書は、人間原理とタイトルがついているので、興味深く読んでみましたが、内容は70%が宇宙と素粒子に関する歴史についてです。 うまくさらっとまとめてあるので、基礎知識のあるかたには、考えをまとめる上では読みやすいと思います。 文章も分かりやすい。
本題の人間原理は、言ってしまえば人間が存在して観測出来るように宇宙は出来ていると言うことで、宇宙に合わせて人間が進化したと言うことです。 他のわれわれからは存在も認識できない他の泡宇宙が無数にあって、その中には人間のような知性を持ち宇宙を認識できるような生物が生まれることが出来ないような原子や分子が存在しない宇宙もあって、そこではその宇宙が存在することすら、誰にも分からないと言う事が有り得ます。
現在の宇宙でも、物理定数(例えば重力定数)が少しでも違えば、人間は存在できないのかもしれません。 また人間まで進化するだけの時間があるのかどうかも問題です。 あまりに太陽の寿命が短いと、生物が知性を持つまで進化するまでに、太陽系が終わってしまいます。
こう言うことは沢山あって、宇宙人の存在も話題になりますが、非常に微妙なバランスで、知性のある宇宙を認識できる生物にまで進化する確率は非常に低いものと思います。 我々が生きている地球は、たまたま非常に良く出来ているのではなくて、地球に合わせて人間が進化したのだと思います。 逆に言うと人間まで進化するためには、地球のような非常に稀な環境が必要なのかもしれません。
もともと、コペルニクス以来、人間や地球が万物の中心であることが否定されて、それゆえ宗教臭がぶんぶんする人間原理はあまり人気が無かったのですが、最近は見直されて、その原理で説明できることが多いことが分かって来ました。

内容紹介
科学書の名翻訳で知られる青木薫、初の書き下ろし!
「この宇宙は人間が存在するようにできている!?」
かつて科学者の大反発を浴びた異端の考え方は、なぜ今、支持を広げているのか。

最新宇宙論の世界で起きつつあるパラダイム・シフトの全貌をわかりやすく語る、
一気読み必至のスリリングな科学ミステリー。

【目 次】
第1章 天の動きを人間はどう見てきたか
第2章 天の全体像を人間はどう考えてきたか
第3章 宇宙はなぜこのような宇宙なのか
第4章 宇宙はわれわれの宇宙だけではない
第5章 人間原理のひもランドスケープ
終 章 グレーの階調の中の科学

内容(「BOOK」データベースより)
この宇宙は、人間が生まれるようにできている!?一見、トンデモ科学のような考え方が、21世紀に入った現在、科学者のあいだで急速に支持を拡げている―いったい何が変わったのか?激変しつづける宇宙像のいまを、2000年以上におよぶ人類の知的格闘の歴史から読み解く。

★★★(是非読むべし)





2013年11月3日
安倍政権による成長戦略も思うように進んでいないようです。 小さな目玉だった薬のネット販売解禁ですら、いろいろ例外が出てきています。 特区も中国などの経済特区に比べてもあまりに小粒でしかも進まず、法人税減税も夢のまた夢になってしまいました。 奇策の復興増税前倒し終了がやっとでした。

来年の消費税率アップ前の建築駆け込み需要と、やっと循環が始まった復興工事で、建設業界の人手不足が顕在化しているようです。 関西でも、建築作業員の確保が難しくなってきているようで、今までなら、すぐに始められた工事でもなかなか進まなくなりました。 東北大震災の後では、こう言うことを想定したのですが、なかなかそうならずに、やっと循環が始まった感じがします。 不謹慎ですが、元々大震災は、当時で20-30兆円と言われた需給ギャップを復興予算で埋めて、デフレ脱却のステップになるのでは、と思ったのですが、政権の運営が下手だったのか、なかなかその傾向が感じられませんでした。

1万6000円を目指す株価も1万4000円付近で行ったり来たりで、ぱっとしませんが、設備・機械関連の銘柄は、するすると上がっているのが多いです。 しかしこれも最近は下落傾向です。 一時流行った不動産関連やバイオもパッとせず、自動車もイマイチです。 このままで、消費税アップに耐えられるのか、少々心配になるところです。

ドイツのメルケル首相の電話が盗聴されたと大騒ぎになっていますが、このような状況になる遥か以前の2000年ぐらいに問題となった、エシュロン と言うシステムで、ほとんどの通信が盗聴されているのは常識でした。 この時も、欧州議会が調査をして公式の報告書を作って抗議をしています。 本欄でも取り上げたことがあります。 フランス語で「(梯子の)段」を意味する語 echelon に由来。

旧システムのエシュロンは、主に電波を傍受しており、軍事無線、固定電話、携帯電話、ファクス、電子メール、データ通信を含んでいます。 以前に西海岸の弁護士に、メールは流石に怪しいと思ったので、ファックスを送ったところ「アメリカ政府はファックスであろうと何であろうと盗聴しているぞ」と偉く怒られました。 封書の手紙は流石に開封できないので、どうしても連絡するなら手紙で、と言うことでした。

2007年から運営を開始した新しい盗聴システムはネットに対応したもので、PRISM 、正式名称はUS-984XNと言い、マイクロソフトの「So.cl」(ソーシャル)、Google、ヤフー(Yahoo)、Facebook、アップル(Apple)、AOL、Skype、YouTube、PalTalkの、あわせて9つのウェブサービスを対象に、ユーザーの電子メールや文書、写真、利用記録などの情報の収集をしているようです。

エドワード・スノーデンからの情報として、ブラジル、フランス、ドイツなど世界各国の国家指導者35人が電話盗聴の対象になっていたとのことで、イギリスもこの盗聴に加担しているとの情報もあり、UKUSA協定に加盟するイギリス連邦の諸国は監視対象になっていないらしいです。

日本には三沢基地に大規模な盗聴システムがあることが周知の事実といわれています。 今回のメルケル首相の件も、またかと言う感じではないでしょうか。 機密保持の甘い日本は当然に対象となっていて、首相や少なくとも主要閣僚の通話も傍受されていると思います。 せめて閣僚以上には、スクランブル機能のついたケータイを国費で支給すべきだと思います。

PRISMそのものかどうかは分かりませんが、今回報道された海底ケーブルを流れるデータの盗聴は、民間企業が作った盗聴ツールをアメリカ国家安全保障局 (NSA) が使って行なわれているとのことです。 北カリフォルニアの光ファイバー技術関連企業「Glimmerglass」社の海底ケーブルの信号を傍受するソフトウェア「CyberSweep」を使うとの事。 確かに、この企業のホームページには、顧客としてアメリカの情報機関が列挙されています。

2009年にNSAの予算からイギリスの政府通信本部(GCHQ)に支払われた金額が2500万ドルと大幅に増加しており、そのGCHQの所在地は多くの海底ケーブルが上陸する場所である北コーンウォールのBude(ビュード)にあることが明らかになっていることから、海底ケーブルの上陸地点で盗聴されているようです。

以前は光信号を電気信号に変換するところで盗聴が可能だったのですが、最近は光信号のままで中継することが可能になって、この方式はつかえなくなりました。 「Glimmerglass」社の「CyberSweep」を含むシステムは、光ファイバーそのものに割り込んで盗聴が行なえるようです。

先日から話題になっている「秘密保護法案」は基本的には必須だと思いますが、将来は必ず公開すると言う保証が必要でしょう。 この公開に適さないものの例示として、自衛隊の暗号と言うのがありました。 何か第2次世界大戦当時の話のような気がします。 未だに自衛隊は、暗号表片手に暗号を解いているんでしょうか。 人間の作る暗号は一発で瞬間に解読できるでしょう。 コンピュータが作るものも時間をかければ解読できます。 また、量子コンピュータが30年ぐらい経つと実用化されると思いますので、非公開期間を30年とすると、現在使っているどのような暗号でも意味がなくなってしまうはずです。

現在使われている暗号は、RSA方式がほとんどですから、アルゴリズムも、公開鍵も公知です。 秘密鍵は秘密ですが、頻繁に変更すれば問題ないです。 敢えて言うなら、鍵の元になる素数で、解読しにくい素数をどれにしておくか、は絶対的な機密だと思います。 RSA社でも、これだけは厳重な金庫に納めてあるとの事です。

Webメールを使っている人は、完全に傍受可能です。 メーラークライアントを使っている人でも、メールは中継されていきますので、傍受されていると思って良いでしょう。 送り元と送り先、件名は隠しようがないので、ばれても良いようにしましょう。 メールは全部フィルタにかけて、辞書と照合して、問題のキーワードがあれば、その送り元と送り先がブラックリストに載って、それ以降はそのメールアドレスから送受されるメールを全部傍受するような仕組みのようです。 機微な情報を含むメールの本文、添付ファイルには必ずしっかりしたパスワードをかけましょう。 これとて完全ではないですが、恐らく最初のフィルタには引っ掛からないと思います。

今月の読み物はデフレと超円高 (講談社現代新書) 岩田 規久男 著 ¥ 777
一時は日銀総裁候補になり、その後は副総裁に就任した岩田さんの著書です。 ふっと書棚を見ていると、この本があったので、再読してみました。 びっくりするのは、これが2011年2月に出版されていることです。 現在は、副総裁で実際に政策を実行しているとは言え、そのシナリオは、驚くほど実際の動きと一致しています。 この本を買った時は、リフレ派のひとりとして、結構過激なことを言う人だと言う印象があったのですが、こうやって読み直してみると、これは凄いと思いました。 インフレ目標が3%だったり、株価の上昇タイミングが少し違ったりしますが、これは想定との誤差範囲です。 アベノミックスの2年前に書かれたものとして、必読ですね。

【内容説明】
緊急出版! 日本経済の危機と希望を問う! 若者の就職難、雇用の不安定、賃金の低下、社会保障制度は崩壊寸前、今の生活のままでいいのか。 ガバナンスと金融を考えることは日本の緊急の課題である。経済学の第一人者が提案する日本経済を救う秘策とは!

【目次】
第一章 円高はなぜ起きるのか
第二章 デフレは円高を生む
第三章 デフレと円高はなぜ悪いのか
第四章 構造デフレ説の誤謬
第五章 デフレは貨幣的現象である
第六章 日銀の金融政策の目的は「デフレの安定化」
第七章 インフレ目標でデフレも円高も止められる

★★★(是非読むべし)





2013年10月3日
とうとう1年のうちの4分の3が過ぎてしまいました。 消費税のアップも最終決定をして、春からの8%が決まりました。 気候はまだまだ暑いですが、この分だと秋はすぐに終わって冬がすぐに来るようで、気温の変化についていけずに体がおかしくなりそうです。

中国もシャドーバンキングの懸念にも関わらず、当面は持ち直しているようですし、アメリカの金融緩和の出口が少し遠のいたので、新興国も一息ついたところでしょう。 シリアも少し見えてきたし、来年の4月の消費税アップ後に何も起こらないように祈るだけですね。

株価はアメリカのオバマケアに関わるバタバタの影響で、円高となりそれにつれて株安となりました。 アメリカも年初の大騒ぎに慣れてしまって、油断があったのではないでしょうか。 日本も、消費税がうまく軌道に乗らないと、債務残高がどんどん膨らんで、同じような役所の閉鎖が現実になってきます。 ただし日本ではレイオフみたいな制度がないので、アメリカのようにうまくバッファリング出来るのかどうか分かりません。

安倍政権はなかなか運が良いです。 運も実力のうちで、前政権は政権運営能力も無かったが、運にも見放されていました。 消費税に関しては、夏ごろまでは本当に迷いが在ったと思います。 しかし、逆にアベノミックスの進展で、後には戻れなくなったものと思っています。 現時点でも、消費税アップをやめるべきと言う人が居ますが、この時点で止めたら無事では済まないと思います。 消費税を上げる事による反動よりもっと大きな悪影響が出るし、消費税のアップは、しばらくは出来なくなります。

1%づつアップ論が出てきた時には、やらせではないかと思ったんですが、そう言う雰囲気はあって、財務省に5兆円を飲ませたところから、話が進んだと思います。 この5兆円はだいたい消費税の2%に当たっていて、要するに正味は1%アップと同じと言う意味になるようです。 これで、1%アップ論は瞬く間に消えてしまいました。 浜田さんももう何も言っていないようです。 残る大物は、法人税減税。 復興税の前倒し解消みたいなトリッキーな話ではなくて、本家の法人税減税を正面からやるべきです。

参議院選挙の結果さらにはオリンピックの東京開催決定が、決定的な要因になったものと思います。 その後は一気呵成に決定へと突き進んだような感じです。 これに対して、少々だらしないのは経団連を始めとする経済界。 ボールは経済に移ったので、ここで成長してみせる、と大見得を切ってもおかしくない場面ですが、何となく押されて気味で、発言も評論家みたいなことを言っている。 これからは企業の出番。 以前に比べると、やることの目標はハッキリしてきているので、持ち前の集団力で大いに成長して欲しいものだと思います。

少し経済がマシになってきたら、今年の冬の電力が心配だそうです。 ここはやはり原発を再稼動して、当面のエネルギーの心配を克服しておかないと、成長戦略もなにもないと思います。 また、安倍首相が演説したように、日本と言う原子力にいろいろな意味で関わっている国、また世界第2-3位の経済大国では、世界に対して、原子力の有効利用に対して貢献していく責務があると思います。

ただ東京電力の汚染水をめぐるあの振る舞いをみていると、原発の運用は無理ではないか、と思うようになりました。 どうもJR北海道でもそうですが、インフラ企業と言うのは、マネジメントが出来ていないような感じがします。 他のインフラ会社の内情をみても、インフラ会社は、特にマネジメントしなくても、ルーチンで動く組織ですので、現場さえ動いておれば良いという感覚になるのかもしれません。 こう言う組織の管理職や役員は何をしているんでしょうかね。 毎朝会社に出勤して、お茶飲んで、新聞読んで、たまには接待ゴルフと言うような、ステレオタイプの監理職像を思い浮かべてしまいます。

ドイツが脱原発をしているという話がありますが、日本ほど大きくはないし、原子力に対しては何もしがらみが無い。 原発を止めてもフランスから原発の電力を持って来れば済む国とは大きな違いがあると思います。 いずれにしても、新たな原発はこれから30年以上は作れないでしょうから、その間に現在の原発は寿命を迎えますので、それをどうするか、が最大の問題です。 もっと小規模の30万キロワット級で、カプセル化した、軍事流用が出来ない原発を開発するのが良いと思います。

安倍政権の運について書きましたが、先日の新聞で秋元康が書いていた記事。 AKB48は総勢250人以上居るらしいですが、そのトップをジャンケン大会で決めるのだそうで、今回は4回目。 この大会の優勝者は、1回目を除き、あとは全てトップ16の常連だそうです。 それも全てパーとか、全てチョキとかで勝ち上がったそうです。 それでこれは八百長ではないか、と言う批判もあるようですが、本人曰く、八百長が入り込む隙がない、現場に居たら分かるが、みんな本気のガチンコでやっている、と言う意味のことをかいていました。 つまり、トップを取る子は、何かを「持ってる」子、要するに運と言う実力を持っているんだという話でした。

実際のビジネスの世界でも、運も実力のうちとはよく言われますが、こんなジャンケン大会みたいな単純な場面で、それが結果として出てくるのには、正直びっくりしました。 やっぱり常に気合をいれて、運を呼び込まないといけないのですね。 AKB48の選抜に関しては、ひょっとすると統計上のまやかしがあるのかもしれないと思って、その内に調べようと思っています。 例えば、昔の50人学級で、同じ誕生日の生徒が学級にはほぼ1組存在するとか言う話もあって、確率は365分の1だと思いがちですが、統計上は有り得る結果だと言う事になっています。 従って、AKB48のジャンケン大会もそう言う背景があるのかもしれません。

今月の読み物は、「真夏の方程式」 (文春文庫) 東野 圭吾 著 ¥720
最近はノンフィクションばかりで、どうしてもフィクションと思って、ミーハー的に読んでみました。 大学の後輩だそうで、少し理系の匂いがするのが受けるのか、同系の学部なので少し親近感があります。 推理そのものには、無理がありますが、綺麗な海がある寂れた海岸町の話なので、気分的に爽快になりますね。



★★☆ 緩めのものを読みたい方はどうぞ。







2013年9月2日
暑い暑いと言っている内に、とうとう9月に入りました。 暑さも少しはマシになって、朝は結構涼しい日も多くなってきました。 しかし関西でも、気温は平年から、ちょうど1℃高いだけらしいです。 1℃高いのがこれだとすると、温暖化で地球の平均気温が1℃上がると言うことは、大変なことだと今更ながら思います。

稲の生育が早くなったとか、りんごの味が変わったとか、魚の採れ方が変わってきたとか、雨の降り方が違ってきたとか、影響はどんどん顕在化しているようです。 農作物も生育が違ってきて、従来の作り方ではうまく育たないと感じていましたが、先日他の農家でも同じようなことを聞きました。

炭酸ガスが原因かどうかは、定かではないですが、これだけ化石燃料をどんどん燃やしたら、地球は暑くなるのは当たり前ですよね。 過去営々と化石燃料として溜め込んだ太陽エネルギーを一気に吐き出しているわけですから、根本的には、使うエネルギーを減らす、更には地球の人口を減らすと言う事しか解決策が無いようにも見えます。

ラリーニーブンのSF、リングワールドでは、人口太陽の周りに幕を張って、昼と夜を作り出していましたが、これを逆にして、地球の周りに太陽光発電パネルを帯状に敷き詰めて、少し地球に影を作って冷やす。 ついでに発電もする。 実現の困難度は別にして、使用するエネルギーや人口を減らすと言うような話より、技術で解決できる、このような方法の方が実現しやすいと思います。

原因はともあれ、地球の温暖化は現時点でどのような対策を採っても、進行しますがら、将来の世代は、日本の場合は、政府の財政債務と併せて、面倒な問題を抱え込みます。 尤も、政府の財政債務は、日本の場合は最終的には国民の債権ですから、気分的なものを除けば国全体では中立だと思います。 高年層が溜め込んでいる資産もいずれは、相続と言うカタチで引き継がれるのですから。

このような高度な社会を、生まれたときから引き継げるのですから温暖化も、そのコストと思わないとしょうがないですね。 まあ、損得で言うと今の世代、特に高年齢層は、現役時代には、それなりに苦労をしてきたのでしょうが現時点では成果は享受して、その副作用は後で、と言うように食い逃げ世代と言われてもしょうがないでしょう。

前置きが長くなりましたが、経済状況は少し足踏み状態。 株価もさえないし、まだ年末18000円と言っている経済評論家も居るみたいですが、いずれもしても消費税の決定待ちではないでしょうか。 物凄く難しい判断だと思いますが、市場は消費税アップをすでに折り込んでおり、今さら延期は無いと思います。 延期や条件の変更となると、法律を通しなおさないといけないので、第3の矢の成長戦略の議論が吹っ飛びます。 また、この消費税のアップはほとんど有効ではないのですが、財政規律に疑問符が特に海外から付くと思います。 更には安倍政権の指導力にも疑問符が付くと思います。 経済学者は経済的な観点からいろいろ言いますが、アベノミックスで分かったように、今は気分的なものが非常に重要なので、ここでテンションが落ちるような政策は、経済理論的にいくら正しくても、やるべきでは無いと思います。

それにしても安倍政権はラッキーですね。 ちょうど株価や円安が最低レベルまで落ちたときに金融緩和や財政出動をアナウンスした。 これ以上のタイミングは無いと思います。 アナウンスしただけで市場は反応した。 さらには、とうとう出た麻生失言も、何故かほとんどのマスコミは問題にせず、ちょうど起きた沖縄米軍のヘリコプター事故で掻き消され、その事故ですら、あっと言う間に忘れ去られてしまいました。 事故が起きなければ、またその事故が、たまたま市街地で起きたら、天地をひっくり返すような騒ぎになったことでしょう。 ラッキーも実力のうち。 国のトップであれば、理由はともかく、悪いことも良いことも結果責任が全てです。 最後の消費税の決定もなんらかのラッキーが起こるのか? 10月までの1ヶ月は目を離せません。

量子テレポーテションの記事が、先日の新聞それも一般紙の読売新聞にありました。 量子テレポーテションは既に実現していて、それを利用した暗号通信システムも実用化されていますが、今回はそのテレポーテションの効率が飛躍的にアップしたと言う記事です。 本欄でも 2003年には取り上げていますので、詳しくはそちらをご覧頂くとして、この分野では日本がかなり先行しているようです。

アインシュタインの有名なEPRパラドックス(提案したアインシュタイン自身が間違っていた)を実際に実験で確かめることが出来て、量子化した光子を作り出して、実際に実験を行なっているようです。 まあこう言うことが出来るので、量子暗号装置も開発できるんですが、イマイチ理解できない(光子がどこにあるのか確定しないなど)量子力学は、単なる数学上のモデルと思っていましたが、実際にこうやって、実際の光子をつかって、実験できるのでは、驚異的なことだと思います。

クウォークを提案した、後でノーベル賞のゲルマンが、本人ですら数学的なモデルだと思っていたところ、実際に発見されて、最近で話題になったヒッグス粒子も実験で確認されています。 あの天才のアインシュタインが徹底的に否定した量子力学が現実の世界そのものと言うのは、驚異的なことです。 アインシュタインが言った「この世で一番不思議なことは、我々が宇宙を理解できることだ」の言葉がますます心に響きます。

遠い世界の話のように聞こえますが、量子テレポーテーションが進化すると量子コンピュータが作れます。 これが出来ると、現在我々が使っている暗号技術は、ほとんど無効になるといわれています。 ほとんどのPCには、IEをはじめ沢山のソフトウエアに暗号技術が使われています。 これが後数十年で、無効になって、暗号で秘匿した情報が筒抜けになってしまう可能性が高くなります。 財政赤字の破綻か、地球温暖化か、暗号の無効化か、あと20-30年は激動の時代になりそうです。

今月の読み物は、本屋でたまたま見つけた 「実践 日本人の英語」岩波新書 マーク・ピーターセン 著。 ¥798 最初の衝撃の著書「日本人の英語」から25年。 他にも著書が多数あるようですが、本書は特に格調の高い大人の英語の特に文章を書くための本です。 日頃はメールを書くたびに呻吟して、妙だなと思いながら送信ボタンをクリックするのですが、ここには、その問題点がほとんど網羅されているのではないでしょうか。 ブツ切れの文章を如何につなぐか、繋ぐ言葉をどうするか、冠詞や時制をどうするか、格調高くするためのテックニックとか、非常に役に立ちます。

最初の「日本人の英語」は衝撃でした。 まず、外国人がこれくらいの日本語が書けるのか? と言う衝撃。 25年経ってますます磨きが掛かっています。 日本語だけでも対抗できないな、と言う感じです。 まだ、読んでない方は、英語に興味が無くても、是非読んでください。 続けて出た「続 日本人の英語」はイマイチでしたが。

最初の「日本人の英語」でやっと冠詞の使い方が分かるようになりました。 それまでは、要するに分かっていなかった。 つまり犬だと、a dog, the dog, dogs, my dog, ・・・ それぞれ意味が全く違ったり、意味が通じなかったりすると言う事が良く分かりました。 また時制も間違えると意味が全く通じないということがある。 本欄でも 2003年に取り上げています。

ただ、日本人の側から言わせていただくと、日本語には冠詞の概念がない、さらに、「です」、「ます」、「そうね」、「ですか?」 「でしょうか?」 などなど最後にくる動詞の変化が山のようにあって、しかもこれは英語では表現できない。

従って、英文を書くとやたらとTheが付いたり、現在形では何となく気持ちが悪いので、時制をいじってみるが、これが誤解を招く。 逆に外国人の日本語を聞いていると、聞きかじりなのか、最後に「ね」をいつもつけて話すとこれが耳障りになります。

要するに、英語は論理的な言語なので、私はこれを「ロジカル・ニュアンス」と名前を勝手につけています。 冠詞をつける、複数形のsをちょっと付けるだけで、意味がバーンと明確なります。 無ければ意味が分からんときもある。 かたや日本語は、馬から落馬するのと同じみたいなので恥ずかしいですが「エモーショナル・ニュアンス」と言ってます。 最後に、「ね」とか「だよね」「でしょ」とかいろいろ付けて気持ちを表す仕掛けです。

ある時、東京の地下鉄で、女高生が2人乗ってきて話を始めました。 2人とも完全バイリンガルで、英語と日本語を交互に使っていて、面白いと思って聞いていると、誰それが何をしていたか、とか、こんなことがあったよ、とか言う説明は英語でやっていて、それ凄いねーとか、かわいいねぇとかは日本語。 両方の言語の良いとこ取りで、感心しました。

いずれにしても、日本人は気持ちを表す方法が無いことにフラストレーションを抱きながら英語を使い、それを聞く方は、その論理性の無さにフラストレーションを抱いて、お互いがフラストレーションを持ちながら会話していることを忘れないことが、解決だと思っています。

★★★(日本語自身を知る意味でも、是非読むべし)






2013年8月3日
暑い日が続きます。 今年は猛暑で期間も長く、まだまだ続きそうです。 マーケットも参議院選挙には全く反応せず、中国を震源とした東南アジアの経済状況に敏感になっている印象です。 一時下がった株価も元に戻し、しかしおっかなびっくりで、少しでもおかしくなると、売りがかさみます。

とうとう出た麻生失言。 政権発足時からの心配が、とうとう現実になりました。 半年間は、なかなかうまくやっている、財務省と官邸のバランスをうまく取る様な財務省寄りの発言で、いいなと思っていましたが、とうとう地が出てしまった。 飲み屋でだべる様な話を、副総理が公式の場で言ってはいけないと思います。 これで96条改正は完全になくなったし、しばらくは憲法改正の話は出来なくなりました。 下手すると、また政権の命取りになってしまうのではないかと心配になります。 やっと安定的な政権が出来たのにぶち壊しです。 橋下発言も(外交的に)ひどいが、これはもっとひどい。 何の主張も得も無いです。 アメリカも頭を抱えているでしょう。

消費税は上げざるか上げるべきか、ハムレットの心境ですね。 7:3 の確率で上げる方向だと思いますが、麻生発言と中国経済の行方を注視しないといけないですね。 恐らく悪いシナリオでは、消費税を上げる判断を秋にして、その後実施を春にやったときに、中国がガタっとくる場合。 安倍政権は、いままで調子よく来ていて、運を使い果たしたかもしれません。 まだ運が付いていたら、消費税を上げて、中国問題も平静であることでしょう。

最近、立て続けにPCを買い替えました。 せっかく買い換えたメインのPCがおかしくなったので、以前にこれを同じ Acer に買い替えて、Core i7で快調。 XPのノートブックも2台をSSDに換装したが、不安定なので、Lenovoの E130と E135 に買い替え。 Core i3 と Core i5。 ノートブックの相場的には、Core i3 は3万円、Core i5 は5万円ですね。 しかし i5 は流石に速い。 どちらもSSDに換装して、瞬間に立ち上がるようになりました。 スリープからの復帰も安定して、XPよりも使い勝手が良くなりました。

最後は、Core i3 の DELL ミニタワー。 DVDドライブ(DLまでサポート)が付いて、しかもディスプレイも付いて 2万円台だったので思わず買ってしまいました。 ディスクが一台しか入らないので、増設が出来ませんが、SSDはどっかの隙間に押し込んで、電源も分岐を使えば、元のディスクはデータ用に、SSDはシステム用に使い分けが出来ます。

最近は何が何でもWindows8 と言う機種が減ってきて、Windows7が選択出来るようになって来ました。 W8 を使っていて、W7 を使うとほっとします。 最近の W7 はユーティリティを含めて、かなり良くなってきています。 W8 は各種の設定を下手に隠そうとするので、ちょっとした設定を変更しようとすると、非常にやりにくいです。 W8にデスクトップが復活するようですし、W8が受け入れられなかったのはMSも認めたようです。

SSDも、結局3種類購入しました。 体感スピードの違いは分かりませんが、最初のは、インテル の 256Gb。 ツールの機能が高いです。 しかし、W7 以上ではSSDのメンテナンス機能はサポートされているので、特に必須ではないです。

次は、東芝 128Gb。 書き込みも速いと言う触れ込みだったので購入しました。 ミニタワーに入れましたが、ツールが皆無。 移行ツールもないので、リカバリデバイスを作って、工場出荷にもどして、そこからセットアップしました。 導入直後なら、これの方が、移行は速いです。

ノートブックのSSDは、Samsung 120Gb。 なにしろ安い。 7000円台で買えます。 付属の移行ツールは良く出来ていて、パーティションのサイズ変更とコピーが同時に出来ます。 従って、元のディスクのサイズより小さいSSDにも簡単に移行できます。 パーティションが2つ以上あっても、楽々移行完了。

一般的にノートブックは Core i5 の5万円クラスを買って、SSDに換装、メモリも8Gb にしたら通常のビジネス用途で本格ゲームをやらなければ、これで十分。 もっとも、ビデオを編集したりするなら、Core i7 が必要かもしれませんが、数値を見る限り、 i5 でも問題ないようです。

今月の読み物は「虹の翼」 文春文庫 吉村 昭 著。 ¥740。 同名の石原裕次郎主演の映画もあるようですが、まったく無関係。 宮崎駿もあったか、と思ったんですが、これは「紅の豚」。 ライト兄弟より先に飛行機を着想した二宮忠八の物語。 着想して、模型まで作ったのですが、その後は軍隊に入り、さらには製薬会社を設立したりしたので、物語の大半は、中国での戦争の話と、その後の製薬業界の話で、飛行機とは関係ないです。 当時の時代背景を知るには良いと思います。

京都府八幡市にある、飛行神社がなぜここにあるのか、やっと分かりました。 飛行神社を調べていて、饒速日命(にぎはやひのみこと)は古代の空の神といわれたのを、これも初めて知りました。 「天爾瑞宝十種」を奉じお供の神三十二柱を従えて天磐船という飛行船に乗って、河内国河上の哮峯に天降られたとのこと。

二宮忠八と言う人は、出来る人であったらしく、製薬会社を設立したり、新薬を自力で開発して、ライセンスを得るなど、飛行機の実現では遅れを取りましたが、もし当時資金があったら、世界初の飛行機が誕生したことでしょう。

明治の半ば、ライト兄弟が世界最初の飛行機を飛ばす十数年も前に独自の構想で航空機を考案した男が日本にいた。奇才二宮忠八のひたすら空にあこがれた波瀾の生涯

内容(「BOOK」データベースより) 人が空を飛ぶなど夢でしかなかった明治時代―ライト兄弟が世界最初の飛行機を飛ばす十数年も前に、独自の構想で航空機を考案した男が日本にいた。奇才・二宮忠八の、世界に先駆けた「飛行器」は夢を実現させるのか?ひたすら空に憧れた忠八の波瀾の生涯を、当時の社会情勢をたどりながら緻密に描いた傑作長編。

★★☆ 【興味のある人は読んでください】







2013年7月2日
とうとう1年の半分が過ぎてしまいました。 今年の前半は波乱の前半で、まさかまさかと思っていたら、どんどん株価が上がって、最後はあれあれと下がっていきました。 もともと異次元緩和は既に織り込み済みで、上がっていたところに、サプライズがあって、急激に上がったと言う事でしょう。 その分が剥げ落ちて、異次元緩和の前段階に戻ったのは、自然の成り行きだと思います。 ともあれ、先週末から14000円と100円を覗う展開になっており、少しは気分が良くなってきたかと思います。

一方、お隣の中国では、金融リスクが高まってきているようです。 地方政府が借り入れは出来ないはずが、いろいろ抜け道を使って、巨額の借り入れを行い、それで地方の開発を行なっていたのですが、それがそろそろ怪しくなってきたようです。 一種のヤミ金融で「影の銀行(シャドーバンキング)」と言われる中国特有の問題。

まああれだけ融通無碍な中国で規制をいくらかけても、こう言う問題は沢山あると思いますが、あのリーマンショックの現況となった、サブプライムローンと大同小異と言うのが一般の見方です。 何処にどれだけのお金が回っているか分からないという点では、まったく同じでしょう。 世界中にばら撒かれている程度は低いと思いますが、例の金融工学の功罪で、何処にそれが紛れ込んでいるのか分からずに、みんな疑心暗鬼になって、信用収縮するのか最も恐ろしい点です。

中国問題の顕在化が消費税の8%へのアップの時期と、下手すると重なるので、非常に微妙な時期ではあります。 アベノミックスは非常にラッキーに少し早くスタートしたので、成果が現れていますが、これが半年遅れていたら、アメリカのQE3の出口戦略問題の混乱と合わさって、どう言う展開になったのかは予想も出来ませんね。 いずれにしても、今後1年間には何かが起きると思うのでアベノミックスで注意が逸れていても要注意です。 オリンピックの後も、リーマンショックも、何とか切り抜けてきた中国ですが、今後は国内要因ですので、予断は許しません。

安倍政権がラッキーなのは、TPPでも同じです。 良くあのタイミングで、反対を押し切って参加を表明しておいた事だと思います。 先日の米中会談で、中国はTPP参加を口にしました。 中国の現制度でTPPに参加は出来るはずもありませんが、物凄く意識していることは間違いないです。 もし日本がTPP参加を表明していなければ、どんな悲惨な状況になったかは、想像に難くないでしょう。 ラッキーも実力のうちです。

消費税増税もポイントは同じです。 個人的には消費税のアップは、もうワンテンポ遅らせたほうが良いとは思いますが、この状況下で、もし延期すると言う話になると、日本の財政の信任は一気に落ちて、国債は暴落するでしょう。 と言うことは国債の利率が大幅にアップして、3%のアップどころではなくなってしまいます。 マスコミや政治家の話を聞いていて、一番気になるのは、こう言う国内からしかモノを見ていない点です。 好むと好まざるとに関わらずグローバルの時代には、国内だけを見ていてもほとんど意味が無いと思います。

あまりマスコミでは論評されていませんが、安倍政権の海外に対するアクションは目を見張るものがあります。 囲碁で言えば、中国と言うシマを周りから、どんどん石を置いて囲んでいる感じですね。 国会が忙しいから海外で出れないとか言う言い訳が、過去にはありましたが、やる気になればいくらでも知恵は出て、実行できるものだと思います。

更には外務大臣も良くやっていると思います。 最初は国対のイメージが強かった外務大臣ですが、外交(特にアジア)も国対の延長と言うと怒られそうですが、そんな感じで、初期の懸念はまったく払拭されました。 麻生さんも財務省の言うことをそれなりに代弁して、しかしうまくカウンターウエイトになって、甘利さんとうまくバランスしていると思います。

ITの話題がほとんど無くなってしまいましたが、久々にDELLのPCを発注しました。 Vostro 270s Core i3 Windows 7 Home Premium と言う代物で、これで19インチながらディスプレイが付いて配送料、税込 \24,978。 まだ現物が到着しないので、なんとも言えませんが、定価では7万円弱の値段が付いているものです。 Windows 8 はキャンペーンか何かで安いのですが Windows 7 なのでビックリ。 ちなみにスタートボタンを復活した Windows 8.1 が出るようです。 MS自身がやっと失敗を認めたようですね。

今月の読み物は、今回のメインテーマの中国をもう少し深く知るための 「おどろきの中国」 (講談社現代新書) 橋爪 大三郎、大澤 真幸、宮台 真司。 \945 鼎談形式でまとめられていますが、そもそも中国人の思考はどうなっているのか? と言うのが隠れたメインテーマです。 結局、秦の始皇帝から毛沢東まで、あんまり変化していないのでは? と言うのが結論で、あの大きな中国が何故統一されたのか、統一する必要があったのかが分かります。 また統一には、表意文字である漢字が非常に大きな役割を果たしたことが分かります。 いろんな民族が居るので、漢字で書かれた中国語をどう言う発音で読んでいるのかは分からないが、意味は通じます。 何しろ東夷であった日本人でも、読んでいたんですから。 もっとも返読のための返り点を打ったり、涙ぐましい努力の末にも必須の中国語を読んでいたんですね。

第4部の中国のいま・日本のこれから、は読まないほうが良いです。 ここまで来て、中国命みたいな、中国礼讃のオンパレードで、どこかの元総理大臣みたいな話になって、1-3部の評価ががたっと落ちます。
★☆☆(他にもっとよい本がありそう)