「今月のひとこと」2006年前半の目次 毎月一回はその時々のトピックスをお送りしています。 2006年 6月 4日 5月 3日 4月 1日 3月 4日 2月 4日 1月 1日
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6月4日
村上ファンドのインサイダー取引で、またまた株価、特に中古小型株は軒並みダウンです。 2000年に初めて敵対的TOBをかけた時は新鮮で、やっと日本にもアメリカ風の株主本位の流れが少しは出来てくるかと思いました。 何もしていない経営陣に活を入れると言う意味では非常に貢献したと思います。 日本の会社の経営者はサラリーマンのアガリ的な感覚があって、給与の高い名誉職的な意味合いが多くありましたので、これで多少は経営を真面目に考えていかないといけないと言う認識が出来上がってきたのでしょう。

経営と営業の区別がないような場合も多く見受けられます。 最近の執行役員制度も、うまく使うと取締役は本来の経営に専念できますが、現場との遊離が問題となります。 米国では、現場とトップの間の遊離は当然のものとして認識されていて、その間を埋めるノウハウがあるのですが、日本の場合はそのノウハウが不足しているので、一部の天才的な経営者だけが本来の経営を行っていると思います。

以前の日本放送とフジテレビ、今回の阪神電鉄と阪急ホールディングスの場合も、どこに経営の効果があるのか一向に見えませんでした。 今回で言えば阪急側の交渉代理人が目立っただけではなかったでしょうか。 確かに専門家に任せると言うのも一つですが、経営者は経営のプロであるべきですから、専門家とも対等に話をして、自らの意思を持ってそれを貫くと言うことが必要ではないでしょうか?

太平洋戦争のアメリカ軍が日本軍を部隊長クラスまでは一流、将官クラスは二流と評したことがあったそうですが、平時はトップは何も言わずに君臨するだけで良いのでしょうが、いざ戦争とか、敵対TOBとかの非常時になると、トップダウンのリーダーシップが必要となってきます。 もっとも米国の経営者は責任を一身に受けているので、とんでもなく報酬が高くなります。 下手すると本当に監獄行きになりますから。

株式市場は、この辺で膿を出し切って、本来の力強い動きを見せて欲しいもので、景気は全体に上向いているのですから、もっと安定しても良いと思います。 為替も行ったり来たりで神経質ですし、原油はどこまで上がるのか不安定要素は多いので、株価も安定しないのかも知れません。 1990年代にはアメリカの10年以上の株価の伸びがありましたが、ひょっとすると、このような状況に日本もなっていくのでは? と密かに期待をしています。

インターネットの世界では、Web2.0の時代となって、いろいろなモノが出てきています。以前から話題になっていたBlogですが、最近はどんどん進化してきて、CMS(コンテンツマネジメントシステム)としてもその地位を確実にしつつあります。 通常のビジネスのHPでも、ブログをベースにしたものが多くなってきて、一見してブログとは分かりません。 おそらく良く出来たものは通常の作り方のHPと見分けがつかないでしょう。

ブログベースのHPのメリットとしては、コンテンツの変更が容易になり、専門家でもなくても変更が可能になります。 またコンテンツそのものも、XMLベースで検索エンジンに引っかかりやすくなっており、一般には難しいデータベースを使用するようなサイトでも、結果を展開することにより、検索エンジンで検索可能になります。

定番のMobleType3はもちろんのこと、その他にいろいろ探してみたら、http://bubbler.net/ と言うものがありました。 1年以上前からあるようですが、このブログはスピードが命。 自分のブログを開設できるのですが、それがほとんど2-3分で可能です。 使い勝手を上げるためにクライアントのツールをダウンロードしないといけないのですが、これを含めて、簡単な情報を入れるだけで、1Mbのブログが無料で作れます。

もっとも面白いのは、写真やファイルをアップロードするのに、単につまんでドロップするだけで済みます。 メッセージもテキストボックスにキーインするだけで、Webブラウザの本来のサイトに反映されます。 欠点は、ツールを含めて全て英語なので、英語が苦手な方には少し難しいと思います。 ただし、ブログそのものは日本語が使えます。 ツール上では多少文字化けしますが、ブラウザの上ではキチンと表示されます。 また、1Mb以上は有料となりますが、10Mbで月600円ぐらいです。 4Gbで年間11万と少々高め。 お試しあれ。

この他には、SNS(ソーシャルネットワークシステム)と言うのが韓国を中心に大流行だそうです。 しかし、ほとんどのSNSが既に入会している人の紹介が必要なので、なかなか入ることが出来ません。 本来の趣旨が、クローズなシステムでお互いの議論のレベルを上げようと言うことですからそのとおりになっています。 またこのような特色を利用して、企業がマーケティングや具体的な商品のアイデア募集に使ったりしています。 インターネット登場以前の、パソコン通信のイメージがします。 当時も特定の商品に関しては会議室が出来ており、その中で、メーカーの担当者を含めた議論がされていました。 パナソニックのレッツノートが有名でした。 おかげで当時のトラックボールの付いた機種がずっと残っていました。

ダ>">今月の読み物は、何と言っても、 ダ・ヴィンチ・コード(上中下) 角川文庫 ダン・ブラウン著, 越前敏弥(翻訳) 各¥580税込 でしょう。 文庫本が出てきたので、早速買ってみました。 聖杯、シオン修道会、テンプル騎士団、マグダラのマリア・・・・などなど、およそキリスト教に関する伝説をこれでもか、と紹介しています。 テーマは全く違うのですが、マイケルクライトンの小説を思い出しました。 ビジュアルな表現と相まって、映画に適した小説になってます。 クライトンと違うのは、クライトンは科学の世界なので精密に記述できるのですが、このような伝説になるとあんまり精密には記述できないと思います。 しかし、もう少し突っ込んだらもっと面白いものになったと思います。

メインのテーマの謎解きですが、暗号と言っても極めて初歩的。 パスワードのSofiaとかAppleとかを引き出す過程も、恣意的であんまり必然性は感じませんでした。 最後もルーブルに戻って、逆さピラミッドのところで何となく尻切れトンボ。 まあこれだけ風呂敷を広げると収拾が大変でしょうけど。

映画はまだ見ていませんが、映画評によると出来が良くないとの事。 淡々と小説の謎解きを追いかけているので、流石の名優のトムハンクスもどうしようもないと言うところでしょう。

聖杯伝説の映画では、遺跡をどんどん壊すのではらはらする、ハリソンフォードの インディジョーンズ/最後の聖戦 の方が面白い。 なにしろテンプル騎士団の騎士が今も生きていて聖杯を守っているんですから。 また聖杯のおかげで生き返ったり、ナチスが出てきたりでテーマが明快。 ちなみにヒットラーは本気で聖杯を探して、フランスへ部隊を送ったことがあるそうです。

キリスト教関連では、この他に、足の病気が治って、不要になった松葉杖がそこらじゅうに掛けてあると言われる、ルルドの泉。 処刑後のキリストに掛けられていて、その顔が写っているという聖骸布とかがあります。












5月3日
史上最大の黄砂とか、極端に暖かくなったり寒くなったり、長雨が続いたりと、相変わらず天候不順です。ゴールデンウイークも夏みたいだったり、冬に逆戻ったり。 株価もあがったり下がったりで、全体としては下がっているような感じです。 日経平均で100円も200円も時には500円くらい上がったり下がったりしますので、日経平均の先物のデイトレをやっている人にはうれしい日が続いているのでしょう。 ただリスクもあるでしょう。 流石に土地関連特にリートは安定していますね。

ライブドア騒ぎの時もびくともしなかったし。配当の権利落ち後もほとんど下がらない。 アメリカの土地バブルも怪しいと言われながらずーっと持っています。あれだけのお金がばら撒かれて、コストがほとんどゼロのお金がいっぱいあるわけで、昨年末の株価上昇もバブル特にITミニバブル、最近の土地関連も一部はバブルでしょう。 昨年のITミニバブルからは、まだ元に戻ってはいないと思います。 また次のバブルの波に乗るか。

最近使っているPCの速度が落ちたような気がしたので、いろいろなツールを試してみました。 速度が落ちる要因にはいろいろあるのですが、今回はレジストリの掃除と、ディスクのデフラグをやってみました。 新品の時から速度が落ちたと感じておられる方は試してみてください。

まず、レジストリの掃除ですが、元々95や98の時代には、システムやアプリケーションソフトの細々したデータはINIと言う拡張子の単独のファイルに格納されていました。 これがだんだんと巨大になったで、NTやXPになってから、レジストリと言うところにまとめて管理しやすい形で格納することになりました。 ソフトをインストールした後の再起動は、ほとんどがこのレジストリの読み込みを行うためのものです。

このレジストリもソフトウエアのインストールや削除の過程で、中にごみが溜まるようになります。特にインストールを中断した様な場合は、たくさん出ます。また、次に述べるディスクの断片化のような状況が生じて来て、一つのグループに属するデータがアチコチにバラバラになって、そのアクセスに時間がかかるようになります。 要するに、システムの立上げ時に時間がかかるのはレジストリの整理をすればよい訳です。

TweakNow RegCleaner(トゥィークナウ レジストリクリーナー)- Non-Commercial Version 2.6.9 はフリーでダウンロードが出来ます。 有料のものはレジストリの再構成が出来るようです。 基本的にはどちらも同じような機能で、以前に使っていたものより、ごみの発見率が高いような気がします。 再構成は、まだキチンとやっていませんが、何となく怖いのでその内にゆっくりやってみようかと思います。 レジストリが壊れるとシステムが立ち上がらなくなります。 そのためにバックアップがいくつも取られているのですが、これを元に戻すことがなかなか大変で、DOSを入れたりして復旧しないといけません。

もう一つのディスクの断片化ですが、これはディスクの管理が、細かいセクタに分かれて管理されているのが原因です。 要するに大きなファイルは細かく分けられて、それが順番に並んでいて、ディスクのアクセスの時に順々に処理できたら良いのですが、使っているうちに、だんだんとバラバラになって行きます。 削除したファイルの後を他の新しいファイルが使用していくてため、時を経るに従ってバラバラになって行きます。

ファイルの構成は大まかにFATとNTFSに分かれますが、FATのほとんどはFAT32に拡張されているので、一つのセクタは64Kバイトですので、断片化の生じ方はひどくはなりませんし、デフラグも楽です。 一方のNTFSのものは一番初期は512バイト、最近でも4Kバイトで、ディスクの使用効率は非常に良いのですが、断片化が生じやすく、またデフラグも面倒です。 システムとしてはNTFSの方が高度であることはまちがいありません。 FATはDOS時代のおもちゃのPC時代の流れを汲んでいるのでセキュリティとかは全く駄目です。 ただ古いシステムとの互換性は高いです。

ちなみにNTFSを使っていると、あっという間に断片化がおきます。 また、新しくファイルを空白のところにコピーしても断片化は結構生じます。 更には、一つのディスクに2つのパーティションを切ったり、パーティションのサイズを変更したりした場合でも、かなりの断片化は生じます。 ちなみにPerfectDiskを出している会社は、PartitionMagicと言うパーティションツールで有名な会社です。

デフラグツールもいろいろ試しましたが、最も良いのはDiskeeperでした。PerfectDisk 7.0 2000/XP Proと言うもの簡単で使い勝手が良いですが、機能的に少し落ちます。 30日間無料で試用できるものがありますので試してみてください。 DiskeeperもProでないと駄目です。システムが動いていない時にデフラグできるブート時デフラグ機能がついていないものは、綺麗にデフラグできません。 これで行くと、Diskeeperは6000円ほど、PerfectDiskは5000円ほどで、1000円の差がありますが、これは十分な差だと思います。 体験版もありますので使ってみてください。

ちなみにXPとかですと、最初からシステムに付属していますが、これでやってわかるようになかなか綺麗にはデフラグできません。 また時間も物凄くかかります。ブート時のデフラグも使えますが、完全では無いようです。 一般的には以下に述べるようにMFTがやられていて、しかもサイズが小さすぎるので、すぐにMFT自体が断片化して、ファイル全体のアクセスに影響を及ぼします。

Diskeeperでしか出来ないことは、たくさんあって、ページファイルやディレクトリをまとめることが出来る、マスタ ファイル テーブル (MFT)のデフラグが可能です。 MFT はファイルのボリューム内での場所を決めるために使用されます。そのため、MFT が断片化すると、ファイル自体が断片化しているか、していないかに関係なく、ファイルのアクセスが遅くなります。加えてMFTのサイズを大きくして、MFT内部での断片化を生じにくくします。

さらに、常時優先度の低いレベルでデフラグを実行していて、常にディスク掃除をしている状況にすることも出来ます。最初真っ赤だった画面がだんだん青色になっていくのは見ていてもなかなか気持ちの良いものです。 と感じるように画面は作ってあるようです。

今月の読み物は、また出ました、おなじみ佐藤優の「国家の崩壊」¥1,680税込。 あんまり評判も良くないので読まなかったのですが、まあまあそれなりに面白い。 当時のロシアに深く入り込んだ日本人としての視点で面白く読めました。 なぜか宮崎学が質問として出てくるのがイマイチだったが、それを無視してでも面白い。 あの時に起こったことのごく一部しか見えていないのでしょうが、あの時現場ではこうなっていたんだ、と言うルポ的な記事としてはなかなか良い。

佐藤優に宮崎学が聞く!!耐震強度偽装にライブドア事件、日本の国幹が腐敗し、融解を始めている。ソ連崩壊過程に日本の行く末を見る。
内容(「MARC」データベースより)
耐震強度偽装にライブドア事件。日本の国幹が腐敗し、融解を始めている。ゴルバチョフの政治的思考と手法は小泉と同じ。ソ連の結末は日本の結末か-。ソ連崩壊を内側から見たラスプーチン・佐藤優に、突破者・宮崎学が聞く!

目次

1 ブレジネフ体制末期からゴルバチョフ登場まで
2 ペレストロイカが打ち出されるまで
3 ペレストロイカの本格的展開
4 諸民族のパンドラの箱
5 迷走するペレストロイカ
6 八月クーデターとソ連邦崩壊
7 社会主義の死亡宣告
8 昨日のソ連と今日のロシア






4月1日
やっと株価も17000円を超えて、年明けからの低迷を脱したようです。 しかしハイテク関連はミニバブルの後遺症か、まだ低迷している銘柄も多くあります。 物価も4ヶ月連続のアップですが、市場にはまだまだ慎重な見方が根強い様子です。 日銀の量的緩和策の縮小にもあんまり影響は受けなかったようで、この調子ですと秋口には公定歩合の0%政策も変更になるでしょう。 アメリカにはインフレ懸念が出てきて、利上げになっていますし、そのために円レートはまた下げに転じました。 これも株価に好影響を与えています。

政局は迷走に迷走を重ねて、民主党の一人相撲と自責点で勝手に倒れてしまいました。 前回の本欄でも紹介しましたが、あまりにも情けない結果です。 危機管理能力と言うより、議員としての資質、日本の政治を任せるための資質に大いに欠けると言って良いでしょう。 若いから、と言う話もありますが、ケネディは43歳で大統領になって、あのキューバ危機を乗り切ったというか、フルシチョフに勝ったのです。 単なる比較は出来ないと思いますが、あまりにも頼りない。 ちなみに、ケネディの暗殺に使われた教科書ビルが取り壊しと言う話があったが、結局取り壊しになったそうです。

以前の本欄でも取り上げたことがありますが、ケネディ暗殺の場所は今でも当時のままで、以前に行った事がありますが、本当にあの報道で流される風景がそのまま残っている感じです。 発砲があったと噂されるグラシノールの上の木の塀までそのまま残っていました。 また、映像で見るよりも意外に狭くて、グラシノールの上から、パレードの車までは目の前と言う感じです。 オズワルドが撃ったとされる教科書ビルからケネディまでも80mしかありません。 また、ちょうど坂になっているので教科書ビルから狙うと目標はほとんど動かないような位置になります。 かといってほとんどの人が信じているように種々の状況から、犯人は複数で、オズワルドは身代わりにされたと言う事でしょう。

最近のWinny騒ぎは大変なものですね。 それも機密が最重要視される警察とか自衛隊とかから情報が漏れていると言うことは大問題です。 特にそう言う組織からの情報は興味を引くので情報漏洩が問題となるのでしょうが、それにしても多すぎます。 特に、実質的な軍隊である自衛隊からの情報漏洩は大問題でしょう。 海上自衛隊からは暗号表まで流失したと言うことです。 未だに暗号表を使っていることも問題ですが、自衛隊全体の情報管理が杜撰なのでしょう。 少なくとも私物のPCを持ち込ませることは厳に禁止しないといけません。 また、最近では大容量のUSBメモリが入手できますので、これにコピーして持ち出せばいくらでも持ち出せます。

もっと基本的な問題は、情報の詰まったPCの持ち出しや盗難です。 日本の企業などの組織は何でノートPCが好きなんでしょう? 元々書き物をするための高さに作ってある机の上にさらにノートブックを置いて、高さの高くなったキーボードを不自然な姿勢で使っているのでしょう。 画面も小さい。 価格も相対的に高い。 問題はデスクトップと異なり、いつでもカバンに入れてでも持ち出せると言うことです。 デスクトップはいくら小型のものでも人目に触れずに持ち出しは出来ないでしょう。 安いデスクトップのUSB機能を殺したものを推薦します。 導入コストも安くなります。

さらにもっと基本的な問題は、私物のPCを業務で使っていると言うことです。 予算が無いとかいろんな理由があるのでしょうが、マネジメント不足と言うか放棄に近いと思います。 ノートブックにこだわらなければ、5万円以下、3万円ぐらいで立派なPCがありますので、それを導入すべきでしょう。 こうなってくると問題はソフトのコストです。 OSはともかく、マイクロソフトのOffice一式が高すぎます。 ここは組織で統一して、フリーのOpen Officeなどを導入すべきでしょう。 また政府もこう言う取り組みを支援すべきです。 OSも高いXPはやめてLinuxを使えば最近はほとんどWindowsと変わらないGUIになっています。

それともっと重要なのは、管理職です。 私は何年も前から、管理職のIT能力が必須と言い続けてきました。 ITやPCは強力なツールです。 強力であればあるほど使い方によって副作用が多く出てきます。 少なくとも小さくとも組織の長であれば、その知識は専門家はだしであるべきです。 労務管理の知識の無い人は管理職になれません。 管理職登用の段階で何らかの試験があって、フィルタリングされます。 しかし現在ではITの知識が無くても管理職になれます。 むしろ誇らしげに私はITオンチですから、と言って憚らない人が多すぎると思います。 少なくとも一定の数の部下を持つ組織の責任者は、ある程度のIT知識の試験や資格を課すべきでしょう。 IT環境がどんどん高度化する中で、組織の責任者の、何の責任があるのか分かりませんが、責任を果たすためにも、必須であると思います。 このような時代では、少なくともITオンチの人は責任者になる資格はありませんし、勉強も必要です。

どこかの県警の捜査課長のPCから捜査資料がWinnyを介して流失したと言う報道がありましたが、知らない間にWinnyがウイスルの如く入り込んだような印象をもたれている方が多いと思いますが、Winnyは、ある程度のIT知識が無いとインストールできません。 ワンクリックでインストール出来るものではありません。ネットワークの設定もそれなりにいじらないといけないので結構大変です。

ここからは推定ですが、この課長さんは何をしたかったかと言うと、AV見たかったのです。 仕事ではITオンチなんでしょうが、こう言う話になると俄然元気が出てくる人も多くて、Winnyを勉強して、一応のネットワーク設定を行ったのです。 そうでないとWinnyには接続できません。 さらにこのWinnyにウイルスが感染して、他のPCから丸見えになり、それで誰かがコピーしたのです。 流出と言うと勝手に情報がどこかに出たのか、と言う感じがありますが、そう言うウイルスやスパイウエアはありますが、Winnyの場合は誰かがコピーしないと流失しません。 そう言う意味では、非常に話題性のある、警察や自衛隊関連の情報が狙われたのでしょう。 普通の人のファイルの中身が見えていても、それをコピーしてどこかの掲示板にアップするようなことはしないでしょう。

最近はスパムメールが物凄く多いです。 スパムを削除するのは良いのですが、ついでに正規のメールまで削除されてしまう場合があります。 スパムの疑いのあるメールは削除せずに一つのフォルダに集めておいて、時間のあるときに一応見てみるのですが、この時に正規のメールを見つけることが多くなりました。 要するにメールは確実に届くと言う確率が減ってきたと言うことです。 ネットワークやシステムが貧弱な時代にはメールは必ず届くものではありませんでしたが、最近はこのSpamによってメールの配送確率が落ちてきています。 やはり受け取ったメールには返事を出すようにしましょう。 返事がなけれがもう一度出します。 メールをもらったら変事を返すのは、こう言うSpam対策ではなくて礼儀の問題でもあるのではないでしょうか。

今月の読み物は、ITの話題が多かったので、私の知り合いが書いていた本を紹介します。ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる ちくま新書 梅田 望夫 (著) ¥777(税込)。 まあ少し見方が一面的かな、とは思いますが、これからの5年を考える点では面白いと思います。 バラバラとある情報を少しまとめたと言う感じ。 筆者が元居たコンサルタント会社を辞めてアメリカのスタンフォードに事務所を構えた時に一度行った事があります。 またコンサルタント時代にはいろいろやりあった仲でした。

確かに、決着が付いたと思っていた検索エンジンの分野でこのようなやり方があったのかと、Googleが出てきた時には思いました。 30万台のPCを繋いで処理していると言うことは下手なグリッドコンピューティング顔負けです。 自前でサーバーを持つのはダサい、みたいな雰囲気がありますが、Googleを見ていると自前で持つことの重要性が良く分かります。 私も人には、レンタルサーバーにしろと助言しますが、自分ではこっそりサーバーを自前で持っていました。 何か心苦しかったのですが、これで心が晴れました。

5年前に、現状のIP電話やFTTHの隆盛やGoogleを予言した人は居たでしょうか? これからの5年はどうなるのでしょう? ちょうど5年後にはアナログTV放送が停止します。 しかしそれまでにはいろんなことが起きるでしょう。 5年後にはまた世の中が変わっているのではないでしょうか。

序章 ウェブ社会―本当の大変化はこれから始まる
第1章 「革命」であることの真の意味
第2章 グーグル―知の世界を再編成する
第3章 ロングテールとWeb2.0
第4章 ブログと総表現社会
第5章 オープンソース現象とマス・コラボレーション
第6章 ウェブ進化は世代交代によって
終章 脱エスタブリッシュメントへの旅立ち

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる
誰もがパソコンを自由に使えるようになり、ブログなど情報発信を容易にする手段が普及、Googleの検索エンジンなど情報を取捨選択する方法が広まったことで、Webの世界が変わりつつある。いわゆる「Web2.0」だ。

著者は、ネットの「あちら側」と「こちら側」というユニークな視点で、Webの進化がもたらす影響を解説する。あちら側とはGoogle、Amazonなどがネット上でサービスを展開する世界。こちら側とは、企業内で閉じた情報システムなどのローカル環境を指す。

「あちら側」では、Googleなどの圧倒的な資金力と知の集積により、高品質なサービスが無料で提供されるようになった。一方の「こちら側」は、依然として高いコストを投じて、閉じたシステムを開発し続けている。著者は今後10年間で、システムや情報をこちら側に持つ時代から、あちら側のサービス、情報を利用する時代へシフトすると予想する。

実際、Googleのサービスを利用して、従来なら開発に数億円かかったシステムを、数十万円で作った企業も出てきた。この流れは企業のIT環境に大きなインパクトを与えるものだ。ITにかかわる人なら必読の一冊と言える。
(日経コンピュータ 2006/03/20 Copyrightc2001 日経BP企画..All rights reserved.)






3月4日
今月はあまりにもばかばかしい話だったので、触れないでおこうと思ったのですが、やはりひとこと言っておかないと気がすまなくなりました。 民主党にはそれなりに期待していたのですが内情がバレバレでがっかりしました。 前原代表も京都なので、党首になる前は集まりで見かけたことがありますので親近感もありました。 問題のメールは、もしあれが単なる文書だったら怪文書で片付いてしまったと思うのですが、メールの形式を取っていたので信用したのでしょう。 またあれを持ち込んだ西澤フリー記者は周辺の話をちりばめて信用性を増したようですが、これはまったくの騙しの手口そのものでしょう。

今回の事件で嫌な感じは、政治の側面を外すと、ITの雰囲気をちりばめた詐欺事件と同じです。 なんで文書なら信用しないでメールなら信用するのか。 若い民主党でも、ITオンチであることを暴露してしまいました。 メールなんていくらでも作れるし、またそれを印刷したものと言うのはどんなもので作れます。ワープロかエディタで修正もしくは最初から作っても問題なく作れます。 また今回の件でもっと稚拙なのは、ToとFromが同じアドレスであったと言うこと。 こんなのは簡単に直せるので、ホリエモンのメールをどこかから入手してきて、そのデータを適当に入れ込めば、もっと信憑性が高く見えるものを作ることは容易です。

これのみならず、ITの世界では本欄でも、よく紹介しますが、とんでもなく複雑な騙しのテクニックがあって、これに比べたら今回のメールはあまりにも稚拙な冗談としか思えません。 日本国の第1野党の党首もしくは国会対策委員長が、これに騙されると言うのは、これから政権党になって、その中でIT政策を担っていくとしたら、あまりにも寂しい対応でした。 もっと巧妙に作られた偽メールならどうするんでしょう。 まあ、そこまで行ったら与党の妨害があったとか何とかで、うやむやになっていくんでしょうが、本来の姿ではありません。 圧倒的与党の中で、4点セットも予算もにも抵抗できないとして、堀江メールで逆転を狙ったのかもしれませんが、もしそれが嘘だったら、と言う観点が見えてきません。

よく情報は官僚や与党が握っていて、野党には調査能力が無く不利であると言うことをよく言いますが、今回の事件で本当に調査する気が無いのだと言うことが良く分かりました。 言い訳にしているんですね。 議員には税金からお金をつぎ込んで、片手間でやるんではないのですから、これくらいの調査はしないと話にならないと思います。

少々ナーバスになっていたところに、今月の読み物でご紹介する素数を思い出しました。 本欄でも過去に取り上げたことがありますが、昨年末にまた新しい素数が発見され、それも分散コンピューティングで行った結果と言うことを思い出して、今回ご紹介します。 昨年の12月15日に ミズーリ州立大学のDr. Curtis Cooper と Dr. Steven Boone が43番目のメルセンヌ素数を発見しました。 その 発見された素数は 230,402,457-1 で、 9,152,052 桁となり、Electronic Frontier Foundationの $100,000 賞金が出るとの事です。 ちなみtに上記のリンクをクリックすると、約9Mバイトの数字を見ることが出来ます。 しかし9Mバイトがほんの一瞬で見えるということはすごいな、と改めてITの進歩を時間した次第。 前回に紹介した時はなかなかそうなっていませんでした。

また、面白いのは、インターネットを介した分散コンピューティングによって素数を探すプロジェクト「Great Internet Mersenne Prime Search (GIMPS)」によって発見されたと言うことです。 皆さんも簡単に参加出来ますので、GIPMSのサイトに行って処理ソフトをダウンロードするだけで、PCの空き時間に計算してくれます。 GIMPSは1996年から、これまでに9個の素数を発見しているそうです。 運がよければすぐに発見できて、発見者の名誉と賞金を手に入れることが出来ます。 素数がどのようなパターンで現れてくるかは未だに数学上の未解決の謎とされています。

今月の読み物は、「博士の愛した数式」新潮文庫、小川 洋子著 ¥460税込。 書評で先に知っていたのですが、どうと言うこともない小説ですが、ほんわかして心が温かくなる不思議な読み物です。 今年は初めからライブドアとか4点セットとか偽メールとか、メダルの取れないオリンピックとか、いろいろありましたが、それに対する清涼剤的にも余計に印象に残りました。 80分しか記憶が持たない数学者とお手伝いさんとその子供、数学となぜか阪神タイガースと江夏。 そこらに数論の話が出てきます。友愛数とか完全数とか忘れていた懐かしい数字が出てきます。

ちなみに友愛数の一番小さいのが小説に出てくる220と284で特別の関係を示しています。現在でも550組も発見されています。 完全数は、流石に23個しか発見されていなくて、その2番目の数字が28で、これが江夏の背番号と言うわけです。 この他にも、突然にオイラーの等式が出てきます。 著者は不恰好と言ってますが、確かに綺麗。 パイと虚数とeがこんなに綺麗に収まるとは、自然の不思議さをつくづく感じます。 オイラーの等式や公式をについて知りたい方は、吉田武 著の大ベストセラー『オイラーの贈物』(海鳴社, 1993 ¥3,150税込)をご覧ください。 教科書なのでパラパラとは読めませんが。 オイラーの等式は「人類の至宝」,「人類史に残る不朽の名作」。

「BOOK」データベースより
代数、幾何、解析。数学の多くの分野は唯一つの式に合流し、そしてそれを起点に再び奔流となって迸る。ネイピア数、円周率、虚数、指数関数、三角関数が織りなす不思議の環:オイラーの公式。ファインマンは「これは我々の至宝である」と嘆じた。本書は、この公式の理解を目標に、数学の基礎を徹底的に解説して、三万部を越えるベストセラーとなった独習書『オイラーの贈物』の完全文庫化であり、増補改訂版である。記述は極めて丁寧かつ平明であるため、意欲溢れる中高生の副読本としても好適である







2月4日
2006年が空けた途端に株式市場は証券市場のみならず政界も巻き込む、大騒ぎになりました。 このまま現在の市況が続くとは考えられずに、どこかで調整局面があると、みんな思っていましたが、こんなに早くやってくるとは思ってみなかったでしょう。 日経平均はほぼ元に戻ったのですが、値動きの大きな小型株はまだ完全に復活してる訳ではありません。 特にライブドアが取引の大半を占めているマザーズは大打撃です。 元々東証1部を中心とした大型株に注目が集まっていましたので、それが今回の事件で加速された面があります。

政界では竹中元金融担当大臣の責任が大きいと思います。 銀行にあれだけうるさかった竹中さんが一種お墨付きを与えたことになる事の重大性を認識していなかったのは問題と思います。 それに他にも、きな臭い話が多い。 俗にMHKと言われていて、もちろん村上、堀江、木村のことですが、特に問題は木村剛氏。 竹中大臣の経済政策の最大のブレーンとして改革に大きな影響を持った人ですが、中小企業を支援するために設立した日本振興銀行を巡って以前からごたごたが続いていて、しかも木村氏の親族を使った資金流用が疑われています。 まあ金額も数億円だから良いと言うのでしょうが、あれだけ正論をぶった人ですからその失望も激しい。 これから更に何か出てくるのかもしれません。

竹中さんは経済学者として、また行政の責任者として、ライブドアに関して何も疑いを持たなかった、と言うのは資質が疑われます。 それこそ免許証を持たずに運転していると言われても仕方が無いでしょう。 150兆円とも言われる個人資産を直接投資に回すというなら安心して投資出来るように、しっかりと説明する責任があります。

村上氏はまだ尻尾を出していませんが、叩けば埃が出るでしょう。 今日の新聞ではライブドアを批判していました。 ライブドアはこの後に説明する粉飾決算やMSCBとインサイダー取引で株価を上昇させ、更には政界とのパイプも作り、これから更に大きくしようとしていた矢先に検察が叩いたと言うことでしょう。 このまま議員になり、格付けも得て、本格的な上場企業となっていたら、恐らく政界を大きく巻き込んだリクルート事件のようなものになったのではないでしょうか。

ライブドアは最初から、かなり胡散臭かった。 楽天やヤフーでも少しおかしいところがあったんですが、ライブドアはもっとも胡散臭い。 楽天より利益が大きいとホリエモンが見栄を切っていた時もありますが、この利益の源泉がなににあったのか、すぐに言える人はいなかったでしょう。 ルールいっぱいに発想を豊かにチャレンジして、良い意味の拝金主義も多少は入れて、新時代のアメリカ型の経営を目指しているのか、と思っていました。 常々その方向は大体良いが、ホリエモンは好きにはなれないと言っていましたので、その直感が当った感じです。

ライブドア事件の本質は、そんな格好の良いものではなくて、旧態然とした粉飾決算です。 匿名投資組合やMSCB(転換価格(下方)修正条項付き転換社債)を使って、自社株の売却を自社の利益に付け替えたと言う構図です。 この間に海外の口座使ったり、いろいろな目くらましを使っているらしいので、その違法性を認識していたのは間違いないでしょう。
このスキームに違法性が無いとなると、株価が付いている限り、自社株を発行して、それをお金に変えて、自社の利益に計上することが(理論的には)無限に出来ることになり、いくらでも利益が上がることになります。 その資金も自社から融資の形で提供すれば、お金がぐるぐる回って、その回る度に利益に計上されて、利益が上がると株価は上がって、更にこの仕組みの効率が良くなると言う、いわゆる錬金術と言うことになります。

MSCBと言う言葉に覚えはありませんか? そうです、あのニッポン放送とフジテレビの買収騒ぎの時に、リーマンブラザーズから800億円の買収資金をMSCBを使って調達しました。 この結果、リーマンブラザーズはほとんどリスクなしに、短期間に10%の80億の利益を上げたのです。 おそらく、これを間近で見たホリエモンは新たなマジックのネタを発見したのでしょう。 その後の買収ではこの手法が多用されています。 しかしこのMSCBと言う仕組みは究極のインサイダー取引ではないのでしょうかね。 MSCBが発行されたら株価が暴落するのは常識です。 まあこの場合は暴騰するんですから、株価がどうなるか分からんと言えばそうなんですが、MSCBの仕組みそのものはライブドアとは関係ないですから。

元々MSCBみたいなややこしいものが何故あるかと言うと、業績の落ちた企業の資金確保はなかな難しく、社債の発行もままなりません。 出資側のリスクを軽減するために、MSCBがあります。 まあ発行する側から言うと、最低でも10%の利息をを保障する借金だと思えば良いでしょう。 一般にMSCBは株価が下がった方が良い様にスキームが作られている場合が多いのですが、それは業績の悪い企業の株価が落ちた時のリスクヘッジとしてあるわけで、逆に上がった時には下がった時より大きな利益が得られるのです。

こう言う仕組みをよく勉強したホリエモンは、価値の無い企業を買収してMSCBを発行させ、それをネタに利益を獲得すると言うスキームを考え出したのでしょう。 これ自身の違法性はあんまり無いと思いますが、この過程で株価操作が行われて株価高値が演出されて、インサイダー情報によりMSCBの利益がほっとくと10%であるのを更に大きくしました。

それにしても、かわいそうなのはヘソクリをはたいてライブドアを買った人たち。 TVで出ていましたが、赤ん坊を抱えた若い奥さんが、いくら買ったのですか? と聞かれて、「100株・・・」と答えていたのが印象的。 このようなお金が関連の株式を含んで1兆円ほど消えてしまったことになります。 大きなお金ですね。 元は1万、2万の財布の現金ですから。

ライブドアの単元株も1株と言うのはビックリです。 最初にライブドアの取引を見たときに、取引高にやたらと端数が多いので、えっと思って見てみたら1株が単元株。 これが10億株あって、1株から取引出来る。 これだけでも東証の単元株式の半分を占めるそうです。 これが原因で東証は取引を途中で中断しないといけないことになりました。 個人株を増やす、取引を活発にする、と言う目的はあったはずで、それが達成されたらシステムがダウンと言うのでは、まともにモノを考えているのか、と言いたくなります。 どこか機能不全を起こしています。

今月の読み物は、「中国農民調査」陳 桂棣 (著), 春桃 (著), 納村 公子 (翻訳), 椙田 雅美 (翻訳) 文藝春秋 ¥2,900(税込)。 訳者としてのコメントから。納村・椙田共訳の本書は、中国で昨年2月、発禁となった問題の書。著者夫妻は3年の年月をかけ、中国でも有数の貧困省・安徽省を踏破して農村問題の発生地を取材。1990年代からいまに至るまでの農村事情をつぶさにレポートした。全体は農民暴動事件の実態、農村問題の本質、農村税制改革のプロセスに分かれている。書かれている人物は、農民から党の最高指導者まですべて実名。04年1月、原著出版後、中国では全国的に注目される話題の書となったが、発禁処分を受け、海賊版が出回ることに。その数、昨年の推定で700万部を超える。いわば「幻の超ベストセラー」。社会保障も教育の保障もないまま、50年あまりひたすら食糧生産の道具として使われてきた。その現実は本書を見ればよくわかるだろう。

題名は毛沢東が実際にやった調査報告と同じタイトルですが、こちらは農民問題ルポ。農民農村農業の三農問題を正面から捉えています。最近では農民の暴動が増えているとの報道がありますが、その規模は不明です。 政府でも数千件の暴動を認めていますので、実際は7万件/年の暴動があるとの情報もあります。中国の農民問題は、日本ではほとんど知られていませんが、これを読むと良く分かります。 300ページもあって、2段組で細かい活字で、中国人の名前が実名でどんどん出てくるので読みにくいな、と思いましたが、ややこしい人名などは読み飛ばしていくと、基本的にルポなのでワリと早く読めます。

結局中国の9億の農民は、この時代においても共産党支配以前の地主支配の構図から抜け出ていないのではないかと思われます。 村の村長の裁量で税金や費用が徴収されると言うのは過去から全く構造として変わっていないのではないかと思われます。

これに対して、中央政府は、温家宝や朱鎔基はそれなりに頑張って実情を知ろうとするのですが、回りがそうさせない。 またあまりにも中国は大きくて、1人や2人がいくら権力を持っていてもどうしようもない、と言う感じがします。 更には、中国には戸籍が農村と都会の2つがあって、その間は完全に切り離されて、差別が起きていると言う矛盾もあるようです。 恐らく最初は農民を守る趣旨で作られたのでしょうが、現在では都会に出てきた農民の差別に繋がっているようです。 中国を正しく理解するための書としては最適。








1月1日
2006年 あけましておめでとうございます。

昨年は特にIT分野での話題が多く、株式資本主義の問題とか、テレビとインターネットの融合とか、はたまたシステムの問題とか、構造設計の偽造とか、ITの本格的な幕開けにふさわしく、いろんな事が起きました。

特に話題の大きかった株式の世界では、何と1年で40%も株価がアップすると言う、バブル時代を髣髴とさせるような状況になってきました。 アナリストの昨年の予測では、昨年の株価は12000円から12500円の予測、最もアグレッシブな人でも13500円だったそうです。 プロと言えども、こう言う状況では予測が出来ないということでしょう。 来年の予測では、2万円から3.5万円と言う人が居ましたので、さて来年の正月はどのようなコメントになっているんでしょう。

この中でもIT関連の最大の話題は、みずほ証券の誤発注問題でしょう。 誤発注と言うのは良くあることだと思います。 ちょっとしたキーの打ち間違いで起きます。 我々が使うインターネットのシステムでは、チェックがかかっていますので、上下値幅制限外ではエラーになります。 またあんまり大きな取引もエラーになります。 以前に1株と1000株を間違えて入れてしまったことがありますが、これはエラーになりました。 これがノーチェックでしかも成行だと取り消しができませんね。 時々どえらく高い買いがありますが、あれもなんかの間違いないしは勘違いでしょう。

個人で20億 儲けたとか、100億以上の利益を上げた証券会社が自発的に儲けを出して基金に入れると言うような事が報道されています。 中には61万円の株を本当に1円で買ったと思っている人がいるようですが、取引は10万円の制限幅の下限で取引されますので、このようなことはありません。 従って、20億儲けた人は50億を突っ込んでるんですから、それだけでも儲ける価値はあるでしょう。 逆にその後の値上がりで、本来はもっと儲かったはずが、90万で手放さないといけなくなってしまいました。

ちなみに問題のジェイコム株はその後220万を付け、現状でも160万ですので、あの時90万で買って220万で売り抜けた人の方が、率では上です。 むしろあのような状況の中で、瞬間的に50億円もリスクにさらしたのは賞賛に値します。 もっとも、あれはみずほの社員と結託したものであったと言う噂もあるくらいです。 まあ1日では無理でしょうが、数日のうちに利益が50%でるのは珍しくないはずですので、一概に汚い儲けでは無いと思います。 少なくとも、利害関係の無い人の利益が遺失した訳ではなく、極めて日本的な解決であったわけです。 当のジェイコムは突然有名になってホクホクでは?

技術者の片割れとして、気になったのはビルの構造設計偽造問題。 偽造できないソフトを作るとかいう話がありますが、ナンセンスな話で、これも日本的なノー天気な話です。北朝鮮の偽札作りでも分かるように、存在するものは動機さえあれば必ず偽造はされます。 偽造を前提にシステムを作るべきでしょう。

例えばクレジットカードやバンクカード。初期のバンクカードの磁気ストライプには、何と暗証番号が入っていたのです。 これには唖然としますが、技術的には分かっていたことで、原因は特許が外国の会社に取られていて、おそらく特許料の支払いをケチったのでしょう。 この特許が切れてやっと、暗証番号はセンターで管理されて、磁気ストライプからはなくなりました。

しかし、後日談があって、実は古いカードがまだ残っていて、そのカードを入れるとそのカードの暗証番号が優先されると言うとんでもない事に最近までなっていたそうです。 テレビの番組でやってました。 実際この問題で被害にあった人がいるそうです。 日本人の平和ボケが露呈された一件でした。 本来、特許料を払っても何をしても、暗証番号をカードに入れない、また新しいカードが出来た段階で、古いカードは回収してシステム的にも使えないようにすべきでしたが、変な顧客志向のおかげで問題となりました。

構造設計偽造問題でも、応力係数が簡単に変更出来るのが問題で、通常は1.0のところを0.5とかやったわけで、TVで画面を見ていてもごく簡単な係数の入力でした。 少なくともこれが1.0以下にはできないようになっている、もしくは1.0以下にした場合はかなり特殊な場合なので、全ページのフッタにその旨を表示するくらいの対策が必要でしょう。 最終的にはこのようなソフトを認定した省庁の責任でしょう 『Super Build/SS2』。

また、設計問題ばかりに焦点が当っていますが、構造設計、施工設計、施工のいずれの段階でも偽造と言うか手抜きはあり得るので、監視が必要です。 少しでも安く上げて利益を得るというのは、人類の根源的な欲望だと思います。 この欲望に反するものは全て監視の対象です。 コストがいくらかかろうとも基本的には関係ない話だと思うべきです。

建築確認の手数料は15万円だそうです。 これではほとんどチェックは出来ないでしょう。 検査会社の社長が言っていたように、監督官庁に指導された手順に従って、適切に淡々と検査したと言うことです。 この手順の中にこのような大規模な偽造が想定されていなかっただけでしょう。

恒例の2006年予測ですが、まず経済分野の代表の株価は、何度かヒヤッとすることはあるでしょうが、2万円は超え3万円に近づくのではないでしょうか。 IT分野では、TVとインターネットの融合の論議がさらに深まるでしょう。 良くAOLとワーナーの合併の失敗が話題になりますが、その時と今ではブロードバンドの状況は全く異なります。 少なくとも現時点では、インターネットでの番組配信のインフラとしては十分なものがあります。サーバーの強化が必要でしょうが、最も時間のかかかるファイバーの敷設は完全に定着しました。

地上デジタルも本格化して、ファイバーや衛星放送、CATVとのせめぎあいも盛んになり、これから数年は混沌とした時代を迎えることでしょう。 地上デジタルは、その同報性を利用して、ニュース特に災害報道に威力を発揮するでしょう。 ケータイでの受信も出来るようになりますので、政府やメーカーが期待するような、双方向の特性はあまり生きてこないと思います。 ハイビジョンは、インターネットやCATVとの住み分けになるのでは無いでしょうか? 映画はファイバーを利用したオンデマンドが盛んになるでしょう。 ビデオレンタルとの価格競争になるでしょう。

デジタル放送の売り込みは最近激しいですね。 先につばを付けておこうかと言うことでしょうが、特に新しい番組をやっているわけでもないので、バタバタせずにしばらく様子を見るのが良いと思います。 従来のTVを使うためにはSTBと言うものが必要で、現状では5万円ほどします。 5万円あれば大きなブラウン管式のTVセットを買うことが出来ます。 1万以下のものの販売が期待されていますし、いずれはそうなるでしょう。 ETCの前例に倣って、いずれは国が補助金を出すと言う見方もあります。 いずれにしても、放送や通信は全体的な戦国時代になってきましたので、じっくり様子を見ることが大切です。

今月の読み物は、紹介するような本には出会わなくて、音楽と行きましょう。 ジャンルは好みがあるのでしょうが、ここはジャズです。 TVで聞いて良いなと思ったのでCDを買ってみました。 矢野 沙織、アルトサックス。 録音時には、1986年10月生まれの16歳だったわけで、ぱっと聞くとそういう感じはしません。 しかし良く聴くと少し弱い。 この辺がフュージョン好みのアメリカで受ける原因かも。 コルトレーンは良いのだが少ししんどい。 マイルスになると、しんどくて付いていけない。 かと言ってフュージョンではモノ足らんと言う人にぴったり。 しかし歳とると、だんだん演歌風になっていきますね。 ド演歌は論外としても、ポップス歌謡の中でも良いものがあります。 日本人やなと自覚します。