「今月のひとこと」の目次 毎月一回はその時々のトピックスをお送りしています。 2004年 12月 4日 11月 2日 10月 2日 9月 4日 8月 1日 7月 3日
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12月4日
円高と言うより、ドルが他の通貨に対して下がっているので、ドル安というべき状況になっています。 せっかく立ち上がってきた景気も、景気そのものの停滞とドル安に伴う円高、増税と景気の足を引っ張る要素がどんどん増えて来ています。 円高はしょうがないとしても、何でこんな時期にまたぞろ増税の話が出てくるのか、本当に理解に苦しみますね。 頭の良い官僚がこんな事が分からないわけでは無いでしょうに。 確かに理論的に額としてはたいしたものではありませんが、心理的には大きなものがあると思います。

一方、日銀が大盤振る舞いでどんどんお札を刷ったせいで、お金がだぶついて来ているようです。 本来は銀行を通じた間接金融もしくは株式市場を通じた直接金融が行われる目論見だったのですが、どうもそうでは無さそうです。 余ったお金は土地とベンチャーの投資に向かっているようです。 特に地方では無くて東京に集中しているようです。 土地に関しては東京の一部の土地はかなりの値上がりをしているのですが、それより土地を対象とした投資信託のようなところにお金が集まっています。 土地に直接投資をするのには痛い目にあったので、今度は信託投資と言うわけです。 株式の方は、なぜリスクの高いベンチャー投資に向かっているのか、分かりませんが、ベンチャー投資に有利な法制や施策に乗って、いまやバブルと言っても良いような状況になっているようです。

このバブルがうまく軟着陸してくれると良いのですが、破裂するようなことがあると、またもや振り出しに戻ってしまうのかもしれません。 1990年のバブルはとてつもなく大きかったのでその影響は未曾有のものでしたが、最近では2000年のITバブルが記憶に新しいところです。 ここで生き残ったところが、最近のプロ野球界を賑わせているのです。 あれから4年、また何かが起きそうです。 いずれにしても過去に例の無いデフレ対策を打って来ているのですから、その副作用はどこかに出てくるはずで、何も起こらないほうがおかしいと思います。

インフレになると言うのが、その副作用の代名詞みたいに言われてきましたが、どうもそのような過去に例のあるものでは無くて、予想しない形でその副作用が現れてくるのだと思います。 それが今だんだんと形を現してきています。

地上デジタル放送が、そのスタートを切ってちょうど1年になりました。 1年前に小泉首相も参加して大々的にイベントが行われて地上波デジタル放送が始まりました。 現在では目標の数を大幅に上回る受像機の設置状況だそうです。 もっとも受信できるのは関東と関西と中部地区の一部だけです。

地上波デジタルでは双方向の通信も可能となり、PCとテレビの融合がやっとこれで始まると言う見方がもっぱらです。 e-Japan構想ともリンクをして、さらに1/4世紀をかけてきたハイビジョンもやっとここで日の目を見て万々歳というところでしょう。 2011年には完全に現在のアナログ放送は終了してしまうのでイヤでもデジタルに移行をしないといけないわけです。

ただ良く見てみると、いろんな疑問が出てきます。 これから2011年までにこれらの問題を解決の方向に持っていかないと、わが国全体の情報インフラの問題となってくるでしょう。 まず、あまりに著作権に配慮しすぎたおかげで録画したもののコピーを強力に制限したために非常に使いづらいものになっています。 システムには抜け穴が沢山あります。 またこれを塞ぐ事は事実上不可能ですので、下手なコピー防止はアメリカのかつての禁酒法を思い出させます。 また、本当にみんなハイビジョンレベルの映像を見たがっているのか、と言う事です。 確かにきれいな画面で見たいときはありますが、どちらと言われれば、画面の綺麗なほうよりは、番組がたくさんある方が良いと個人的には思います。 CATVで100チャンネルあるとか言う話ですが、自分が見たいものはほとんどありません。

さらには、あと数年すると光ファイバーの普及が高まるでしょうから、このファイバーを使った放送あるいはオンデマンドの映像配信が一般化するのではないでしょうか。 現在でもニュースを除くと、TVの放送はほとんど録画してみている訳で、ついでにコマーシャルは飛ばして見ている訳で、リアルタイムの放送と言う事に、ニュースを除いてどれくらいの価値があるのか、だんだんと疑問になってくるわけです。

デジタル放送やハイビジョン化で、さらなる高性能がPCに要求されてきます。 現在の性能は通常のアナログ放送画像の記録とか編集とかに何とか追いつくレベルにやっと達したのですが、これからまた1桁ないしは2桁の性能向上が求められます。 ADSLを代表とする通信がこんなに速くなったのも、ディスク容量が桁違いに大きくなったのも、画像処理という大目標があってこそで、また次はハイビジョンという高い目標が与えられたと言うべきでしょう。

現時点では、6-7chの全てのTV放送を約1週間分録画出来るものが数社から販売されています。 これを使うと、放送という概念はまったく無くなり、いつでも見たい物をみることが出来ます。 録画忘れという事はなくなる訳です。

今月の読み物は、「なぜ人はニセ科学を信じるのか〈2〉歪曲をたくらむ人々」 ハヤカワ文庫NF マイクル シャーマー (著)¥735税込 です。 最近、特にアメリカの大統領選挙が終わってみて思うことは、世界と言うのは結構宗教的であると言うことです。 わが国では靖国神社の問題が出てきていますが、これは宗教と言うより基本的に政治問題と思うわけです。宗教と政治の分離は当たりまえ、融合していたのは中世で、それは遥か昔、と思っていたのですが、どうも最近の動きを見ていると、イスラム諸国と特に米国は、ブッシュ政権になってから特にその傾向が強くなってきたと感じます。 以前からそのような見方があって、イラク戦争も宗教戦争みたいに言われていましたが、その傾向は強まることはあっても、弱くはなっていないような気がします。 以前も本欄でご紹介したことがありますが、米国の1ドル紙幣の裏には In God We Trust とモットーが印刷されており、しかもこの印刷は法律で決められています。 先日もTVでこの話題が取り上げられていました。

要するに日本人が思うほど、他の国特に米国は宗教、少なくとも神(God)と言う概念は特別扱いされていないと言うことです。 ホワイトハウスの中でも聖書の勉強会を堂々とやっており、日本の首相官邸で首相が入った日本神話や般若心経の勉強会が行われたら、国をひっくり返すような騒動になるでしょう。 今月の読み物は、読み物としては面白くありません。 原文がおかしいのと訳がおかしいので、非常に読みづらいものです。

内容は米国の学校で進化論を教えない、もしくは聖書に書かれた創世記を事実とて教える事に対する状況をまとめています。 また第2次世界大戦中のナチスによるユダヤ人ホロコーストは無かったと主張する人々などが紹介されています。 わが国でも南京大虐殺は無かったとか言う議論があり、著名人も同調しています。

ショックだったのは、進化論と創世記のケースです。 この論争は法廷にも持ち出されて、創世記側が勝訴したケースもあります。 このような状況を見ていると、中世の宗教裁判が復活しても、おかしくないような気がします。 理系出身の我が身としては、科学的な手法と言うのは当然に正しいと信じ切っていたのですが、確かにそれも信じているだけ、と言われると反論できません。 中世の宗教が支配した世界も特別ではないのかも知れません。 現在と同じような科学的な考え方は遠くギリシャやひょっとしたらアラビアにもあったのでしょう。 それがいつの間にか、宗教的な考え方最高の地位を占めたのです。 暗黒の中世と言う言い方をして、中世とは特殊な時代だったのだ、と言うイメージが一般的ですが、ひょっとしたら現在が特殊な時代なのかもしれません。 宗教音痴の日本人としては、これからグローバールな貢献をしていくためにも、宗教にたいしてもグローバルスタンダードを、少なくとも理解をしておく必要があるのではないでしょうか。 全体を見通したい方は、「宗教世界地図 最新版」 新潮文庫 立山 良司 (著) ¥460税込 をどうぞ。






11月2日
今月は面白い本を見つけたので、その特集です。 宇宙人を信じるか信じないかに関わらず、関心のある方だけ読んで下さい。 それ以外の方は退屈なだけです。 「広い宇宙に地球人しか見当たらない50の理由―フェルミのパラドックス」 スティーヴン ウェッブ (著) 松浦 俊輔 (翻訳) ¥2,940。

宇宙がエイリアンだらけなら、みんなどこにいるの? 20世紀を代表する物理学者フェルミが提出したこのパラドックスを解決するために、宇宙論、物理学、確率論からSF的想像力までを総動員し、宇宙と生命の謎へと挑みます。 見当たらない50の理由にかこつけて、宇宙論から生命論、通信理論と幅広く、単なる学説に捉われない読み物です。

以前から私は宇宙人は居ないのかもしれない、もしくはほとんど居ないのは無いか、と考えていました。 本書の筆者の結論もほぼ同じようなことでありました。 しかしそこに至る論理はすこいの一言。 良くここまで調べたな、と思うようなことが沢山あります。 今回はこの論理の面白いところだけご紹介しましょう。

地球人しか見当たらない50の理由は5つに大別されています。 その1は、ずばり「実は来ている」。 UFO信者なら喜ぶところですが、一番最初に挙げられているで、可能性は最も低いでしょう。 ハンガリー人が宇宙人の子孫だ、我々自身が元々宇宙人だ、地球は宇宙の動物園だ、我々は大きなプラネタリウムの中に居る、などなど。 最後のは要するにマトリックスの世界というわけです。 ここで面白いのは、シミュレーションに必要なエネルギーを見積もって、銀河全体のエネルギーを利用できるK3文明なら、冥王星までの距離の2倍くらいのところまでのシミュレーションが可能で、冥王星の軌道の外まで行ってしまったボイジャー1号は、あと数十年でその限界に達し、もしこの宇宙が宇宙人のシミュレーションだったら、その限界でプラネタリウムの壁にぶち当たったら、プラネタリウム理論が正しいことになります。

次は「存在するがまだ連絡がない」。 私はこの可能性は結構高いと思っています。 宇宙は広いのでなかなか移動できない。 もしくは通信も難しい。 以前に紹介したようなSETI@HOME のようなプロジェクトも、このような通信を行おうとするものです。 尤もこの場合はもっぱら聞き耳を立てるだけです。 受信に比べて送信はなかなか難しそうです。 例えば1KWの電力で送信するとしたら、1KWの電球を想定して、それが地球の外のどこから見えるか、と想像してみれば、なかなか大変だと言う実感が湧くでしょう。 アンテナを使って絞り込むと良いのでしょうが、その場合はどこに方向を定めるかです。 方向さえ決まれば現在の技術でも、銀河系の端から端までの通信は可能だそうです。 もっとも時間は何万年とかかりますが。

方向を定めるのには、最近では知識が増えてきたので、銀河系の中心は駄目だとか、生命が宿るには金属が必要で、金属の少ない銀河系は駄目だとか、で絞り込むことは可能になりました。 もっとシャープなビームはレーザーです。 これを使うとビームが一致すれば太陽と同じくらいの強度を出すことは可能だそうですが、方向を合わせることが更に困難になってきます。 従って、宇宙人同士の通信が漏れて聞こえてこないのは、このようなシャープな方向を定めた通信が行われているためではないでしょうか。

宇宙旅行は、これも結構大変みたいです。 宇宙戦艦ヤマトが使っている、ワープ航法はすごいものですが、空間を歪ませて、いわば空間の歪みの波の上をサーフィンするようなものでしょう。 この方法は物凄く魅力的なんですが、必要なエネルギーが全宇宙のエネルギーが必要とか、非現実的な話になります。 この他にワームホールとか、高次元での移動とかがありますが、話の領域を超えたものではありません。 おそらく実現するにしても、ワープと同様物凄く大きなエネルギーが必要となるでしょう。 タイムトラベルがその一例です。

一度宇宙旅行が出来ると、他の星を殖民したくなるはずで、その時の速度は結構速いと言われています。 数百万年から1億年ぐらいで、全銀河に浸透できるようで、全宇宙の年齢130億年や地球の年齢の45億年に比べるとものすごく小さいと言うことです。 現在そうなっていないのは、たまたま外れたか、誰も居ないかです。

次は、ミもフタも無い「存在しない」。 我々のような高度な知的生命体が存在するのは、奇跡的な確率によるもので、たまたま当たりクジを引いただけ、と言うことです。 確かに幸運に恵まれていないと無生物から人間が進化するとは到底思えません。 適切な金属の豊富な時代(宇宙が出来て100億年くらい)に、ちょうど良い大きさの銀河系の中の、静かな端のほうの腕の中の、中くらいの生命が進化する時間の間は変化しない太陽からの距離がピッタリの惑星で、外側を木星や土星に守られて、潮の満ち引きがある大きな月がたまたまあって、水が豊富な地球があっったんです。 さらにその上で進化を促進する、大絶滅がちょうど1億年くらいの間隔で起きて、やっと人間が生まれたのです。 この人間も、5万年くらい前には、一度絶滅しかけた事があるらしいので、ここで絶滅したら、現在のこのような議論は無かった事になります。

アミノ酸や下等な生物は沢山生まれるようです。 しかし、複雑な人間のような生物で、しかも知性を宿すまでには、沢山の幸運が必要であったと思います。 本書の生物進化の章は圧巻で、ここだけでも読む価値は十分にあると思います。 自分の体内に酸素と二酸化酸素の変換部分を持つような、呼吸システム。 体内を間接的に循環する血液システム、体を制御する神経システムとその極致である脳髄、複雑な自己増殖を行うDNAシステム。これらは、いずれも生物が大型になる時に必須なもので、細菌がいくら頑張っても、人間のような知性は備えることが出来ません。 小さい生物なら、このようなややこしいシステムを作り出さなくても、酸素は皮膚から直接に細胞へ渡すことが出来ますし、体が簡単なら自己増殖も簡単です。

こう考えてくると、今ここでこのような議論をしているのは本当に奇跡だと思います。 ひょっとすると広い宇宙で自分だけかもしれません。 おそらく同じようなレベルの知性体が10とか20種類、この銀河に居るだけでしょう。 誰かの見積のように、そこらにうじゃうじゃ居るわけでも無いようです。 最近の研究で、この宇宙は、ドンドン膨張して、さらに最近その速度が増しているとの事です。 他の理論では宇宙は途中から収縮に転じて、最後はビッククランチで終わると言うようなことも言われて、収縮時には時間が逆転するので、知性体は常に膨張する宇宙しか認識出来ないと、言われましたがそれは間違いであったそうです。

周りには宇宙人も居なくて、宇宙はドンドン膨張し、物質の基本である陽子も最後は崩壊し、ブラックホールも最後は蒸発し、何にも無いしかし光だけは少しあるという様な寂しい最後になるかも知れません。 尤もこうなるのは何十億年も先の話です。








10月2日
とうとう日本の景気も下げに転じたのか、最近の株価はさえません。 原油も高値を更新し続けており、当面一気に下がる要因は見当たりません。 中国も米国も減速していて、全体に米国の大統領選挙後に問題を持ち越して当面は軟調な状況が続くのでしょう。

アテネ五輪で一気にTVを買ってしまった人は別にして、今TVや録画機を買おうとすると迷いますね。 次世代TVの商戦も、早々と年末商戦に向けて続々と新機種が発表されているようです。 ここに来て、2011年のデジタルTVへの完全移行を睨んでの動きが出てきたようで、 TVをめぐる環境は大きく変わりつつあり、問題のデジタル放送も最終的にはどのような形で定着するのか予断を許しません。 2011年にアナログ放送が無くなるのはハッキリしているとしても、全てのTVセットを買い換えるわけにも行かず、デジタル放送を従来のTVで受信できるセットトップボックス(STB)が売れるのでしょう。 ただ現状では高いので、もっと安いものが出てくるのでしょう。 現状のTVですと安いのは30インチぐらいでも5万円ほどで買えますが、将来のデジタル放送移行を考えると躊躇しますね。

またハイビジョン化も問題です。 日本が好調なときに延々と開発した、オリジナルのハイビジョンは、アナログ技術の権化とも言うべきもので、日本のお家芸である改良技術の限界を示しました。 時間がかかった分だけデジタル化のタイミングに近くなってしまって、結局は日の目を見ることも無かったと言う事になります。

TV映像をを録画するレコーダーのハイビジョン化も問題です。 最近はハードディスクに録画するものが主流になりましたが、ハイビジョン化でもう一段大型のハードディスクが必要になってきます。 またそのための録画装置も新しいものが必要になります。 最近はハードディスク単体も安くなって、160Gb程度でも1万円そこそこで、一般に100Gb当たりで1万円を切っているでしょう。 しかしながらハイビジョン化にはもう1桁大きいディスクが必要となり、容量は達成できるとしても、データ転送はそれに追いつかず、ネックになってきます。

デジタル放送の大きな競争相手は光ファイバーです。 デジタル放送では下りデータは放送で伝送されるとしても、上りデータは相変わらず電話線(ADSL)やファイバーを使ったインターネット接続を使用しなければならず、同じことならファイバー1本で何とかしたいところです。 既にファイバーを使ったTV放送もサービスされてきており、レンタルビデオのオンライン版であるビデオオンデマンドも本格的なサービスが始まるようです。

この他にはCATVのケーブル網があります。 CATVはインターネットもサポートしており、デジタル放送とのシナジーは一番高いのかも知れません。 インターネット網に高速が必要なのは究極的には映像を送るためであって、通常のデータを送るのに100Mbpsも必要ではありません。 せいぜい10Mbpsもあれば十分でしょう。 映像とデータの両方を扱えるCATV網は意外にメジャーな立場になって来るのかも知れません。

TVそのものは液晶とプラズマが双璧ですが、液晶は大型化が難しく、プラズマは画面が暗く、それぞれ特質があるようです。 米国では10年以上前から大型の50インチ以上のものが主流でした。 部屋が大きいので大型が好まれているようで、液晶のものは小さすぎるような感じです。 10年以上前の話ですから、液晶でもプラズマでもなく投影型のもので、下側から投影してミラーで折り曲げて正面に写すというものでした。

価格も大体2000ドル、日本円で20万円程度でそんなに高いものではありません。 しかし大味と言うか、画面の精細度は悪く、遠くで見る分には良いのですが、少しでも近づくと粗が見えてしました。 ところが最近では、ハイビジョンにも耐える方式のものが開発されて、やはり米国で発売されているようです。 価格も従来のものと同じようなレベルですので、米国ではこれが主流になるのではないでしょうか。

今月の読み物は、間宮林蔵 講談社文庫 吉村 昭 ¥730(税込)。 謎多き探検家の波瀾万丈の生涯を描く歴史長編。樺太は島なのか、大陸の一部なのか?世界地理上の謎であった同地を探検して島であることを確認し、間宮海峡を発見した間宮林蔵。世界の地名に唯一名前を残す。 その苦難の探検行をリアルに再現し、幕府隠密として生きた晩年までの知られざる生涯を描く。史実の闇に光をあてる長編傑作。

樺太から対岸の中国領に渡って戻ってくる場面は、物凄くリアリティがあってワクワクします。 人生の後半は隠密的な役人人生そのままで、人生前半の野性的な生き方との対照をあらわに表現しています。 役人としても成功したのは林蔵の非凡な能力を示しています。

これが評価されたのか、小惑星(12127)番にMamiya (間宮林蔵)の名前が付いています。 太陽系内天体のうち火星と木星の間には多数の小天体があり、地球のような大きな惑星とは区別され、"小惑星(しょうわくせい)"と呼ばれています。その大きさはじつにさまざまで、最大の1番 ケレス で直径910km(地球の直径の1/14分のほど)、小さなものは数キロメートルから数百メートル、あるいはそれ以下というものまであり、それらのうち、観測によって軌道のしっかり決まっているものは現在およそ2万個が知られていますが、このほどその一つである小惑星12127番に Mamiya(間宮林蔵)の名前が正式に命名されることになり、国際天文学連合(IAU:本部は仏国パリ)の小天体命名委員会の審査を経て、2001年1月9日小惑星センター(IAU第20委員会の傘下:事務局 米国ケンブリッジ市ハーバード・スミソニアン天文台)から世界中に公表されたと言うことです。








9月4日
9月に入ってやっと少しは涼しくなりましたが、今年の夏は本当に暑かったですね。 おかげでエアコンは売れに売れたようで、そのあおりかアテネオリンピックを当て込んだデジタルTVは予想よりも売れなかったようです。 もっとも買おうとした人は5月か6月に買っていますので、そのときはデジタル家電景気、その後はエアコン景気となったのではないでしょうか。 中国は当局の政策が効いているのかどうかは別にして、減速状態ですし、オリンピックの加速もなくなり、これから本格的に涼しくなってくると、景気への影響はどうなるのでしょう。 上半期の終わって下期の始まる10月ごろを注目したいものです。

9月3日の読売新聞夕刊に「宇宙人? 謎の電波」と言う大きな見出して記事が出ていました。 良く読むと、本当かどうか分からない、と言うようなことを書いてあったので、少し調べてみました。 ニュースソースはニューサイエンティストの記事をわざわざワシントンから送ってきたのですが、これは日本でも見れます。 機械翻訳の時々噴出しそうな、また意味の分からない翻訳が付いていますので、ご覧になってはいかがでしょうか。

地球外の知的生命体からの信号を探している天文学者チームは2日、プエルトリコのアレシボ電波天文台の観測で、うお座とおひつじ座の間の方角から、これまで知られた天文現象とは違う謎の電波信号を受信したことを明らかにしたとの事。 電波は昨年2月までに計3回観測され、次第に強くなる傾向があったと言うことで、電波の周波数は1420メガ・ヘルツで水素が放つ周波数と同じ。水素は宇宙で最も基本的な元素で、この周波数は宇宙で最も雑音の少ない帯域のため、知的生命体が交信に使う可能性が最も高いとされています。

元々こう言う地球外生命の探索(SETI)はずーっと行われてきており、本欄でも1999年6月号で紹介しています。 一口で言いますと、こう言う探索がしんどいのはデータ分析です。 前提は、もし我々と同じような地球外生命が居るとすると、きっと同じように他にも知的生命体が居るはずと考え、電波で信号を送ってくるはずである、これをキャッチすれば、少なくとも地球外の知的生命体の存在を確認できる、と言うものです。 しかし物凄い遠距離、今回では1000光年と言われていますが、その距離を電波がやってくるとすると、物凄く弱くなっているはずで、また他の雑音との区別がつきません。 こう言う空からの電波情報を記録することは容易なのですが、これの分析、解析が大変なのです。 スーパーコンピュータを使っても何年もかかります。 そこで最近は物凄く強力になった各自のPCを使って全世界で分担して解析しようではないか、と言う事でSETIが解析ソフトを配布して、解析をやってきたのです。 誰でも参加できますので、参加されては如何でしょうか。 ただ結構PCの計算に時間がかかるので、なかなか解析は進みません。 現時点では全世界で500万を超えるPCが動いているようです。

こう言うように超多数のPCをつないでスーパーコンピュータでも出来ない処理をしようというのがグリッドコンピューティングです。 最近では大手のコンピュータメーカーが製品として発表していますが、事の発端はこのプロジェクトを含めた、類似のプロジェクトであることは間違いないでしょう。

と言うことでSETIのデータを調べてましたが、確かに報道されているSHGb02+14aと言う信号自体は存在しましたが、この時点で2回しか検出されず、ランキング的に言うとかなり下で20位でした。 記事でも、他の信号を見誤ったのではないかとか、捏造ではないか、とかをほのめかしています。 信号の来た方向は先ほど言ったようにうお座(PCS)とおうし座(ARI)の間で、2時と14度の位置となります。


こう言う地球外知的生命体が存在するか、と言う問題は哲学的宗教的な問題を含んでいますので、もしハッキリと検証されたら、インパクトは物凄く大きいでしょう。 宗教上の理由で未だに進化を認めない立場があります。 これによると地球の寿命は一般に言われているような45億年どころか、5000年ぐらいだそうです。 それなら発掘される化石はどうなのか? と言うと、あれは進化したと言う事を信じさせるために神がわざと創造したのだ、神は万能なのでこう言うことも出来るということです。 ノアの箱舟で生き残ったものがその後、地上で生きていると言うことで、全種類の生き物がノアの箱舟に乗せるにはどうしたら良いとかの検証が行われているそうです。 洪水でノアの箱舟に乗せた動物以外は死滅したと言うことは良いのですが、それなら魚類はどうしたのか、洪水では死なないのでは? という疑問が浮かんできますが、これに対しては、洪水で泥が巻き上がって全ての魚類はそれで窒息死したと言う事になるそうです。


話を戻して、地球外知的生命体が存在するか、と言う命題に対しては私は否定的です。 確かにアミノ酸やタンパク質は宇宙空間にありふれて存在すると思いますが、それと真核細胞さらには哺乳類を含む我々のような知的生命体はレベルが全く異なる気がします。 アミノ酸から人間に至る進化は物凄い偶然と幸運に恵まれているのでしょう。 ちょうど良い銀河系での位置、適した水の量、ちょうど良い大きさの地球と月、太陽からの距離、うまい具居合いに起きた大陸移動などなど、まだ気が付かない偶然と幸運が人間を生み出したのがだと思います。 このような偶然が少なくとも銀河系の中で起こるのはそうそうあるものではなくて、あっても1-2のケースではないでしょうか。 もし他に1つあるとしたら、確率的には銀河系の反対側にあるので、銀河系の核の妨害で電波による探索は不可能でしょう。 他の銀河系例えばアンドロメダ星雲には存在するかも知れませんが、これを探知する方法はありません。

今月の読み物は「トンデモ科学の見破りかた −もしかしたら本当かもしれない9つの奇説」 ロバート・アーリック (著), 垂水 雄二 他 (翻訳) ¥1,785税込。
科学の正しい疑いかた、お教えします。 信じがたい9つの新説・奇説の真贋を鑑定。科学者にダマされない方法が身につく本。
《本書で扱う学説》この中にホンモノはあるか?
◎銃を普及させれば犯罪率は低下する?
◎エイズの原因がHIVというのは嘘?
◎放射線も微量なら浴びたほうがいい?
◎太陽系には遠くにもう一つ太陽がある?
◎石油や天然ガスは生物起源ではない?
◎未来へも過去へも時間旅行は可能?
◎光より速い粒子「タキオン」は存在する?
◎「宇宙の始まりはビッグバン」は間違い?

それぞれに筆者の考えるトンデモ度がついています。 筆者がタキオンの研究者であるせいか、この評価は少し甘いと思いますが、まあまあ全体としては妥当だと思います。 特に「石油や天然ガスは生物起源ではない?」と言うのは以前から何となく引っかかっていましたので興味のあるところです。 少なくとも天然ガスは生物起源では無いと思います。 時間旅行も興味のあるところで、理論的には可能と言うことですが、やはり必要なエネルギーが全宇宙の質量より多いとか、そう言う制約があると言うことには同意です。「放射線も微量なら浴びたほうがいい?」と言うのも興味あるところで、そう言えばラジウム温泉とかラドン温泉とかがあって、これが本当に効くのかどうかは関心のあるところです。 先日たまたま保険物理の専門家に会う機会があったので、この点を質問したのですが、良く分からないと言うことです。 本当にラジウムの放射線が効いているのか、単に温泉の効用なのかは不明だそうです。







8月1日
景気も上がってきているようですが、株価はまたぞろ下がりはじめました。 11月の米国の大統領選待ちという事でしょうか。 景気環論的には既に下降局面に入っていると言う話もありますので、良く言われているように年末が大きな局面ではないでしょうか。

1990年代のあの10年間の景気拡大場面でも、米国の多くの企業はリストラをしてきましたが、日本もそう言う状況になりつつあります。 今後景気が拡大しても、リストラを行わない会社は生き残れないでしょう。当時のアメリカと同じような状況は、特に給与水準格差の拡大となって現れています。 大阪のタクシー運転手の給与平均が300万程度になってきていると言う事や、ファーストフード店の店長の時給が900-1000円であることなど、大体当時のアメリカの状況と同じでしょう。 反面、高級技術者や管理職の年収は7-10万ドルとなり、これも現在の日本の状況と似てきています。

アメリカのホワイトカラーの生産性がどんどん上がっていると言うことですが、ITによる文字通りの生産性向上と共に、給与水準の低下が生産性を押し上げている側面も大きくあると思います。 安い外国製品がどんどん入っている区と言うのも1990年代のアメリカと同じで、周回遅れと言われたのが先頭ランナーだったと言う話がでしたが、良く眺めてみれば、デフレで日本が先行しただけで、結局5-10年の周回遅れは遅れなんではなかろうか、と最近は思い出しました。 大企業はリストラに走るとなると、残りの就業者の受け皿はやはりベンチャーでしかないのでしょう。 経済産業省が言い出したときは、日本はアメリカと異なる、と思いましたが現在ではやはりこれしか生き残りの道はないのではなかろうか、とも思うようになりました。

さて、今月はまたまたセキュリティの話です。 今年の春先は物凄くウイルスメールが多くてビックリしましたが、最近は減ってきたと思ったら、またぞろ増えてきました。 最近ではISPでのウイルスチェックが良く行われるようになったので、一時のような大流行はしなくなったと思います。

最近の話題は「フィッシング」です。 釣りを意味する Fishing とは異なり Phishing と綴るようです。 もちろん辞書には載ってませんが、ユーザーを釣るためのえさが sophisticated されているためだと言いますが、真偽のほどは定かではありません。 フィッシングとは、実在する企業のURLやWebサイトを偽装し、クレジット番号やパスワードなどを入力させる詐欺のことで、企業からの案内メールを偽装するパターンが多く、誘導されたWebサイトは正式のWebサイトと偽装されたWebサイトの区別が難しいのが特徴です。

例えば取引のある銀行からのメールになりすまして、「システムを更新するので、再度個人情報を入れてください」と言うメッセージがアクセス先のURLと共に送られてきます。これを信用して、メールのURLをクリックしてアクセスすると、本物の銀行のサイトをバックに、個人情報の入力画面が現れます。 情報入力ではよくある場面です。 ここでクレジットカード番号などの個人情報を入れてOKを押すと、データだけ盗まれて入力画面は消えてしまいます。 通常は異常とは思わないでしょう。

また他のケースでは、本当のURLと似たようなURLとして、本物そっくりのホームページを用意して、そこに罠を仕掛けると言うのも、以前から知られています。 簡単な見分け方は、重要な情報を転送するときによく使われるHTTPS:暗号化のマーク(鍵マーク)がブラウザに表示されるかどうかである程度の判断は可能です。 いずれにしても信頼できるサイトかどうかの確認をとる習慣を身につけないといけないようです。 本格的なIT時代を迎えて、新たな能力(ややこしいパスワードをそれも複数覚えておくなど)が必須になって来ました。

いずれの場合でも、アドレスを示すアドレスバーの中をしっかり見ておけば良いのですが、通常はやたらと長いURLであったりして、目でチェックする訳にもいきません。 また偽ホームページの中にはこのアドレスバーを消してしまうものもあり、これを判断の目安に使うことも考えられますが、通常のホームページの中にもユーザーの利便性を考えて消してしまうものもありますので、そのままでは判断には使えないようです。

また、最近ではユーザーに個人情報を入れさせるのではなくて、セキュリティホールを攻撃するサイトに誘導するものもあるようです。 これはスパイウエアで、元々はウイルスの一種として送りつけられていたのですが、これとフィッシングが合体したものです。

フィッシングは、米国で2003年ごろから流行し始め,FTC(米連邦取引委員会,Federal Trade Commission)は2003年7月に一般ユーザー向けの警告文書を公開し、同じく2003年夏には,セキュリティ・ベンダーである米Tumbleweed Communicationsが中心となって,“アンチ・フィッシング”の業界団体「Anti-Phishing Working Group(APWG)」が組織されました。APWGには,ベンダーだけではなく,金融関連の企業やISPなども参加しているようです。

このようなフィッシングやスパイウエアを如何に防ぐかと言うと、本当は Windows を使うのを止めたら良いのですが、そうも言っておれないので、まずウイルスの元凶である Outlook Express を止めること。他のメールソフトにすることです。 特に有料でも良いから、ただほど高いものは無いと言うのがこの世界です。 これでスパイウエアやウイルスの大半は防げるでしょう。 次にはブラウザのIEを止めること。 しかしなるべくマイナーなものを使わないと、Opera や Mozilla(Windows版)はすでにセキュリティホールが見つかっており、攻撃の対象になる可能性が高くなっています。

ちなみにメールのなりすまし、つまり他人をかたってメールを送るのは、以外に簡単に出来ます。 メールの「From」欄に知り合いの名前やマイクロソフトなどの大企業とおぼしきアドレスが書いてあれば、何か重要なファイルかと思って添付ファイルをダブルクリックすて、ウィルスに感染する可能性は高いです。 このやり方を書いたサイトがありましたので紹介しておきます。 念のために言って置きますと、これだけでは実用的な? なりすましは不可能です。 発信者を偽っても、送ったISPが分かってしまうために、追跡されると簡単にばれてしまいます。 これをばれなくするには色々なテクニックが必要で、そう簡単にはなりすませないと言うことです。

また、最近ワン切りとか、身に覚えの無い支払い請求とかが良く来ますが、これは無視するのがベスト。 下手に問い合わせたりすると相手にこちらが見たと言う事を知らせることになりますので、メールでも返信は厳禁。 電話も厳禁。 どうしても電話したければ番号通知は必ずOFFにして、こっちの身元は明らかにしないようにしてください。 気になるようでしたら、ワン切りなら、かかってきた電話番号、不正請求でも電話番号が書かれていますので、そのままWebで検索してください。 必ずヒットします。 何か反撃しないと気の納まらない人は、これを登録するサイトが複数ありますので、ここに登録しておくと良いでしょう。 これで気持ちも多少はすっきりするでしょう。 ただ上記のようにフィッシングのサイトだけは注意してください。

今月の読み物は、「ポーツマスの旗」 新潮文庫 吉村 昭 (著) ¥580(税込)です。ルーズベルト大統領の仲介でかろうじて戦勝国となった日本だったが、条約締結に際しロシアに強気な態度を取れるような底力は日本には残っていなかった。しかし、そんな事情を知らない国民は小村外相に戦勝国としての権利に多大な期待を寄せていた。 しかし度重なる外交交渉の結果、賠償金や領土問題などをロシアに大幅に譲歩することで講和が成立した。納得がいかず憤怒した国民は各地で騒動を起し、小村に批判を浴びせた。

日露戦争100年記念に読んでみました。 第2次世界大戦では悲惨な結果に終わったので、想像がしにくかったのですが、祖父がロシア戦争に参戦してました。有名な203高地攻撃には参加しなかったようで、参加していたら私は存在しなかったでしょう。 しかし、負傷して帰ってきたのですが物凄く待遇は良かったように当時の写真をみておもいました。 そうでなければ誰も命を懸けて戦争には行かなかったのではないでしょうか。 そう言う意味で、当時の国民は結構発言力があったように思います。 本書の小村寿太郎が日本に不利な講和をして戻ってくると、本気で暗殺を心配してるとか、デモが大規模に起きたとか、結構国民の意思を、良いか悪いか別にして、表明していたと思います。

また、政府も日本にこれ以上の戦争継続能力がないことを十分理解していて、無理な講和もやむを得ないと考えていました。 今の日本からすると、これだけの外交交渉を過去の日本が出来ていたとは、とても信じられない事です。 それを可能にしていたものは、独立国としての気概、独立を守るためのあらゆる努力、情報収集という裏づけがあり、さらに閣僚・元老たちの一致団結した協力体制があったからこそでしょう。 これがなぜ果てしの無い太平洋戦争に突っ走って行ったのか、またその後も外交では後進国と言われるようになったのか。 日露戦争100年と終戦記念日を迎えて、原点を一度見直したいと思いました







7月3日
今年はどうもカラ梅雨みたいで、これからは30年来の猛暑になるそうです。 最近デジタルビデオにハマっていて、今月の話は少々細かいです。

ビデオを記録するために大容量のポータブルのディスクを買いに行きましたが、「80Gb Mpeg2録画 約35時間」と書いてあって、やはりこんなディスクは録画に使うんだと、改めて認識したしだいです。 大きさも150gぐらいで、一昔前のケータイの重さで、録画した映像を35時間分も保存できるのです。 これと小型のノートブックPCを組み合わせれば、例えば新幹線の中でもビデオを見ることが出来るようになります。 もちろんポータブルPCに十分なディスク容量があればそれだけでOKですが、やはりいくつかのビデオを録画しておこうと思うと、別のディスクの方が便利でしょう。

このポータブのディスクは2.5インチサイズなので、小型ですが、容量当たりの価格は高くなってしまいます。 また、電源もUSBから取るのでACアダプタは不要で、ポータブルPCをバッテリで動かしている時でも使えます。 一方、もっと大きな3.5インチのものは容量当たりの価格も安いですし、もっと大きな容量のものが入手できます。 250Gb程度は良くありますし、先日見たのは、1000Gbつまり1T(テラ)バイトのものまで入手できるようです。 大体2時間のビデオで3-4Gbの容量ですので、80Gbで 20-30本、250Gbで60-90本のビデオを格納できます。 ただし、ディスクの容量に比較して、USBなどのデータ伝送速度はそんなに上がっていないので、例えば1本のビデオを転送するのに数分間かかります。 一昔前のUSB 1.0 ですと、下手をすると2時間のビデオを転送するのに、2時間以上かかると言うようなことになってしまいます。

通常のDVDのビデオを見る場合には、これをディスクにコピーしないといけません。 厳密に言うとDVDのデータをコピーすることも不法なのですが、個人が自分で見る場合には問題ないと思います。 DVDの円盤からmpeg2のファイルを作るソフトは沢山出回っています。 中には無料のものも多くあります。 この中でも DVD Decripter は人気のあるソフトです。 日本語化バージョンも出来ています。 このソフトでmpeg2 ファイルに直れば、DVD再生ソフトでPCの画面で見ることが出来ます。 mpeg2の再生はライセンスの関係で無料ではないのですが、DVDドライブが付属のPCやDVDドライブを別に購入した場合は、必ず付属の添付ソフトがあり、これにそれらの再生ソフトが含まれています。



また、市販のDVDのバックアップをとりたい場合は、最近すごいソフトが出てきたので、一発でコピーできます。 おまけに通常のDVDは片面2層になっているのですが、これを片面1層のどこでも入手できるDVD-R などに圧縮してコピーできます。 DVDについている特典などを外せば、少し圧縮するだけで、1枚に入ります。 最近発売された2層のDVD-R を使うまでもなく、見て判らないレベルでコピーを作ることが出来るようになりました。どうしてもオリジナルのDVDと全く同じものでないといけない、と言う人以外にはこれで十分だと思います。

さらに、先ほど言った特典画像を外す以外に、字幕などもいらないものははずせますし、本番が始まる前の余計なメニューも飛ばして、一発でメインの画像に入ることが出来るようになります。 最近はDVD-R も安いのは100円程度で入手できますので、コピーが簡単に作れるようになりました。 しかしあくまでこれは個人用途に限定されたもので、他人に譲渡すると著作権違反になりますのでくれぐれも注意ください。 また、このような目的では、こう言うソフトを所持しただけでも違反になります。

いつか本欄で紹介したような、リージョン問題をお持ちの方はいらっしゃいませんか? アメリカで買ったリージョンが異なるDVDやヨーロッパで買ったリージョンはOKだが、PAL方式なのでTVで見ることが出来ないなど、いろいろな問題があります。 これも、上記のコピーをすることで、通常のDVDプレーヤーとTVで見ることが出来るようになります。尤もアメリカではDVDをコピーすること自体が違法です。

特にリージョンは各々のDVD再生ドライブで決まっていて、最大5回までしか変更できません。 さらにはDVDプレーヤーでは変更そのものが出来ません。 日本とアメリカのDVDの両方を見ようとすると、現実にはドライブやDVDプレーヤーを2台持つことになりますが不便この上ありません。 こう言うリージョン問題に関しても、いろいろ考える人が居るらしくて、リージョンを無効にするソフトが出回っています。 DVDドライブのファームウエアを書き換えれば無効に出来ますが、出来るドライブと出来ないものがあって、作業も大変ですが、PCにインストールするだけで無効に出来るものもあります。 こうした上で、コピーを作れば、通常のDVDプレーヤーとTVで見ることが出来ます。 PAL方式の場合は、リージョン問題はないので、コピーするときにPALからNTSCに変更されますので、そのまま見ることが出来るようになります。

著作権問題はよく理解でき、守る必要があると思うのですが、逆に上記のような利用者側の見る権利が侵されてる気がしてなりません。 例えアメリカであろうがヨーロッパであろうが、お金を出して買ったのですから、それが何らかの理由で視聴が制限されると言うのはおかしいような気がします。 作る側の著作権の保護もさることながら、利用者側の権利の保護も忘れないようにして欲しいものです。 幸い、著作権では個人の権利が認められていますから、これを最大限に利用しようましょう。 尤もコピーを作るとかの不要な作業をしないといけないのですが。

DVDプレーヤーの最近のものでは、LANを使ってビデオ再生出来るもので、手軽なものが出てきました。 通常のDVDはもちろん、MP3でCDに記録したものとか、MpegそのものをDVDに記録したものとか、大体何でも再生できます。 最も便利なのは有線LANや無線LANを使って、PCのディスクに記録したmpegファイルを再生できます。 2万円少しですので、通常のDVDプレーヤーを買うつもりなら、この方が面白いと思います。 PCの上で動かすサーバーソフトも最近更新されて、やっと使い勝手が良くなりました。 ちなみにTVの画像を記録するには取込用のビデオキャプチャが必要です。 これには内蔵と外付けの2種類がありますが、外付けのほうが少し高いですが、後のことを考えるとこの方が良いでしょう。 PCカードタイプはPCのノイズの影響を受け安いのでお勧めではありません。

今月の読みものは、「失われた化石記録―光合成の謎を解く」 講談社現代新書、J・ウィリアム・ショップ (著), 阿部 勝巳(訳)、 ¥882。 少々読むのが大変ですが、暑いおり、気合を入れて読んでみましょう。 昨年の暮れに紹介したつけた「カンブリア紀の怪物たち」―進化はなぜ大爆発したか シリーズ「生命の歴史」〈1〉の続編(2)です。 前半は少しかったるいですが、後半から生命の誕生について最新の情報を詳細に読ませてくれます。 確かに単純なアミノ酸とかタンパク質は地球誕生後すぐに発生したようです。 しかしこれから細胞になり、さらには高等生物になるには気の遠くなる時間が必要です。 今更ながら人間は幸運に支えられた奇跡の産物であるとの自説を確信した次第です。

35億年前、地球に何が起こっていたか!? 細胞はどのようにして始まったのか?──生命の始まりに関する大きな謎の1つに、細胞とその代謝がどのようにして始まったのかということがある。最初の細胞は、今日生きている生物の中でいちばん小さくいちばん単純な、マイコプラズマのようなものではなかったのかと想像したくなる。マイコプラズマは本当に小さい。わずか数百のタンパク質をつくる指令に必要なだけのDNAしかもっていない。すべてが寄生性であり、他の細胞内で成長し繁殖する。これは最初の生命形態としては、ありえない生活の仕方である。これに代わりうるモデルは、ふつうの細菌である。しかし細菌というのは驚くほど複雑なもので、数百種類のポリマー、1000種類以上の酵素、数千万個の分子から構成されている。最初の細胞は、もっとずっと簡単なものだったはずである。いちばん初めの細胞がどのようなものであったのかを知るには、今日の生命と最初の生命との間を仕切っている進化のヴェールをはがす必要がある。──本書より