2000年前半の「今月のひとこと」 2000年 6月 2日 5月 7日 4月 2日 3月 4日 2月 7日 1月 1日 Masuda Home Page へ戻る バックナンバーへ戻る 絵や写真をクリックすると、そのページに行けます


6月2日

先月は初めからラブレターウイルスで大騒ぎでした。 日本でもかなり流行ったらしくて、みなさんの中にも受け取った方がいらっしゃると思います。 まあ、受け取ったときにはそういう情報はまだ流れていなくて、思わず添付ファイルを開いてしまった方が多いのではないでしょうか? いつ何時、今この時点でも新しいウイルスがメールで送られてきているかもしれませんから、添付ファイルはくれぐれも慎重に扱ってください。 添付ファイルは、誰から送られて来たものであろうと、2-3日は絶対に開かないと言うような対策を取っているセキュリティ専門家も居るそうです。 根本的な問題はみんなが同じシステムを使っている性でこう言うことが起きます。 もしみんなのシステムやソフトウエアが異なっていたらこう言うことは生じません。 しかし自分だけ違うのに変えても他の人は同じですから、対策にはなりません。 自分のPCがウイルスにやられた時に他に感染させないと言う事は可能です。

ラブレターウイルスは、5月4日に発見され非常に速いスピードで感染を広げています。 またオリジナルの「VBS_LOVELETTER」を改変して作ったと思われる亜種も次々に発見されており今後も十分な警戒が必要です。 オリジナルの「VBS_LOVELETTER」の場合、送られてくるメールの件名は“ILOVEYOU”、本文は“kindly check the attached LOVELETTER coming from me.” 添付ファイル名は“LOVE-LETTER-FOR-YOU.TXT.vbs”です。 メールに添付されたVBSファイルを実行することによってWindows 95/98/NT/2000ユーザに感染・発病します。 Microsoft Outlookを使用している場合アドレス帳に登録されているすべての人に同じメールを自動的に送信することで広まっていきます。 またInternet Explorerのホームページ設定を変更して自動的に特定のサイトに移動させ、そこから不正なファイルをダウンロードさせることをねらっていましたが、流石にこれはすぐにばれて、このサイトは現在は閉鎖されています。

不幸にしてファイルを開いてしまって感染したと思ったときは、すぐにネットワークから切り離してください。 手っ取り早いのはモデムやLanのコネクタを引っこ抜くことです。 これが意外に出来ません。 なんとかPCを操作して切り離そうとするのですが、そんな事をやっているとウイルスはメールを発信し出します。 自分のファイルが壊れたのはしょうがないとしても、他人に迷惑を与えることだけは避けたいものです。

ところが最近ラブレターウイルスと同様の強い拡散能力を持ち、しかももっと破壊的なウイルス「VBS_NEWLOVE.A」が確認されました。 ラブレターウイルスと異なるのは送信されるメールの件名と添付されるファイル名が無作為に変更されるためラブレターウイルスのようにある特定の件名のメールに気を付けていれば安心というわけでは無くなりました。また、Windows, Windows\System とウイルスが最初に実行されたディレクトリの中のファイルすべて破壊され、二度とシステムを再起動することができなくなってしまいます。 さらに、ごく最近、昨年話題となったMelissaに類似した感染経路をとるマクロ型ウイルス「Cybernet」が確認されました。 このウイルスはラブレターウイルスと同様の高い感染力を持っていますが、さらに悪質で破壊的なのはディスクをフォーマットしてしまう点です。 こうなると蓄積したファイルが全く修復不可能になってしまいます。 ウイルスが起動された後、8月17日と12月25日に発病し、この日付にウイルス起動した場合、開いているWordとEXCELの文書内にランダムの画像を埋め込み、AUTOEXEC.BATの中にハードドライブを再フォーマットするコマンドを書き込みます。 さらに、CONFIG.SYSファイルに AUTOEXEC.BATファイルの実行を中止/無視することができなくなるような命令をご丁寧に追加します。

さて、最近チェックしたWebサイトは個人情報ツールです。 予定表とかアドレス帳とかをまとめたもので、以前のシステム手帳のネットワーク版です。 ネットワークになると何が便利と言うと、例えばイベントなどの予定を自動で入れてくれたり、予定の日になるとメールで知らせてくれたりします。 また記憶容量の限定されているケータイではその記憶容量が仮想的に無限大に拡張されます。

Dosule!(ドースル)は複数の企業の共同の上で運営されている性か情報が豊富です。 ログインするとまるで自分のホームページに居るようです。 予定表、アポイント、今日することなどが表示されます。 また変わったところでは、名刺の交換がメンバー同士だと極めて簡単に出来ます。 さらにお互いのアポイントをお互いの時間を見ながら設定できるようになっています。 もちろんiモード対応です。

Jside.com はJside.com はDosuleがどちらかと言うとビジネスマン向きなのに比べて「新しい仲間、知りたい情報に会える!Communityサイト」で、特にグループを作るのに便利なようになっています。 面白いのは日記を書きながら公開する機能がある事で、いかにも若者向きになっています。 J-channelでは毎週有名人とチャットができると言うことです。

 V-cube icsy インターネットカレンダーシステムはシンプルなカレンダーとメモのPIMです。グループを作ってその中での共有も出来るようになっています。

今月の映画はかなり以前に見た「アイアン・ジャイアント」と言うアニメ。 宮崎駿のナウシカの最後の方やラピュタの一部に出てくるロボットを思わせるような外観。 日本のものが無機質に感じるのに対してアメリカ産はその中に人間性を感じます。 1957年秋。メイン州のロックウェルという小さな町に住む9歳の少年ホーガースは、母親のアニーが働く地元の食堂で、「金属でおおわれた大男が空から降ってきて、海に落ちるのを見た」という漁師の話を耳にする。時はまさに、ソ連が世界初の人工衛星スプートニク号を打ち上げた直後。宇宙人の存在を信じるホーガースは、夜中に家を抜け出し、空からやってきた巨大ロボットを探しに行く。ホーガースが森で見つけたのは、金属をムシャムシャ食べ、子供のように地球のことをなんでも知りたがる鋼鉄の巨人、“アイアン・ジャイアント”だった。。。





5月7日

4月13日は大変でした。 日本では14日になるのでしょうが、例のアメリカの株価の急落日です。 もっとも当日はそんなに衝撃はなくて、「えらく落ちたけど、大丈夫かな」程度だったのですが、翌日の金曜日にまた落ちて、これにはみんな慌てました。 落ちたままその週は終わってしまって、悶々とした週末をほとんどの人は送ったのではないでしょうか? それぞれにみんな 「いつかは落ちる」 と思っていただけに、その時が来たと思った事でしょう。 しかし週明けの月曜日の早朝(ニューヨークは3時間先に開いている)にそっとテレビを点けてCNNを見てみると、なんと株価は上がっているではありませんか。 次の日も上げて、これでみんな本当に自信を付けたことでしょう。 ネット株が下がってNASDAQも下がり続け、予期していた時に予期していた事が起こったと言う事です。

日本はと言うと当然にニューヨークが下がればあっという間に下がってしましましたが、アメリカがすばやく反発したのに対して、日本はなかなか反発しませんし、反発しても力強さが全く異なります。 その後もソフトバンクや光通信が下げに下げて、また一説には日経の指標銘柄の入れ替えでデータ的におかしくなっていると言う事も含めて全体的に元気がありません。 期待が大きかった郵便貯金の資金流動も、結局はリスク回避型の資金であったようで、債権市場に流れてしまったようです。

本来、アメリカは1980年代において、日本で現在起こっているような長期不況や銀行の統廃合などを一通り経験してしまっており、さらにその後の10年間の長期安定成長だったわけで、日本の中ではこう言うシナリオを描いている人が多く居るはずですが、なかなかそう絵に描いた様には行かないようです。 今後の時代を牽引すると言われているインターネットと言うと、これは世界共通で、日本もアメリカの2年遅れと言われています。 従って先の10年の差とこの2年の差が同時にやってきているのです。 元々アメリカにはエンジェルをはじめとする投資の下地がありましたし、1990年代に入ってから株式投資の本格的な成長が始まったのですが、5-6年の一般大衆の株式投資の経験の上でインターネットがやってきたのです。 ここが日本とアメリカの大きな差です。 大局的には株式は成長基調にあるもののミクロな動きとなると誰にも分からないような状況になってきました。 NASDAQ Japan もやっと動き出したと言うことで、ますます混沌とした状況になってきたようです。

しかしともあれ、日本におけるベンチャーの環境は飛躍的に向上したと言って良いでしょう。 少なくともお金に関しては従来のように銀行に泣き付いて貸してもらう、と言う状況からは脱しつつあるようです。 従来型の銀行からの貸し付けであると、担保が必要でそれも「知的所有権」とかましてや「将来成長期待」なんぞと言うのは話にならなくて、どうしてもハード的な担保を要求されます。 これで自分の家屋敷を担保に入れるのですが、失敗すると家屋敷を手放す事になってしまって、事業的にも個人的にも再起不能な状況が作られてしまいます。 また「自分の会社」と言う意識が強くなりすぎて、元々コーポレートガバナンスが不明確な日本において、ますます会社と一体と言う感じが強くなってしまい、一度会社がつぶれるとその人の人生も終わってしまうのです。 しかし、こう言う状況は確実に変化していて、アメリカ型の「投資家が主体」の会社組織に変貌しつつあります。 ここでは当然に役員は地位の対象ではなくて会社の所有者であって、役員会では社長を取り締まる本来の無給の「取締役」を果たさなければ行けない事になります。

お金の問題は上記のように概ね解決されつつありますが、次に問題となるのはマネジメントです。 投資する方も、される方も、レベルの高いマネジメントが要求されます。 投資する側は、いかに優秀な、しかし「その会社の現段階に適したマネジメント」を自ら役員会で行うか、もしくは探索してその職務に就けるかを行わなければなりません。 投資される方も、単に社長の肩書きにこだわるのでは無くて、技術出身であればCTO(技術役員)で居る方がやりがいも出てくると言うものです。 しかし、日本の高いレベルのマネジメントはいわゆる大企業が定年まで抱え込んでしまっており、定年後も本人の希望もあってさまざまな名目で結果的に抱え込む事になってしまうのです。 大企業の管理職は本人や会社が思っている以上にレベルが高く、基本的には日本式の横並びでレベルを決めている事から、概ね均一なマネジメントレベルに達していると思います。 特に定年後は、阪神の野村監督ではありませんが、やはり世の中に対する貢献と言う事でその能力を「社会のために」発揮すべきと思います。 アメリカでも若い CEO と 定年後それも大手の CFO(財務役員)の組み合わせは珍しくありません。 CFOでなくても COO (実行役員)でも十分に力を発揮できるでしょう。

今後の日本の経済の活性化のためには、やはりアメリカ型のベンチャーの発展が不可欠ですが、現時点で決定的に欠けており、またその解決方法が全く見えないのは、上記のマネジメントです。 いかに大企業が抱え込んでしまっているレベルの高いマネジメントを世の中に流動させるか、また活用するかが大きなテーマでしょう。 過去、長期に渡って資金面での改善努力がなされてきました。 政府も様々な支援政策を取ってきましたが、何となくはっきりしないマネジメントに関してはほとんどその努力がなされていません。 ここに、これから大きな努力を払うと共に、大企業にいる管理職はもっと自信を持って、新たな「会社」ではなくて「社会」への貢献を真剣に考えるべきでしょう。

 今月の映画は、直木賞候補にも挙げられた昨年9月発売の東野圭吾原作「秘密」(文藝春秋刊)の映画化ものです。たまたま飛行機の中で見るものが無かったのでしょうがなく見ましたが、広末涼子がかわいくて思わず最後まで見てしまいましたが、これがなかなかもの。 The Sixth Sense を凌ぐ? ミステリーあるいはサイコホラーになっています。
 
父親・杉田平介の妻・直子と娘・藻奈美が乗ったスキーバスが崖から転落し、病院に運ばれた妻は息を引き取り、一方の娘は一命を取りとめるが、意識が戻った娘の人格は、なんと妻だった。 突然17才の娘になったことで、そのギャップに戸惑いながらも、もう一度10代をやり直すことに新鮮さを感じる妻。 夫と娘の肉体の間で悩む妻を見ながら、平介は大きな決断をする。 そして、運命は思いがけない結末に二人を導いていく…。 The Sixth Sense と同じように最後に秘密が明かされます。

娘・杉田藻奈美役を広末涼子が演じ、精神は妻で、肉体は娘という非常に微妙かつ複雑な役どころに挑みます。また、父親・杉田平介役には小林薫が決定。「妻なのに娘」という夫婦関係を時にはコミカルにそして切なく演じます。 ホームページは4月末までだそうで、お早めにご覧ください。
 





4月2日

先月は珍しく、シリコンバレーに行かなかったので、今回は日本国内の話です。 行かなかったのは都合がつかなかったこともありますが、やはり何と言っても日本が面白くなってきたことです。 従来はアメリカ、それもシリコンバレーが面白かったのですが、最近特に今年に入ってからは日本が断然面白くなってきました。 特に次世代のインターネットの姿が携帯電話を通じて具体的に見えてきた事に代表されるように、モーバイルあるいは無線技術が面白くなってきました。

最近無線LANをテストしてみました。 以前にアメリカの某有名メーカーの製品をテストしてみたのですがイマイチ。 ハードはそれなりに出来ていたのですが、ソフトウエアと言うかドライバがかなり特殊で無線LANから出たり入ったりするのが非常に面倒でした。 確かに無線化すればモーバイルになるのですが、それが全てではありません。ある時には有線LANに繋ぎ、ある時にはモデムで、無線LANでと言うのが本当のモーバイルですが、ここが理解されていませんでした。 今回日本メーカーが11Mbpsのものを出すと言うのでそれをテストしてみました。IEEE802.11b と言う「無線LAN標準互換プロトコル」を使用し、直接拡散型スペクトラム拡散(DS-SS)方式で、1,2,5,11Mbpsのデータ転送速度をオートセンスで自動的に最適な速度を選択します。 最大の通信速度 11Mbps を得るためには、室内25m/屋外50m と言う事ですが、室内では2部屋ほど離れるとギリギリになるようです。 携帯電話についているような電波の強度計が表示されますので良く分かります。 実際に使ってみると、PCMCIAカードがチョット飛び出ているのが気になるのですが、ほとんど意識する事無く使えます。 通信速度もインターネットのアクセスが中心ですと、ほとんど気になりません。 本格的にデータ転送を行うには少々もの足りませんが、その時には100Base-Tに繋ぎかえれば良いでしょう。 PCMCIAカードを差し込んだPC同士でも通信できますが、別のアクセスポイントを付けると、従来の2Mbpsのカードも混在できるようです。 4月にはルーター機能がついたものも出荷されるとの事で、ますます使いやすくなります。 その内にはPCに完全に標準装備されるようになるでしょう。

3月15日(水)に、NTTドコモグループの「iモード」契約数が、500万を突破したとの報道がありました。 昨年2月22日のサービス開始より約13ヶ月で突破したことになり、よく講演会で引用される、ラジオやテレビの普及速度の比較の上で、ダントツのトップに躍り出ました。 現在、ドコモと契約しているiモード情報サービス提供者は 356社(3月15日現在)で、サービス開始当初(67社)の約5倍になり、また一般ホームページは約7,000サイトにのぼっているそうです。 成功の秘訣は何と言ってもその基本料金でしょう。当初は1000円と言う考えもあったそうですが、担当者の一存で300円に落ち着いたそうです。 300円と言うのはちょうど雑誌の値段で、これなら抵抗なく受け入れられると言う事で、私も現実にドコモショップで300円と言われてアッサリと加入しました。 1000円と言われたら考えたでしょうね。

先日、iモードをアクセスしようとしたら出来ませんでした。 聞いてみるとセンターがダウンしたとのこと。 ごく最近も新聞で「またダウン」と報道されていましたから、急激な加入者の伸びに間に合わないでシステムの拡張が追いついていないようです。 PHSに対応して携帯電話も地下鉄の駅で使えるようになりました。 最近に使えるようになったのは、都営地下鉄三田線の内幸町、白山、水道橋、御成門の各駅と都営新宿線の新宿三丁目駅の構内において携帯電話が使えるようになりました。もちろんiモードもOKです。 また昨年12月より、営団銀座駅3駅、営団日比谷駅2駅、営団有楽町駅、営団東銀座駅、営団二重橋前駅、都営東銀座駅、都営日比谷駅の計10駅および銀座地下街と日比谷地下街でも利用可能になっているようです。

次世代の携帯電話は「IMT-2000」としてすでに室内ではありますが 2Mbps の通信に成功していて、室外ですと384Mbps が可能になるようです。 技術はW-CDMAを使います。 要するに周波数拡散通信の帯域をものすごく大きくとる事で速度を確保しているのです。 しかし 2Mbps にしろ 384Mbps にしろ大きな数字です。 現状の 有線のサービスプロバイダに比べても数倍の速度が出ます。 ADSLのものでも距離によってはこれより通信速度が落ちる場合が考えれます。 ISDNは完全に遅くなってしまいますね。サービスは来年からと言う事ですが、本格的には 2002年のワールドカップが大きなマイルストーンになるでしょう。 W-CDMAは全世界中のメーカーが支持をしており、また全体システムであるIMT-2000も酸い新会社のドコモが仕様のオープン化を表明しており、これでようやく全世界共通で使える携帯電話システムが出来上がりそうです。 この様に、通信量が全世界的に大幅に増えるわけで、基地局の新設と合わせて、またまた大きな設備投資が行われる事は間違いなく、これを切っ掛けに大きく伸びる会社も出てくるに違いありません。

携帯に押され気味だったPHSも当面の繋ぎとして「64Kデータ通信」のサポートをしています。 これならISDNと同じなのですが、何とそのエリアはほとんど拡大していません。 現時点では 東京23区、横浜市、川崎市 だけで今後平成12年4月1日以降 東京都(22都市)、神奈川県(13都市)、千葉県(16都市)、埼玉県(24都市)、茨城県(2都市)、栃木県(1都市)、群馬県(2都市)、山梨県(1都市)、長野県(1都市)、新潟県(1都市)の1都9県(83都市)となっています。 ITM-2000が出てくる頃には間に合いそうにもありません。

今月の映画は、当然にアカデミー賞の話題です。 ご存知のように今年のアカデミーは「アメリカン・ビューティ」となりました。 最初これを見たのは、他に見たいものが無くて以前に見逃していたので、たまたま見ただけです。 タイトルからは恥ずかしながらアメリカの観光映画と思っていました。 内容は皆さんご存知のように、アメリカの典型的な中流家庭の崩壊を描いたもので家庭内不和から不倫事件、駆け落ちと一通りあって、主人公は最後に隣の住人に殺されてしまいます。何となくやりきれない気持ちになるのですが、そこをぐっと持ちこたえたのが受賞の理由ではないでしょうか? 何となく身につまされる内容です。 いつもの事ながら映画のサイトを見るために www.americanbeauty.com とやってみると、これが何とカンサスにあるマカロニ会社のサイト。1916年設立の老舗でした。 ちなみに映画のサイトはほとんどがタイトルをそのまま入れるとアクセスできます。 検索エンジンを使うよりはるかに効率が良いのでお勧めです。

他のノミネート映画は「グリーンフィード」がありましたが、あまりにもミエミエの映画作りが嫌われたのでしょう。 「The 6th Sense」も候補に上がっていましたが、流石にここまでは行かないと言う事。 それにしてもスリラー映画がここまでくるとは思いませんでした。 さらには「ブレアウイッチプロジェクト」も一応は話はあったようですがここまで来るとこっちも付き合いきれない感じがします。 流石の「シックス・センス」の名子役 ハーレイ・ジョエル・オスメント は 助演男優賞にノミネートされました。アメリカン・ビューティーの ケヴィン・スペイシー は主演男優最優秀賞に輝きましたが、アネット・ベニング は主演女優賞ノミネートに終わりました。 それなりに良くやっていたとは思うのですが。






3月4日

前回で予告したように、「2月29日問題」 はいろいろ有ったようですね。 ATMが止ったり、気象データの収集システムに影響が出たり、生活に影響の大きい出来事が多かったようです。 その他にもオープンされていない悪影響が多くあるようです。 こうやって見ると、やはり「1月1日問題」は多くの努力であの程度の影響ですんだ事はが良く分かります。 2月29日には少し油断があったのか、要するに単純なプログラムミスです。 完全に手を抜いて4年に一度の閏年しか計算していなければ、今回は問題ないのですが、100年に一度の計算をしており、しかも400年に一度の特例をキチンと計算していないと今回の問題が出てくるのです。 まあ400年に一度の問題で、まさか4年に一度の「閏年計算」に手抜きはないでしょうが、次は100年後です。 その時には今のコンピュータシステムも完全に変化しているに違いありません。 それより現時点でこれをお読みの方が後100年生きられる可能性は極めて低いと言わざるを得ません。 まあ、ヒトゲノム計画で遺伝子治療が可能になり人間の寿命が大幅に伸びない限りはですが。

コンピュータの進化のエポックとなる出来事がたて続きに最近起きました。 まず、2月に 「Windows 2000」 が発売されました。 過去10年間のマイクロソフトによるコンピュータの発展の最後の総仕上げと言うべきものでしょう。 もっとも 「Windows 98」 が 「95」 の後継であるように、「Windows 2000」 も 「NT」 の後継に過ぎません。 従って 「Windows 95」 の時にあったようなお祭り騒ぎは影をひそめて、ベータ版がかなり広範囲に配布されていた事と合わせて、淡々と発売されました。 早速、英語版を入手してインストールしてみましたが、NT であることには違いないものの、画面が非常に奇麗になっていました。 またネットワーク部分のユーザインターフェースが大幅に変更されました。 現在のシステムをバージョンアップして問題が無いかどうかのチェックプログラムが無料で配布されていますので、チェックしてみてください。 これはハードウエアの互換性を見るだけでなく、既にインストールされているアプリケーションソフトウエアの互換性もチェックしてくれますので、アプリが動かなくなると言うことは無くなるでしょう。 私が感じた問題点は、ディスプレイドライバが、メーカーのものではないので、細かい設定が出来ずに、インストールそのものは簡単に行えますが、画面のチラツキなどの調整がハードウエアによっては、うまく出来ないようです。

3月4日と言えば、「Play Station 2」の発売日です。 前宣伝が行き届いていたのと、ハードウエアの性能が極めて先進的なので発売前から注目を浴び、販売店の前に列が出来たり、それに先立って発売元のソニーのサイトで予約を受け付け始めたとたん、アクセスが殺到してサーバーがダウンしてしまったそうです。 アメリカは今年の秋からの発売で、当初は100万台を1ヶ月ぐらいで売り尽くして、最後は1億台に達する見込みだそうです。 現在の Play Station が7000万台だそうですから、達成は時間の問題でしょう。

これがなぜ大きな注目を浴びているかと言うと、次世代のPCを予感させるものだからでしょう。 ハード的には既にPCを凌駕し、コスト性能比でも本体が3万9800円と、ゲーム機としては高価なものの、PCとしてはかなり安価です。 DVDプレーヤーを搭載し、DVDプレーヤーだけでも3万円の価値はあると言う話です。 表示性能に関しては PCは比べようも無く、あとディスクドライブと適切なOSもしくはインターネット接続ソフトがあれば、現在のPCの用途の80%は代替えされてしまうでしょう。 PC は本来の汎用コンピュータに戻る事になるのです。 汎用コンピュータを必要としている人は多くいるはずですが、そのほとんどは既にPCを使いこなしており、これからはインターネットの端末としての使用がほとんどすから、これからはこの伸びが極めて大きいでしょう。

この他には、老舗の任天堂の「ニンテンドウ64」が既に市場に出ており、2001年に出荷が予定されている「ドルフィン」までの繋ぎを担っています。 セガが満身を込めて出荷した「ドリームキャスト」は欧米では超人気で既に400万台以上を売り上げています。 しかし、Play Station 2 の出現で新たな打ち手が必要になって来たのではないでしょうか。 Play Station 2 が発売されたばかりですが、次機種の 「3」 は2005年頃に出てくるそうです。 この頃にはポストPCの行方ももっと明確になっているでしょう。

インターネット接続速度の大幅な向上や携帯電話に代表される「無線技術・モーバイル環境」などと共に、「Y2K問題」をクリアして2000年を迎え、「新たな千年紀」に向け新たな産業革命が動き始めたと見るべきでしょう。 来年の今ごろはインターネットの接続に「ADSL」や「無線」が使われて、高速度になっているはずですし、Play Station 2 のインターネット接続も開始されていますし 「iモード接続のPDA」 も現れているはずです。 従って、少なくともインフラのレベルでは次世代のインターネットが垣間見れるのでは無いでしょうか。

今月の映画は、日本では昨年に既に封切られた「ダブル・ジョパディー」。 夫殺しの嫌疑をかけられたアシュレイ・ジャッドが身の潔白を証明すべく闘うという女性版「逃亡者」のようなアクション・サスペンス映画。 タイトルの意味は一度殺した夫をもう一度殺しても罪には問われないと言う意味。 チョット無理があるかも。 でもそんな事を無視して気楽に見たら、なかなか面白いアクション映画です。監督はのブルース・ベレスフォード。共演はトミー・リー・ジョーンズ。「逃亡者」とその続編にあたる「追跡者」での“追跡人”と同じような役に扮しています。役回りは元法学部教授で現在は保護観察官。 一度でも違反をすると保釈取り消しと言う厳しい役。 最後は主役の言い分を理解して手助けすると言う筋書き。 舞台がニューオルリーンズでジャズは出てくるし、いろんな意味で楽しめます。

アメリカで大ヒットとなった「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」。 でも何が面白いのかサッパリ。 3人の大学生が家庭用のビデオで撮ったものが150億円だったかの興行成績で一躍有名になりました。 手ブレがひどくて乗り物酔いになった人も。 映画学科の三人がブレアの森に住む魔女のドキュメントを製作するために森へ入ったが彼らは行方不明になり、一年後撮影されたフィルムだけが発見された、と言う設定だけ。 魔女が出ると思いきや、最後はわめき声でおしまい。 ひょっとしたら「Sixth Sense」のような秘密があるのかも。






2月7日

あれだけ大騒ぎしたY2K問題もさほどの事は無くて、ご同慶の至りですが、反面、何か物足らなさを感じるのは私だけでしょうか、不謹慎ながら。 細かいエラーは沢山出たようですが大きな社会問題にまで発展しなかったのは、やはり米国を始めとする主要国の頑張りでしょう。 私の場合は昔から使っていた日記帳が使えなくなった事と、ファイルの名前の順序が少々入れ替わったこと程度でした。 もちろんこう言う事は前から判っていましたが、例えば古い日記帳が全く使えなくなったのには参りました。 他のを試験的に使っていましたが、結局今年になって、また別のを使うことになってしまいました。 たとえ日記帳程度の小さなソフトでも従来の使い方を残そうと思うとそう簡単には行かないと言う事です。 次回のY2K問題は2月29日がその日で、意外にもこう言うあんまり注目されていない日が危ないのではないでしょうか。 Y2K問題も終わったと思っている人も多いでしょうから

今年はのっけから、Y2K問題と言う大きな意味のセキュリティ問題で幕を開けましたが、それから一月ぐらいで今度は官公庁のWebサイトが軒並みにハッカーによって書き換えられるという問題が起き、連日紙面を賑わせている事は先刻ご存知のとおりです。 私が「セキュリティ元年」と宣言と言うか、予言をしたのは、今このサイトの過去の記事を見てみると1988年1月でした。 2年ほど気が早かったようです。 Y2Kとこの官公庁Webサイトへの侵入で今年こそ元年になるのでは? と思っています。

何故そんなに多くの官公庁のWebサイトが軒並みやられたかと言うと、キチンと調査したわけではありませんが基本的にWebはみんなが見るものだから侵入を前提というか、されても仕方ない、と言う考え方で官公庁のWebサイトが作られているようです。 従って侵入したハッカーもハイレベルなものではなくて中級クラスと言うのがもっぱらの評価です。 安全を無料と考える日本ならではの話です。ちなみに今日の新聞では、このハッカーは中国系で中国語ではハッカーのことを「黒客」と言うそうです。 新聞でもミスターインターネットこと村井純さんが「安全な田舎から出てきた人が、家に鍵も掛けずにほおっておいたら、誰かが庭に入っていたずらをして行った」ようなものだと言っていましたが、まさにその通りで鍵を掛けるのは個人の自己責任です。 単に他人がいたずらをして行っただけなら良いですが、ここを根城に他のサイトのハッキングをされるとなると、他人への責任も発生するでしょう。 いずれにしても、持っていくものが何も無い家でも鍵は掛けましょう。

インターネットの鍵はファイアーウオールで掛けます。 従来ファイアーウオールと言うと大きくて、難しくて、と言うのが定説でしたが、最近は小型で安いものが出てきました。 先日の幕張のショーでも出ていたそうですが、値段を聞いてびっくり。30万円との事。 現実に米国で手に入るものは手のひらサイズで5万円ぐらいでしょうか。 またあまりに複雑なものですと、設定ミスが出やすかったり、またミスを恐れるあまり、ほとんどの通信をシャットアウトしてしまっては何をか言わんやで本末転倒になります。 更には VPN(Virtual Private Network) の機能を使って、離れたところのクローズな通信を安価なインターネットを使って行えます。

誰も大阪から東京まで自分だけが使える私道を建設しようと言う人はいません。みんな公共の道路や交通機関を共用しているのです。 通信の世界は特殊なのか何なのか判りませんが、皆さんが私道にあたる専用線を使いたがる。確かに負担できない金額ではありませんから、アメリカの経営トップが自家用のジェットで飛び回るように自分の通信線を使えるのです。 しかしそれは非常に高額です。 やはり基本は公共の手段を使うのでしょう。 ゴア副大統領が提唱したデータハイウエイ構想はそう言うイメージで描かれたものでしょう。 しかし、あの当時はそう言う事を実現できる技術がまだ存在しませんでした。 今日では数万円でそう言うものが手に入るのです。

また、大きな組織では部門や課単位でのセキュリティも重要になります。 大きな組織では、いったい誰が何をしているのか全く分からなくなります。 また正規の従業員に紛れてハッカーが侵入して内部からハックされる可能性も大きいものです。 一般に重大な技術的に高度なハッキングは組織内部関係者だと言われています。 不満を持って退職した人などはもっとも要注意です。 特に人の動きの激しいアメリカの会社にはこう言うケースが多くあるようです。 これからの日本もグローバルスタンダードと言うアメリカ化が起きますからこう言う点でも、大きな組織は細分化して各々にファイアーウオールを設けて関門にすべきです。 こうなってくると、そこの組織のセキュリティポリシーが問題になります。 一体どの通信を許してどれを許さなくするかです

一般に完璧なセキュリティは存在しません。 もしあるとすれば、それはネットワークに繋がっていないもので、物理的にも完全に触れないものが完璧です。 もっと言うなら電源が入っていなければ本当に完璧なセキュリティが確保できます。 しかしこれでは意味がありません。 従ってそこの組織の持つ重要性との使い勝手のトレードオフになるのです。 一般にセキュリティレベルを上げると使いにくくなり、例えば一部の機能が使えなくなります。この判断はまさしくマネジメント以外の何物でもなく、その部門の責任者(つまり部長とか課長とか言われている人たち)がキチンと物の本質を把握して判断をしなくては行けないのです。 従来はPCを使いこなす事が重要と言われてきましたが、これからのセキュリティを考えると、現場のマネージャーの「ネットワーク・セキュリティ管理」能力と言うのが、通常の「人の管理」能力に加えて、大きなファクターになってくるでしょう。

さてさて、かなり肩に力が入った話で、さぞかし肩が凝って来た事と思いますので、ここらで今月の映画の話をしようと思うのですが、正月はいろいろあってほとんど見ていませんので、古い映画になります。 先月紹介した 「Sixth Sense」 はチャンスがあってもう一度見ました。 この前見たときは時々寝ていたようで、全く記憶に無いシーンが多くありました。 ともあれ死んだ人間が、生きている人間と同じように振舞うと言うのは、新しいスタイルで、非常に面白かったです。 やはりこれは2回は見ないと行けないようですね。

死んだ人間が現実に蘇ると言う、似たような映画としては、先日テレビで放映されましたが「死国」。「リング」で引き起こしたオカルトブームに乗って同時上映もされたようですが、内容はイマイチ。原作の半分ぐらいしかありませんでした。 最後の石鎚山が崩壊すると言う壮大なラストシーンを期待していたのですが何も無く、亡霊が片思いの恋人を道ずれに冥界へ戻ってしまうと言う何とも歯切れの悪いラストでした。 興味のある方は原作が文庫本で出ていますのでそちらのほうがお勧めです。

「リング」の最初の映画のインパクトは物凄かったですね。 あれで夜に寝れない人が続出したと言う事です。 アジアの人たちも感情移入がスムーズなのでアメリカのオカルト映画に比べて余計に恐怖が増すと言う事で、人気が出ているそうです。 ビデオを見ただけで1週間後に死亡、ダビングをすると何ともない、要するにビデオテープが自己増殖すると言うオチで、死因も次の映画でウイルスと判断されます。 リングの全くの番外編が「リング2」、原作の次の続編の「らせん」はDNAのイメージと言うことで、原作はえらく真面目なウイルスの自己増殖の話でした。 貞子出生の秘密を明かすという第4弾「バースデー」が封切られるようです。 原作を超してどんどん映画が増殖しているようですね。






1月1日

2000年あけましておめでとうございます。 1月1日にこれをご覧になっている方は少なくともY2K問題の被害を受けられなかったと言う事で、重ねておめでとうございます。 私は大晦日にこれを書いていますので、元旦はどうなるのか楽しみです。 一番恐いのはやはりウイルスですね。 2000年1月1日しか発症しないのはそれ以前に感染しているかどうかはなかなかわかりにくいものです。 先進国の中では日本が一番先に2000年を迎えますので、その意味でも今日の31日の12時は興味のあるところです。 一応はバックアップを一通りとりましたが。。

さて今年はY2K問題で年が明けました。 また今年は閏日のある400年に一度の特殊な年でもありますので、暦の話を一寸してみましょう。

日頃なんとなく使っている暦は「太陽暦」で、基本的には地球の公転周期の365日を1年とする暦です。従って季節と暦の日付が合っているのです。 これに対して「太陰暦」は月の満ち欠けを基準とする暦で、朔(新月)となる日をその月の一日(ついたち)として日付を数えます。 三日月は3日、満月は15日(十五夜)といった具合に、日付と月の満ち欠けに対する呼び名が一致します。 1ヶ月は29日か30日で1年は12か月で合計354日となります。イスラム暦などがその例ですが、一年に9日も季節とずれてしまいます。 まあ月の動きを完全に追いかけるので漁業には非常に便利な暦です。「太陰暦」と「太陰太陽暦」混同している人が多いと思いますが、「太陰太陽暦」は推古天皇の時代にすでに中国から導入されています。 これを長い間改造してできた「天保壬寅暦」を我が国では明治の最初まで使っていました。 2〜3年に1度閏月を挿入して、その年を13か月とすることで、太陰暦による季節のズレを調整したものです。

「旧暦12月3日を以て、明治6年1月1日とする」という「太政官達(第337号)」が、「太陽暦」採用のわずか1ヶ月弱前の旧暦明治5年11月9日に出されています。 「グレゴリオ暦」の制定から、ちょうど290年後の話。 これで明治5年の12月分をほんとんどゼロに、閏月のあった明治6年を13ヶ月から12ヶ月にしてしまい、政府の給与をほぼ1年で2ヶ月分も節約したと言うのは有名な話。とんでもないウルトラCですが、別に日が無くなったわけでもないし、本当の節約になったのかどうかは良く分かりません。 ちなみに月は閏月があるので一貫していませんが、曜日はこれは暦が始まった時から綿々と繋がっているそうです。

我々が日頃良く使う「旧暦」とは実は太陰暦でも太陰太陽暦でもなくて、正確には「中暦」と言うそうなので、話はまたまたややこしくなります。太陽暦は単純に計算できるし、カレンダーは全部太陽暦で動いているのでそれに従う必要はありますが、本来の旧暦との間に約1ヶ月のずれがあり、新暦で行事を行おうとすると季節が合わずに困ることが多いのです。しかし旧暦は計算が面倒なので、新暦を単純に1月遅らせた中暦が生まれました。新暦と旧暦の中間を取るという意味で中暦と言います。現在でも例えば関西の夏のお盆(8月15日)などはこの中暦で行っているのです。

この他に我々に馴染みが深いのは「節月による暦」です。 先ほど言ったように「太陰太陽暦」は漁業には便利でも、農業には全く不便です。 それでは江戸時代の農民はどうしていたのでしょう。 農業は100%太陽に依存するものです。 従って、完全に太陽の動きだけに基づいて計算される完全太陽暦が古来併用されており、その月を節月と言います。立春から始まる、節月の始まりと中間点の合計24点を24節気と呼びます。 24節気は「立春」、「雨水」、「啓蟄」、「春分」、「清明」、「穀雨」、「立夏」、「小満」、「芒種」、「夏至」、「小暑」、「大暑」、「立秋」、「処暑」、「白露」、「秋分」、「寒露」、「霜降」、「立冬」、「小雪」、「大雪」、「冬至」、「小寒」、「大寒」とお馴染みの名前が並びます。24節気には、「節」と「中」が交互にあり、旧暦では、中のない月は閏月となると言うようなルールがあるのですが、ややこしくなるので省きます。この暦は毎年立春にリセットされるので、閏月とか言う概念は不用になります。

ところで今年はなぜ閏日がある事が珍しいのでしょう? 4年に一度だからあたりまえ? ところが今年の閏日には深い訳があるのです。 ここでは太陽暦の歴史について少々述べてみます。 太陽暦の最大の問題は1太陽年が365.2422太陽日であるところから来ています。 要するに1日で割り切れないのです。 この誤差を修正すべく長らく工夫がなされてきました。初期のローマ時代では、1年はいまでいう3月にはじまり、12月で終わる10ヶ月=304日間でありました。後にこれに2ヶ月を加え1年を355日とする太陰太陽暦になりましたが、季節とのずれを調整する閏月の置き方に混乱をきたしたため、紀元前46年ユリウス(シーザー)は従来のローマ暦を改めて、平日を365日とし4年ごとに1日を加えて閏年とする「ユリウス暦」を定めました。 しかしこのルールが正しく適用されたのはアウグスス帝により紀元8年からで、この両者の名は、7月のJuly、8月のAugustに残っています。これは単純に4年に一度閏年を設けると言うものでしたが、1000年も使っていると誤差が累積し、数日にもなってしましました。 そこで1582年、ローマ法王グレゴリオ13世が現在「グレゴリオ暦」として広く用いられることになる暦を制定しました。 1582年10月4日の翌日を10月15日(エイと10日も短縮)とし、ユリウス暦に加え100で割り切れる年は平年とする事になりました。 しかしこれでは今度は短くなりすぎるので400年に1回は閏年となるようにし、400年間に97回の閏年が入ることにしたのです。そして今年の2000年がその400年に一度(2回目)の閏年なのです。 これでも完全に誤差がなくなった訳でも無く400年で3時間ほどの誤差がありますので、2621年で1日の補正が必要となる計算になります。 ちなみにこの改暦は世界同時期ではなくてバラバラです。 デンマーク,オランダ,ドイツでは1700年,イギリスでは1752年,ソ連では1918年,ギリシャでは1924年に、日本では先に述べたように1873年に太陰太陽暦の天保暦からグレゴリオ暦に改暦しました。

ちなみにユリウス暦はまだ一部生きていて、月の大小の日数と順序はすべてユリウス暦のまま使われています。 ユリウス暦は単純なので、ユリウス以前にもさかのぼって用いられ、その1年の長さ365.25日をユリウス年その100年をユリウス世紀と言い、天文学やコンピュータの世界では使われていることが多いのです。

この他に「閏秒」がありますが、これは「閏年」とはチョット違い、誤差を修正するのではなくて、地球の自転の遅れを修正するものです。 近年は原子時計などの超精密時計が発明されるに及んで、地球の自転は潮の満ち引きで長期的にはだんだん遅くなっているのですがそれが観測されるようになったのです。 原始時計の標準(国際原子時)は原点を1958年1月1日0時0分0秒とし、それからスタートしたのですが、適宜閏秒が1月1日または7月1日の0時0分0秒UTC(日本時間午前9時)に挿入されます。最近では22回目の閏秒が1999年1月1日に入りました。 2000年1月1日には閏秒はありません。

今月の映画はかなり古くなって、ご覧になった方も多いと思いますが、「シックス・センス」です。 1970年インド・マドラス生まれインド人の監督による、かなり独特のサイコホラー映画です。 亡霊と言うか幽霊を見ることができる子供のお話です。 最初、映画館で見たときはホラーを予測していたので、従来のアメリカ映画のエクソシストなどと調子が異なるのでピンと来ませんでした。 おまけに台詞が多いので英語が完全にわからないと行けないのですが、所々分からなくて結局よく分からないままでした。 後日アメリカ人の友人に聞いたら、「あれはなかなかだ、特に最後のほうが良かった」と言うし、日本のさる駅のホームでたまたま耳にした若い人の会話 A「シックス・センス見た?」、B「見たよ。なかなか面白いよ」 と言うことで分からんのは自分だけか、と思って知らん顔をしていました。 最近、映画を本にしたものが出たので早速読んでみました。 それでも分からずに2回読みましたが、それでやっと分かったという次第です。 ネタをばらすと面白くないのですが、これが分からないと途中で本当に面白くなくなるので、後でばらします。 映画の宣伝コピー 「もう一度見たくなる」 と言うのは本当で、ネタを知ってからもう一度見たくなるのです。 私の場合は本をもう一度ゆっくり読んでやっとその面白さが分かりました。

児童心理学者として順風満帆の人生を送っていたマルコム・クロウ(ブルース・ウイルス)は、ある晩自宅で10年前に患者だった男に銃で撃たれます。 本当はこの時マルコムは死んでしまったのですが、映画はそれを隠して、しかし示唆を方々に残して進行します。 2年後、マルコムの人生は当然一変していました。夫婦の会話も無くなっています。 本人は死んだ事は知りません。 主人公の患者コールに 「亡霊の中には死んだことを気づいていない者もいる」 と言わせています。

しかし、そう思ってみると矛盾が沢山目に付きます。 一般の人には亡霊は見えないし、会話もできないのですから、長時間自分が亡霊になったと言う事に気が付かないことはないのです。 また亡霊同士は見えないことになっていますので、そこから気が付くことはないでしょう。 通常の物体は動かせるのですが、人には触っても分からない、と言うような勝手な事も起きます。 すっかり性格俳優になってしまったマルコム・クロウ役のブルース・ウイルスと、早くもアカデミーの呼び声が高いコール・シアー役の子役ハーレイ・ジョエル・オスメントの素晴らしい演技にこう言う細かいことは忘れて、映画を十分にお楽しみください。